おせっかいなある一日から約20年

ただおせっかいだっただけの20年前の俺
「友情」という言葉を大切にすることに酔っていた

裏切り

「裏切られた」と思うことで
おせっかいなある一日について
自分の中で　つじつまを合わせていた

本当は何も裏切られていない
「裏切られた」というストーリーを
勝手に成立させただけ
悲しい防御反応

さらけ出す刺繍

縫い付けた竜と鷹の模様
刺繍が　さらけ出す
何もかもを　見せてやる

ノスタルジアとか　何だとか
詩集が　さらけ出す
何もかもを　見てください
私は見せたいのです
見てもらいたいから　こうしているのです

CIMM001のエスキース

壁の裂け目の向こうに
知らなかったcityがあることに気づいた日
季節は多分　夏の終わりかけだった
日の当たらないところで　本を照らす裸電球が
小さく揺れるので　
すべての影が大きくなったり元に戻ったり
ゆらゆらと揺れていた
季節は多分　夏の終わりかけのころだった

city　心の中の

あの人が眠る町で

あの人が眠る町で　　
寂しがり屋がひとり
だまって夜明けまで　
言葉を紡いでいる

孤独なペンギン

λ

機械仕掛けの

無音はない
静寂の中であっても
体内の音が　聞こえるという
体内音というらしい
シーーーーーーーーーーーーーーー
っと俺には聞こえる
機械仕掛けの

命の

思いっきり両手で　蚊をつぶす
手についた血は　きっと僕の血で
つまらない命が消えた

公衆便所でとなりに立っているおっさん
存在自体が気持ちが悪い
酔っ払って赤い顔をしている
つまらないオヤジ　両手でつぶしたくなる

そのつまらないオヤジにもきっと
愛する人がいて　
そのオヤジをたよりにして生きている家族がいて
そして何より　俺よりもいっぱい生きている
俺よりもいっぱい物語を背負っている
つまらない命なりに

ひとりひとりは　それぞれに
人にやさしくして
勝手に傷ついて
うれしいことがあったら踊ったり
酔っ払って歌ったり
本を読んで泣いたり
つまらない命だからこそ

そして
桜の花が散るように　
蚊が両手の中でつぶれるように
地についた雪がすぐにとけてなくなってしまうように
つまらない命はやがて消えるだろう
つまらない命なりに

Parallel World

今この時を　
まったく違う空気の中で
まったく違う気分で
まったく違う運命の中から
こっちの世界を見ているもう一人の僕がいる
まったく違う結論を出している

こっちの世界から　
そのもう一人の僕を見つめ返す
まったく違う場所から
まったく違う顔つきで
まったく違う目つきで

あのとき　
あの曲がり角を曲がらなかった先に
そのもうひとつの世界がある
あの曲がり角を曲がった先に
今　僕はいる

もうひとつの世界の僕に
にっと微笑みかけてやる
負け惜しみに見えたかも知れないけど
もうひとつの世界からも
まったく同じ意味を含んだ表情で
微笑み返してきやがったさ

新春５７５

マフラーは　首がこちょばいから　いやだ

生命特集

化石になってしまったミカンが　呼吸し続ける
デイジーの花咲く丘で　めまいをしてみたい
それはダイアモンド　生きている

数兆のシナプスが　連鎖する
深い深い記憶の海で　ドライフラワーの
それはルビー　確かに　生きている

今　生きている　ということ
それはターコイズ
いつの日か　誰かの記憶の中だけに生きる
それでも　今は輝く宝石

ミミズだって　オケラだって　ウィルスだって
みんなみんな　生きているんだ友達なんだ

噂をする

風が噂をする
あの娘は本当に悪い娘だと
何も知らないくせに
あの娘の表面的なところしか
見えてないくせに

脈拍を測ることができるだけで
生計をたてている君の友達が
茶沸かし室で噂をしている
あの男（＝つまり僕）はいい加減な男だと
やめといたほうがいいよ　と

強いジンのせいさ
俺を正直者にさせる
脈拍業のあのいやなやつのことを
とやかく言わせてしまう

深海のマンボウが　毒を吐く
「あいつ（＝つまり僕）は　あんたをだましてるよ」と
マンボウのやつめ！
今度水族館で見つけたら　フラッシュをたいてやる
「フラッシュをたかないでください」の標識を無視してやる
ガラスをとんとんと　叩いてやる！！！
くそーーーー！！！

雪の上を歩くママンが　冷静に言う
今日の服はどう思われたかしら？
やっぱりお化粧していったほうがよかったかしら？
冷静だ　ママンはいつも　冷静だ
冷静に　いつも　冷静に　僕たちの関係を　見つめている
気をつけろ！　あいつは必要以上に　冷静だぜ

強いジンのせいさ
おまえがほしい

sweetie bittie

ittie bittie hippie
dinnie winne trickie
littlie bittie drinkie
dizzie dizzie swingie

マイケルウィリアムスへ

君は湾岸戦争に逝ってしまった
俺と同い年だった　ちょうど２０だった
ジンを飲んだとき　すごいにおいをさせてた
踊りが得意だったね


湾岸戦争に逝ってから　連絡がなくなった


君とは何度かけんかした
今思えば　俺の英語がヘタクソだったのが原因だったのかも
でも　俺はマジでむかついてた
君も　マジでむかついてた
「おまえはここにい続けるだけだろ　俺はイラクに行く」って
俺はそのとき　くやしかったさ
イラクに行きたかったさ　君と同じ恐怖感を共有したかったさ
ホントだよ
共有したかったよ

君とけんかしたとき
「土人」と言ったことを　ゴメン
黒い肌のことを　「土人」って言ったことをゴメン
君はいつも　Proud to be black（黒いことの誇り）って言ってた
その意味が　その真の意味が分かってなかった
そのことをゴメン

今、生きていますか？
今、僕と同じ３８歳ですか？　４０代になることをびびってますか？

つ・き・あ・い・た・い

もしもおいらが　土人だったら
土人じゃないやつとは　つきあいたくない
たとえそいつが　古い友達でも
土人じゃないやつとは　つきあいたくない

そいつが昔　世話になったやつでも
いくらいいやつでも　つきあいたくない
だけどそいつが　アレを持ってたら
俺は差別しない　つ・き・あ・い・た・い

土人たちよ　アレをキープしとけよ

ダンダンディドン

ダンダンディドン　ダンダンディドン
僕は　働くよ
ダンダンディドン　ダンダンディドン
自分自身のために
自分自身だけのために

ダンダンディドン　ダンダンディドン
色んなこと　夢見てるよ
ダンダンディドン　ダンダンディドン
自分自身のために
自分自身だけのために