goo blog サービス終了のお知らせ 

漫画の重みで床が抜けたらどーする?!

すずめ休憩室分室の漫画部屋。
歴史系漫画を中心に適当に好き勝手に語ってみるが、収納場所が目下の悩み。他の漫画も読むよん

うどんの女

2013年05月20日 | 漫画家(あ~お)
「うどんの女」  えすとえむ

味よし量よし95円のうどん。皆が大好き、学生の味方の学生食堂で働くバツイチ35才の女。そこに毎日通いつめ素うどんを頼む独りの男子学生。「食べ盛りなのに素うどんばかりで・・・」と思っていたが、ある時ふと思ってしまった「もしかして、この子わたしに逢いに来てる??」
一方節約のために素うどんばかりにしていた当人。他人より盛られた大目の葱を見て「この人俺のこと・・・」と思ってしまった事から恋のドラマは始まる。


学食で働く35才バツイチ女性とその学食の彼女が作るうどんを食べに来る学生のラブコメ。というか、いかにして「ラブ」に発展していくか・・・をそれぞれの妄想を交えながら段階を踏んでいっている話。
いゃ~なんかいいです。そうなんだよね、それまでなんとも思っていなかった人が「もしかしてこの人、私のこと好き??」って思った瞬間から「気になる存在」になるんだよねー(笑)
でも思うだけでなかなか行動には出せない。
年をとればとるほどそんな恋愛になりがち。相手の出方をみつつ、「こーしたら良かったのかなぁ・・・」なんて考え、「もしそうしていたら」の妄想を膨らます。
そのサイクルがますます恋心を産んでいくというか、そんな記憶ない?(笑)
そういう一歩一歩恋心が育っていく様子をうまーく表現してるなぁと。

そして感心したのが男女の妄想の差。
女の「こうだったら・・・」はシューエーションが多いと思う。
ドラマちっくな妄想というか「今、こうやって言われたら・・・」とか「誘われたら・・・」と思うけど、男は(特に若い子)は相手の下着の色とか妄想しているのがなんか生々しい(笑)
男の下着泥ボウは聞くけど、女が男性下着を盗んだって話は聞かないし、相手の裸や下着姿に興奮するのは男性ならではなのか。

タイトル「うどんの女」ももちろん「学食でうどんを作っている女」という意味もあるけど、白いうどんに女性の白い裸体を想像したキノくんの妄想な賜物な訳で(笑)、やっぱり男は「性欲」方面の妄想に走るんかなー?


それにしてもえすとえむさん、今回初めて読みましたが、なんかいいです。
ちょっと他の作品にも手を出して見ます。

ぬくぬく

2009年09月07日 | 漫画家(あ~お)
「ぬくぬく」 秋本尚美

山田さんは或る日亡き妻の雰囲気に似た少女から1匹のシマシマ柄の子猫を貰う。「しま」と名づけたその子猫と始まった2人暮らし。毎日同じ時間に起き、同じ時間に眠る・・・そんな平凡で静かな生活。
しまのうるうるとした瞳と気ままさに振り廻されつつ、それでも山田さんは何でも許してしまうのだ。やっぱりしまが一番だから・・・
猫好きを虜にする初老の山田さんと飼い猫のしまの心温まる日常漫画



現在「ぬくぬく~日だまり編」「ぬくぬく~うたた寝編」「ぬくぬく~ゆたんぽ編」が刊行されており、9/18には最新刊「ぬくぬく~まどろみ編」が出るこの作品。
漫画家さんに猫好きは多く、松苗あけみさんや伊藤理佐さんの様に飼い猫の為に家を建ててしまう人も多いですが、この秋本さんもそんな一人
猫バカという言葉がぴったりの猫好きな漫画家さんです。
もうね、作中のしまのしぐさ一つ一つが猫飼いさんだからこそ判るネタだらけなんです。
飼っていた人なら「そうそう、あるある~!!」と頷いてしまうというか

加トちゃん似というか、波平さん似の60代ヤモメな山田さんが可愛い小娘(しま)に振り回される姿がなんとも微笑ましい
不器用な山田さんがしまの為に色々頑張ってても、そんな思惑など気まぐれ猫には関係無いのよね(笑)

ほのぼのしてて大好きなこの作品なんですが、調べたところ、温水洋一さん主演でDVDも発売されるそう

【PV】 ぬくぬく 9月25日DVD発売!


