【題名】ショートソング
【著者】枡野浩一
【出版元】集英社文庫
【発行日】2006年11月25日(2007年6月6日・第6刷)
【価格】524円(税別)
2007年、集英社文庫恒例の企画「ナツイチ」に選ばれた一冊。
ナツイチといえば夏目漱石のような定番から、若者が読みやすい現代小説まで幅広く揃えているイメージがあります。
この作品は横文字のタイトルから連想できるように、青春・恋愛ジャンルになるようです。
この作品を手に取ったきっかけは、漫画です。
同じく集英社のスーパージャンプ(隔週発売)で、連載されている作品を読んで興味をもったからです。
漫画は小手川ゆあさんが手がけ、割とソフトタッチで読みやすい作品になってます。
今回は原作についてのレビューなので、漫画の詳細はあまり触れないでおきます。
主人公は、2人。(だと思っているんですが、解釈は人それぞれかも)
一人は、イケメンだけど童貞な国友克夫。
もう一人は、メガネの似合うプレイボーイ、伊賀寛介。
そんな相反する二人の接点は…短歌。
この作品のタイトルは、短歌をそのまんま直訳したもの。
(ちなみに、goo辞書で検索したらtankaで通じるみたい)
短歌の世界を知った初心者の国友に対し、鮮烈デビューを果たしている天才歌人の伊賀は興味を持っちゃうわけです。
これだけ読むと、どこが青春で恋愛なの?という気もしますが、二人の若さがよく描かれているし、チェリーボーイとプレイボーイのぜんぜん違う視点で描かれる恋模様ってのがなかなか面白いわけです。
この作品は、いろいろ新しい世界を開いてくれました。
まずは、短歌の世界。
古典とか苦手だし、五七五七七の文章の意味を理解できるのか?なんて思っていたら。
ミラクルで奇跡みたいなミラクルで奇跡みたいな恋だったのに
何!この「松島や ああ松島や 松島や」みたいなのは…
でもなんだか、すごく引っかかる。最後の「恋だったのに」というフレーズが。
そうすると、前の繰り返し言葉がすごく意味のあることのように思える。
これだけじゃありません。
一人きりサーティワンの横で泣き ふるさとにする吉祥寺駅
えぇ!サーティワンって、あのアイスクリームの?
そんな横文字を入れていいのかい?
…僕の持つ短歌のイメージが、一気に崩れた瞬間でした。
同時に、現代言葉の短歌の気軽さと深さにも気づかされた瞬間でした。
上の短歌に出てくる吉祥寺が、この作品のメイン舞台です。
そちらの方に住んでいる人ならイメージしやすいのでしょうが、あいにく一度もいったことがありません。
僕が吉祥寺といわれて連想するものといえば…
・ろくでなしブルース
・GTO
・楳図かずお
漫画ばっかりですねwしかも楳図さんは最近話題で知っただけだし。
ショートソングに出てくる吉祥寺は、喫茶店がメイン。
多分出てくるお店の名前とかは実在なんだろうけど、読んでるだけで行ってみたくなりました。
もともと喫茶店は好きなんだけど、あんまり一人で行くのも寂しいかなと思っていかないだけで。
この小説は、普通の小説とちょっと違うんです。
国友と伊賀が、交互に入れ替わって描かれる一人称の小説です。
これだけでもなかなか面白いスタイルだなと思っていました。
ところが、実はこの作品、もともとケータイでも読める作品だったようで。
しかも、作中に出てくる短歌は、枡野さんだけじゃなくて、ブログで投稿された作品が多いんです。
終盤に出てくる伊賀の連作(短歌をいくつか並べて、一つのテーマを持った作品にしたもの)なんかも好きですが、枡野さんの韻を踏んだ作品なんか割りと好きです。
いろいろ書きましたが、分かりやすく短歌の世界を紹介してくれる本です。
今回は、どんな人に読んで欲しいとかではなく、ちょっとした刺激が欲しい人には読んで欲しいですね。
ただ、ちょっと性描写がきついと感じる人もいそうなので、小中学生に読ませるにはちょっと早いかなって気もしますw
漫画の方は、そういうドギツイ表現は省かれています。
そもそも原作自体が「漫画のようにサクサク読みやすい」とレビューされることが多いので、まずは一度、手に取ってみてはいかがでしょうか。
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【著者】枡野浩一
