関本徹生の楽園計画通信

阪神淡路大震災後、芸術で社会を元気にすると始めたアートプロジェクト「新世紀楽園計画」のあれこれ通信

レクチャー断片

2011-05-23 18:21:10 | アートプロジェクト
前回知らせた21日に『鯉・龍』のレクチャー&トークがあり、
今回もかなり濃~い内容であったが、この報告は次回にまわすとして、
4月に実施した『七福神・櫻・あはれ』から、
七福神のみについて、断片的披露。
但し、全てがレクチャー&トークの内容ではないので。
補足している部分もあるし、オープニングパーティーに突入してしまい、
個別的レクチャー変更になった…。

■七福神断片

インドのヒンドゥー教(大黒・毘沙門・弁才)、中国の仏教(布袋)、
道教(福禄寿・寿老人)、日本の土着信仰(恵比寿・大国主)が
入り混じって形成された、神仏習合からなる日本独特の信仰対象である。
室町時代末期頃の京都から信仰されたと云われている。
誰がいつこの顔ぶれに、と定めたのかは不明で、
時代によって顔ぶれも違っていた。
他に天細女命(あめのうずめのみこと)、吉祥天、猩猩が入っていた。

◎恵比寿(夷・戎・恵比須・蛭子・胡)
「大漁追福」の漁業・海の神。
時代と共に「商売繁盛」や「五穀豊穣」の神となる。
七福神の中で唯一の日本の神であり、出雲の美保崎の海で釣りをしていた
事代主神(ことしろぬしのかみ・大国主神の子)とも云われている。
神話ではイザナギ・イザナミの子で「水蛭子=ヒルコ」、
骨のない奇形の神の子であり、葦の船に乗せられて流され、たどり着いたのが、
今の西宮神社とも云われている。
ヒルコ(えびす)の本来の姿は海から来た災厄神であり、祟り神でもある。
祟り神(怨霊)を祀る事によって御霊となる最初の形かもしれない。
「えびす」の語源ははっきりしておらず、諸説あり。
昔は「夷」の表記が多い。「夷」には東方という意味があり、異郷人、
来訪人を表しているともいわれ、遠方から福を運ぶ寄神(よりかみ)、
客神(まろうどかみ)として信仰されている。
西日本一帯では、海岸への異型の漂流物
(水死体・鯨、巨大イカなど腐り果てた死体等)をえびすと呼び祀る習俗があり、
また漂流している水死体も、えびすと呼び、特に漁師たちは水死体を持ち帰っている。
えべっさんで有名な十日戎、その宵戎には氏子の外出が禁じられている。
年に一度、冥界からヒルコが蘇って腐乱した体でまちをねり歩く日であり、
これを避けて忌み籠もる行事が十日戎の本質である。
これが解かれるのが本戎の早朝六時であり、氏子達は開門の太鼓の音と同時に、
ヒルコ(えびす)に捕まらないように災厄と恐怖を感じつつ、
まちを全力で走り抜け神社の中を駆け抜けて本殿に参拝する。
これが現在の福男レースに変化していったのである。

◎大黒天
インドのヒンドゥー教の破壊神・シヴァ神と
日本の大国主神(おおくにぬしのかみ)の習合。
大黒=大国という語呂から、大黒天は大国主神と混同された。
シヴァ神は青黒い身体をもつ破壊神。
仏教に帰依し、サンスクリット語でマハーカーラ
【(摩訶迦羅)・偉大な黒い者】と呼ばれるようになった。
マハーカーラは、飲食を豊かにする神として信仰。
荒々しい神で、台所に入ってくる邪悪を追い払うという性格を持っている。
マハーカーラを大黒天として日本に持ち込んだのは、最澄とされている。
天台宗の多くの寺の厨房に大黒天が置かれるようになり、
この信仰が庶民にも広がっていき、
台所に大黒天を祀っておけば食べることに困らないと信じられた。
台所の神であり、主婦の台所仕事が上手くいけばその家も安泰で、
大黒天は大黒柱と表されるように家の守護神となり、
広く信仰されるようになった。
ちなみに大黒が持っている打ち出の小槌は、
振れば何でも出てくる無尽蔵の財宝と富の象徴であるが、
槌(つち)は土(つち)に通じる。土というのは全てのもの(作物)を生み出す。
その土はすなわち田(た)。宝(たから)は田から出てくる、
つまり、宝は土(田)から出てくるという意味。

◎毘沙門天
インドのヒンドゥー教のクベーラ神(財宝福徳を司る神)で、
元は暗黒界の悪霊の主。仏教の神のヴァイシュラヴァナ(多聞天)に
なり日本では毘沙門天と呼ばれる。
夜叉、羅刹を率いて帝釈天に従う四天王の一つとして、弥勒山に住み北方を守護。
知恵の神様としても信仰され、日本では武闘の神様としても名高く、
武将達の信仰が厚かった。

◎弁才天 (弁財天)
インドのヒンドゥー教の女神であるサラスヴァティー神。
サンスクリット語で「水を有するもの」を意味し、大河の神で梵天の妃。
水と関係があり、水が流れる音にちなんで、音楽の神、
弁舌の神(知恵の神)として信仰。
琵琶を弾く白肉色裸形という弁才天の姿は、
市杵島姫命(いちきしまのひめのみこと)の姿と習合した結果と思われる。
市杵島姫命は宗像三神の一柱。

◎福禄寿
道教の宋の道士または、道教の神で南極星の化身の老子である寿老人の
別名または同一神とされる。
福星・禄星・寿星の三つの星の神が合体したともいわれる。
頭が長いという独特の風貌。

◎寿老人
道教の神で南極星の化身の老子。
白ひげをたらし、杖を持ち、鹿を伴っている。
中国宋時代元祐中の人で、天南星(または寿星=カノープス)の化身。

◎布袋
中国・唐の末期(9~10世紀頃)の明州に実在したといわれる仏教の
禅僧契此(かいし)で、神ではない。
契此(かいし)は、常に大きな布袋を担いで喜捨を集めて回ったため、
布袋和尚と呼ばれるようになった。弥勒菩薩の化身とも言われ、
中国では王朝が交代時に現れてくる一種の聖人であるとして、
神格化されていった。

最後に
『福神とは、福をもたらす神ではなく、福を持っている者のところに、
それを祝福するためにくる神なのである。』 福の神と貧乏神(小松和彦)

残念…。

参考資料
「日本の神々」 学研
「奇想ジャパネスク」 アトリエサード

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