なんかキャラぴったりでウケてしまった!!

これ欲しい・・・(笑)

エイキエイキのぶっちゃけ隊

2009年08月19日 | 漫画家(あ~お)
「エイキエイキのぶっちゃけ隊」 影木栄貴


それは2004年漫画家・影木栄貴の元に来た1本の電話から始まった。
「影木さんが竹下元総理の孫だというトリビアの投稿があったのですが・・・」と
ひた隠しにしていた訳じゃないけど、そんなこんなでTVに出ることに。そのうち超マイナーなバンドだったはずの弟のDAIGOもブレイクしてしまい・・・・
竹下元総理の孫にして、タレントDAIGOの実姉でもある漫画家・影木栄貴さんが家族の事、自分の事いろいろぶっちゃけたコミックエッセイ


私も実はこのトリビアの放送見ていたんですよ~(笑)
まービックリした記憶があります。政界の方のお身内だといろいろ大変だろうな~と漠然と思ったけど、この本を読んで逆に政界の人だから特別では無く、普通の一個人と代わらないんだな~と思ったのが率直な気持ち。

私の記憶では色々とバッシングもされた竹下さんだけど、孫(影木さん)と踊りながら、おでこで生卵を割っている姿を想像すると・・・(爆)

きっとTVで色々言われている方々も映っているのはごく一部分なんですよね。

私人と違い、公人だと、ついつい批評、非難を言われ易くなりがち
でもその方たちにも家族がいるんですよね
影木さんの「高校生だった頃、大好きな家族が悪人のように言われるのが辛かった・・・」というセリフにハッとしました。

ちょうど選挙時期で政治家さん達は色々大変でしょうし、色々言われているんでしょうけど、自分自身が彼らを評価する時、感情で発言せずに、もう少し思慮深く言わなくっちゃと思った1コマでした。


それにしても家族からじーちゃんの迷惑になるかもとBLを反対された影木さんが言い放ったお言葉

BLマンガが描けなかったら・・・私は私でなくなるの!!
フツーのマンガだけじゃダメなの・・・!!

BLマンガは私の心の叫びなの!!!!


きっと、世の多くの腐女子の皆さんは大きく頷いたことでしょう(爆)

アッパレだよ、あんた

わさび

2009年08月04日 | 漫画家(あ~お)
「わさび」 一條裕子 全4巻


帯刀(たてわき)家に年若いお手伝いさんがやって来た。その日から住み込みで働くこととなった、小原ふみは帯刀家の家族と顔合わせをする。大学教授である主人・帯刀隆太郎(6?才)、その妻・絹子(3?才)、そしてどーみても隆太郎の孫にしか見えない長男・隆之介(6才)。
帯刀家の3人とお手伝い・ふみが織り成すほのぼのとした和風ホームコメデイ


まぎれもなくコメディなのだが、なんて言うか、謎の多い作品ですがな(笑)

まず、帯刀家には現代社会において必須の家電が無い。
TVも掃除機も洗濯機も何にもないのだ。
「消費税3%」という表記があることから、この話は1989年(平成元年)~1997年(平成9年)の話であるはずなのに、あるのは電話くらいで後は家電が一切無い。
妙齢のふみには押入れにTVを持つことを許されているが、家族団らんの茶の間にさえTVがないのだ。
クリエイティブな職業に憧れる隆之介が作るダンボール家電が逆に憐憫さを誘う。

家電が無いと言うことは家事は手作業な訳で、その為にふみを家政婦として雇っている訳なのだけど、ふみの給料は手取りで月14万円(プラスボーナスは年2回)・・・年間にするとかなりの金額。
その金額で最新式の家電が沢山買えそうなきもするが、主人・隆太郎は頑なまでに家電を拒否する。

