障がいのある子どもと大人の支援 ~分かり合えると問題解決の道が見えてくる~

このブログは、障害児・者の心を大切にした対人援助技術「心のケア」を学び実践しているメンバーが集まり投稿しています。

ストレスを小出しにする、ということについて

2022-09-27 18:26:03 | 日記

こんばんは

まきこっこです。

研修の中で「ストレスを小出しにする」ということについて考える機会がありました。

日ごろ私がしている支援の中で、それにあたることはどれだろう、と考えたときに思い浮かんだことを書いてみます。

 

利用者さんたちは、普段伝えられない思いがたくさん降り積もるとパニックという形で出てしまうと思います。

私は普段のやり取りの中で、相手の中に伝えられない気持ちが膨らんでいて溢れそうだな、と思う時にあふれる前に発散できるやり方を探しています。

作業を黙々とやっていて、突然立ち上がり、物を投げたり職員に掴みかかってきたりする女性の方がいました。最初はなぜ突然パニックが起きるのかわからず、暴れる彼女とひたすら体で付き合いながら気持ちが収まるまで待つ、ということしかできなかったのですが、その方が何が苦手で、どういう時にその思いを我慢しているかが少しづつわかってきてからは、その場を離れて外を歩く、投げてもいい柔らかいぬいぐるみなどを壁に向かって思いっきり投げる、一緒に叫ぶ、などすることで、大きなパニックにならずにすんでいます。

 

もう一人。言葉も話せて、かなり自立度の高い女性の方なのですが、不調になると、おとなしい利用者さんを狙ってひどくつねる、ということをします。同じ人を執拗に追いかけて他害しようとすることもあり、それを職員が制止しようとすると大暴れになります。

その方は普段から細かいことを気にされ、何度も職員に聴きに来たり、体の不調を何度も訴えに来たりします。自立度の高い方なので、職員の方に一度言えばわかるはずと思われていたり、体調不良の訴えも仮病のことが多いと判断され、まともに取り合ってもらえないことがよくあります。

ある日、もう作業が始まっているのにも関わらず、自分の着替えの袋が一枚足らない、と職員に訴えて回っていました。私は以前彼女と一緒に着替えの服を整理したことがあったので、自分の持ち場を他の方に頼み、彼女のへ行き一緒に探しました。その袋は無事見つかったので作業に戻るよう話し、私も自分の持ち場に戻ったのですが、しばらくすると彼女はまたやってきて今度はたくさんある小さなビニール袋をたたんで欲しい、と訴えてきました。きっと他の職員さんに頼んでも、そのくらいのこと作業が終わってからすればいいと言われ応じてもらえなかったのでしょう、何人かの職員を渡り歩き、私のところまで来たようです。私は彼女の中に不安や心配ごとがあって、それをせずにはいられないのだろうと感じました。なので「心配なことがあるんだね。あなたは袋もいつもきちんとたたんでおきたい人だしね。でも、私も今はこの場所を離れられないから、たたんで欲しかったらここへ持っておいで。」と話しました。彼女は一度引き返し、再び5枚ほどのクシャクシャになったビニール袋もをって現れました。私が袋丁寧に伸ばしたたんでいく様子をじっと隣に立ってみていたので「心配しなくても、全部きちんとたたんでおくよ。ちょっと時間がかかるから、まってても暇でしょ。その間作業してたら?」というと、すんなり作業に向かい、作業終了時間までしっかりやれたようです。

彼女は作業をさぼりたいわけじゃない。ただ、今はどうしても目の前のことが気になって、いてもたってもいられない状況。余裕のある時なら、あとでね、が通用するけれど、どうも通用しそうにない様子。

だとしたら、彼女の気になっていることを大切にしてあげることが、彼女自身を尊重することだと感じました。

そのあとも今度は大きめのビニール袋を三角にたたんで欲しいという要求を言ってきましたが、それは午後の休憩時にしようと話すと、納得して待つことができました。そして一日を穏やかに過ごすことができました。

彼女は家で虐待された経験があり、学童期は児童寮で過ごしています。自分の訴えを聴いてもらえなかったり、軽くあしらわれたり、約束を守ってもらえなかったり。。。。そんなことが積み重なって、小さな不安が生まれるとどうしようもなくなってしまうのでしょう。

彼女のストレスを小出しにさせてあげられるとしたら、しっかり彼女と向き合って、訴えてくることを真摯に受け止め、一つ一つ誠実に答えていってあげることなのではないかな、と感じています。職員に細かいことを訴えてこれる時点で、本人は小出しにしようと頑張っているのだから、それをきちんと受け取っていくこと。尊重して大切にすること。

これも、声に出しながら、他の職員さんと共有していきたいなあ、と思いました。


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