【出版元】集英社文庫
【発行日】2006年11月25日(2007年6月6日・第6刷)
【価格】524円(税別)
2007年、集英社文庫恒例の企画「ナツイチ」に選ばれた一冊。
ナツイチといえば夏目漱石のような定番から、若者が読みやすい現代小説まで幅広く揃えているイメージがあります。
この作品は横文字のタイトルから連想できるように、青春・恋愛ジャンルになるようです。
この作品を手に取ったきっかけは、漫画です。
同じく集英社のスーパージャンプ(隔週発売)で、連載されている作品を読んで興味をもったからです。
漫画は小手川ゆあさんが手がけ、割とソフトタッチで読みやすい作品になってます。
今回は原作についてのレビューなので、漫画の詳細はあまり触れないでおきます。
主人公は、2人。(だと思っているんですが、解釈は人それぞれかも)
一人は、イケメンだけど童貞な国友克夫。
もう一人は、メガネの似合うプレイボーイ、伊賀寛介。
そんな相反する二人の接点は…短歌。
この作品のタイトルは、短歌をそのまんま直訳したもの。
(ちなみに、goo辞書で検索したらtankaで通じるみたい)
短歌の世界を知った初心者の国友に対し、鮮烈デビューを果たしている天才歌人の伊賀は興味を持っちゃうわけです。
これだけ読むと、どこが青春で恋愛なの?という気もしますが、二人の若さがよく描かれているし、チェリーボーイとプレイボーイのぜんぜん違う視点で描かれる恋模様ってのがなかなか面白いわけです。
この作品は、いろいろ新しい世界を開いてくれました。
まずは、短歌の世界。
古典とか苦手だし、五七五七七の文章の意味を理解できるのか?なんて思っていたら。
ミラクルで奇跡みたいなミラクルで奇跡みたいな恋だったのに
何!この「松島や ああ松島や 松島や」みたいなのは…
でもなんだか、すごく引っかかる。最後の「恋だったのに」というフレーズが。
そうすると、前の繰り返し言葉がすごく意味のあることのように思える。
これだけじゃありません。
一人きりサーティワンの横で泣き ふるさとにする吉祥寺駅
えぇ!サーティワンって、あのアイスクリームの?
そんな横文字を入れていいのかい?
…僕の持つ短歌のイメージが、一気に崩れた瞬間でした。
同時に、現代言葉の短歌の気軽さと深さにも気づかされた瞬間でした。
上の短歌に出てくる吉祥寺が、この作品のメイン舞台です。
そちらの方に住んでいる人ならイメージしやすいのでしょうが、あいにく一度もいったことがありません。
僕が吉祥寺といわれて連想するものといえば…
・ろくでなしブルース
・GTO
・楳図かずお
漫画ばっかりですねwしかも楳図さんは最近話題で知っただけだし。
ショートソングに出てくる吉祥寺は、喫茶店がメイン。
多分出てくるお店の名前とかは実在なんだろうけど、読んでるだけで行ってみたくなりました。
もともと喫茶店は好きなんだけど、あんまり一人で行くのも寂しいかなと思っていかないだけで。
この小説は、普通の小説とちょっと違うんです。
国友と伊賀が、交互に入れ替わって描かれる一人称の小説です。
これだけでもなかなか面白いスタイルだなと思っていました。
ところが、実はこの作品、もともとケータイでも読める作品だったようで。
しかも、作中に出てくる短歌は、枡野さんだけじゃなくて、ブログで投稿された作品が多いんです。
終盤に出てくる伊賀の連作(短歌をいくつか並べて、一つのテーマを持った作品にしたもの)なんかも好きですが、枡野さんの韻を踏んだ作品なんか割りと好きです。
いろいろ書きましたが、分かりやすく短歌の世界を紹介してくれる本です。
今回は、どんな人に読んで欲しいとかではなく、ちょっとした刺激が欲しい人には読んで欲しいですね。
ただ、ちょっと性描写がきついと感じる人もいそうなので、小中学生に読ませるにはちょっと早いかなって気もしますw
漫画の方は、そういうドギツイ表現は省かれています。
そもそも原作自体が「漫画のようにサクサク読みやすい」とレビューされることが多いので、まずは一度、手に取ってみてはいかがでしょうか。
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