う~~ん、謎だ・・・

ちゅーか、一教授の立場で年間300万円近い人件費を捻出出来るのも凄いが(爆)


漫画で主人公が教授のコメディ漫画といえば山下さんの「天才柳沢教授の生活」を思い浮かべるが、なんて言うか同じ教授職で対象物をとことん追求する性格でも柳沢教授と隆太郎は正反対だなぁと思う

柳沢教授は常に「自分以外の全てのモノ」に対して、興味を持っているのに対し、隆太郎は「自分のウチなるもの」に興味を持っているというか
自分が体験して、納得する・・・柳沢教授の「観察して納得」とは違う。

息子が希望した犬を飼うかどうかの是非に対しても、庭の作るであろう犬の生活スペースで実際に自分が生活してみてから結論を出す。
自分の足の小指に顔を書いて愛でたり、愛用の茶碗に名前をつけたりする。

でもその突拍子もない行動が「父の威厳」になるから面白い

平成の世なのに、古き良き家族の姿があるというか、コメディなんだけどアハハハ~と笑うのではなく、気が付いたら口角が上がっていた・・・そんな笑い。

タイトルの「わさび」は侘び寂びのことかと思いきや、作者の一條さんが家族に対して言ってしまった後悔から来ているそう。
きっと一條さんのお父様の隆太郎の様にちょっとトボけているが家族を大切にする素敵なお父さんだったんだろうなぁ(笑)



COPPELION

2009年03月02日 | 漫画家(あ~お)
「COPPELION」 井上 智徳 現在2巻まで刊行


2036年東京都多摩市。20年前、お台場にあった原子力発電所がメルトダウンによる放射能漏れ事故を起こし、人が全く住めない死の街と化した東京に突如として現れたSOS信号。それを知り3人の少女がやって来た。しかも荊(いばら)・葵(あおい)・タエ子というその女子高生のような3人は放射能で溢れたこの死の街に信じられないことに防護服も防護マスクも全くなしの状態でやってきたのだ!!
彼女たちの正体は「COPPELIN」遺伝子操作で生まれながらに放射能に抗体を持つ新人類だった!!


こう書くとすごい重いテーマの漫画に感じるけど、読みやすいというか暗くはないですね~
まー現在の東京の発展を知っている私達にすればあの「お台場に原子力発電所があった」という設定は無理っぽく感じる部分もあるけど、なによりも作品を暗くさせないのは「COPPELIN」たる彼女らの明るさと前向きさ。

「こんな大量の放射能の中、動ける自分達って本当に人間なの?」と葛藤しながらも今出来ることを懸命に救助活動を続けている彼女達を見ていると生命力というか、人間は大変な事態が起こっても乗り越えられる力をもっている・・・そう信じさせてくれるというか

まだ2巻までしか刊行されていないのですが、作中は人が生きられないと言われた死の街で生き続けている人々とそれを支えたある人物、そして突如として現れる正体不明の敵・・・・謎を少しずつ小出しにされて読み手をグイグイと引っ張りますね
続巻を楽しみにしている作品です


でもね、ふと思ったのだけど、「COPPELION」の世界がけして架空の世界だと思ってはいけないのよね

私達が住む地球上には「石棺」とよばれる放射能による巨大な墓標が確かに存在するのだから・・・

萌えの死角

2009年01月22日 | 漫画家(あ~お)
「萌えの死角」  今 市子

「人の数だけ萌えがある」をコンセプトに自らの作品を「ホモ漫画」と言い切れる腐女子漫画家・今市子さんが見た映画やドラマやバレエ公演、はたまた何気ない日常から数々の見出した萌えどころをピックアップしたエッセイ漫画。


いやはや腐の世界は語ると奥深い(笑)
だから「腐海」(ふかい)というのか

私自身は自らを「腐女子」と言えるだけBLは数を読んではいないし、ハマっても居ないんだけど、さすが今さんですわ~しっかり笑わせていただきました。
それにしても何事も腐目線で見れば、まったく違った作品に見えてくるから面白い。

