原田芳雄さんの遺作となった映画を見てきました。
大鹿村とは我が故郷伊那市、長谷村の隣の村です。
柳 土情(やなぎ どじょう)さんの切り絵の事をTVでやっていて
行ってみようと思っていた村です。
http://www.vill.ooshika.nagano.jp/kirie%EF%BD%87allery/
大鹿村の歌舞伎。
すごく昔から続いていて戦時中も徴兵された男子を補って
女性の手でも戦時を乗り切った歌舞伎だと映画の中で紹介されていました。
昔から中央(東京)の歌舞伎界ともつながりがあったと聞きます。
映画「マタギ」で名を馳せた後藤俊夫監督が2007年に「ビューティー」という名で
この大鹿歌舞伎の映画を完成させていますが、
もしかしたらこの映画がきかっけになっているのであれば嬉しいな。↓
http://2008.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=229
映画のストーリーはネットで確認していただくとして↓
http://ohshika-movie.com/cast.html
クスクスと心の底から微笑ましい笑いがあって
とても美しい映画でした。
会場でも漫才みたいな爆笑ではなくて、静かに微笑む笑いがあり。
その人間模様に共感するような感じで、主演の原田芳雄さんが
実在の人物だと思えるほど素晴らしかったし、気持の良い笑いを運んでくれた。
坂本順治監督が作ってくれた心の底から微笑むことの出来る作品は
派手な映画と違って、名画座で味あわせてくれるような
深く、そしてじぃ~~~んと来る温度があって、安心して笑えました。
さて、
大鹿村の隣、僕の故郷の伊那市の中、長谷村に中尾歌舞伎というのがあります。
http://www.dia.janis.or.jp/~kabuki/
ずいぶん昔になりますが、冷泉公裕さんという当時文学座の俳優さんが歌う、
そのバック演奏をギター一本で中尾歌舞伎の前座で演奏した事があります。
冷泉さん↓
http://talent.yahoo.co.jp/pf/detail/pp6472
その時に見た中尾歌舞伎。
その村落の人々が集い、演じる側も見る側も温かい雰囲気で楽しんでいて
なんかうらやましぃ~なぁと思った記憶があります。
(当時よりえらく綺麗な建物になっている♪)
昔はTVも無いわけだから、こういう歌舞伎の舞台なども
地方の娯楽として、たくさんあったのでしょうな。
さて、大鹿村騒動記。
パンフレットには坂本順治監督と原田芳雄さんが長年温めてきたものだという事が書いてありました。
撮影中にはすでに寿命が分かっていた原田さんと、それを知りながら作品を作った坂本順治監督。
松田優作さんなど数々の役者から尊敬されていた原田さん。
昨年見たNHKドラマ、室生犀星の小説である『火の魚』(ひのさかな)も良かった。
ガンコ爺の小説家がカッコ良かった。
70を超えてなお男の色気が流れてくる役者が大鹿村騒動記で
ほのかな幸せを運んでくれた事は、
なんだか、生きる勇気を分けてもらった気がします。
もっと原田さんの作品が見たかった。
原田さんのご冥福をお祈り申し上げます。