私が一番ウケたのは「ベン・ハー」
チャールトン・ヘストンの代表作、言わずと知れた名作ですがな・・・
皆さん存知の通り、貴族であった主人公のベン・ハーは友人メッサラの姦計により、家族と引き離され、一家離散。自らは奴隷まで落ちぶれ、最後に宿敵となった友人と戦車(チャリオット)で対戦し、勝利するのですが・・・・

このメッサラの所業がただの妬み嫉みではなく、ベン・ハーを愛するが故の行動だったら・・・・(爆)

今さんはその理由としてその友人がベン・ハーを苦しめようと彼の母と妹を牢へ入れてしまうという行動を上げられています。
美しく若い娘を目の前にして、牢へいれるだけっちゅーのはノーマルな男子としてはおかしいと

確かに・・・(爆)

ただ憎しみだけで苦しめたいのなら、無いほうが不自然
まーこの作品自体、宗教映画という部分もあると思うんで、そう言うシーンはご法度だっただけなのかもしれませんが、そう考えるとラストの戦いに破れ瀕死の状態になった彼がベン・ハーを待っていたのがより納得できるわぁ
今さん曰く、一説によると主役のヘストンには聞かされていないが友人役の人には相手に対して「その気」を持って演じて欲しいと話があったとか
つまりは「ノン気って残酷よね~」的な感じで(おいおい)

映画って本当にいいものですね~(爆)

現在大ヒット中のドラマ「相棒」のことも書いてあるので、もしや~!!と思い、読み進めていくとやっぱりありました

「ハゲタカ」と聞いて、出た今さんの「大森南○、総受け」発言

あと何気に「NHKのドラマ」には腐のツボが多いとも書いてましたわ
ん???これってどこかで聞いた話、あぁ東京の夜が懐かしい(笑)
いや~見る人が見るとやっぱりそうなのねぇ・・・
こたりん師匠、れいく姐さん、さすがっす・・・・

茶箱広重

2009年01月21日 | 漫画家(あ~お)
「茶箱広重」 一ノ関 圭

一立斉広重こと、初代広重が死んだ。後妻のお昆の話では遺言状には形見の脇差を弟子の重宣に残したという。その話を聞いた版元・鳴正は初代広重とお昆の娘・かやを重宣と娶わせ、二代目・広重を襲名させることを提案する。
重宣33才、おかや13才、親子ほどの年の離れた二人に何かと介入してくる義母のお昆。当然上手く行くはずも無く、重宣は画家としてのみ生きようとするが・・・


皆さん、大絶賛の一ノ関圭さんですが、私、トミーさんに紹介されるまで作品どころかお名前も存じ上げませんでした。
お恥ずかしい・・・
この方のレビューについてはトミーさん夜さんが素晴らしいものを書かれていますので、割愛しますが、私なりに少し

一見、男性作家さんかと見まごうタッチですが、やはり女性作家さんだなぁと感じるのは夜さんもおっしゃってますが、女性の描かれ方。
男性作家さんだと、どうしても自分の理想とする女性やあるいは正反対の女性を描きがちなのに対し、色んなタイプの人が書かれている。「すがの幸福」「女傑往来」「裸のお百」「水茎」など出てくる性格はみんな様々
読んでてそれが絵空事ではなく自分の中でもそういう部分がありそうというか、女だからこそ判る業みたいなものを感じるというか。

この「広重茶箱」も主人公は2代目広重(重宜)なんでしようけど、陰のキーパーソンは若後家のお昆にも思えるんですよね
お昆のそれまでの広重に対しての態度が最後の彼女の告白でガガーっと〆られ、そこで読んで読者に「そうか~」と気付かせてくれるんですよね。初代広重が形見として譲ったとされる二振りの脇差は実は「若後家となるお昆」と「娘のおかや」を表現していることを。
いや、その遺言すらお昆による創作で、重宜の事を考えて迷った故の発言なのかもしれない事を。

なんかねーもうフラッシュバック(笑)
そういう目でもう一度読むと今度はお昆の表情や態度が・・・ね。
きっと計算されつくして書いているんじゃなかろうか

広重の葛藤の底には絵に対してのことの他に、この2人の事もあるわけで、それらから解放され、ただの絵師となった時にすべてが昇華されたのかもしれない。
まーその辺りは一ノ関さんの想像もあるかもしれないけど、事実、2代目広重(重宜)の妻だったお辰は重宜と離縁した後に3代目広重(寅吉)と結婚したのは事実だし、広重茶箱といわれる錦絵が切ないまでに美しく感じるのは案外そんなドラマがあるからなのかなぁ・・・

それにしても良い作品をかかれる方なのに、最近は活動されていないのがとっても惜しいですね
トミーさんが惚れこんだのが判りましたわ~

not simple

2008年08月22日 | 漫画家(あ~お)
「not simple」 オノナツメ

ちょっとヤクザな父親を持つアイリーンは恋人の命を守るために行きずりの青年を囮にすることを思いつく。その青年の名はイアン。3年前に姉を探して旅していた時に知り合った女性と再会するためにこの地へ来たのだと言う。だが、イアンはアイリーンが危惧していた通り、人違いされて命を落とす。
不幸を絵に書いたようなイアンが送ってきた人生とは・・・・


冒頭から「主人公の死」というショッキングな部分から始まるこの作品は「不幸で不運な男の物語」・・・と言えばそれまでだけど、他のオノナツメさんの作品と違い、とてもヘビイな内容

オノナツメさんという漫画家さんは最近読み始めた方で、他の作品では男と男の友情を描く作品が多いのだけど、この人って凄いなーと感じるのは作品のカラーに応じて絵柄を使い分けている点。

デッサンのように線を重ねた絵だったり、4コマにでも出てくるような人物の特徴をディフォルメされた絵だったり・・・カラー絵なんて、油絵を思い起こさせるものもあったり・・・。


この作品は殺人、近親相姦、小児売春、そしてエイズ・・・そんな重い題材がてんこ盛りなのに淡々と、そしてその分、切なく感じるのは、そんな「絵」の書き分けにもあるかもしれない。

この「not simple」はディフォルメされた絵の方だったけど、父親そっくりのイアンの大きく見開いた目に切っても切れない血の繋がりとそれを無視する父親の冷酷さを、淡々と綴られていくイアンの人生に、彼が求めていたものが「人の温かさ」であるという部分を、それぞれに強調しているというか、そんな効果すら感じるんです。

「家族だからそばにいたい」
「本当に感じたいのはもっと近くにいる人たちからのぬくもりなのに」


「not simple」=直訳すると「単純ではない」という事でしょうか・・・まさしく人生そのもの
そして、表面に見えるだけじゃなく、その裏側には色々な思いや実情を含んでいたりもする

イアンが望んだ言葉の様に生きるものが当たり前のように願うことが、思う以上に難しくなったりするのは人間だからかもしれないなぁ・・・

ほわグラ 1巻

2008年08月21日 | 漫画家(あ~お)
「ほわグラ」1巻 阿部川キネコ

ストーリーセンスはあるが画力がまったくない進藤。そして絵の才能ズバ抜けているが話作りが全くダメな才賀。彼らは共に漫画家を目指す高校生。ひょんなことからお互いの存在を知った彼らは、お互いの弱点を補い合い、2人の合作で再び漫画コンクール入賞を目指すことにする!!
目指すは大賞、そして人気連載漫画家!はたして彼らは夢を叶える事が出来るのか・・・


大御所では「藤子不二夫」、また「室山まゆみ」「ゆでたまご」「CLAMP」、原作&作画なら「滝口琳々」「にざかな」「たまちく,」・・・複数人で漫画家名を名乗っている漫画家さんって結構いますよね。

帯に「ヘナチョコ青春漫画道」と書かれているこの漫画、そんな2人で1つのペンネーム「CHAMP(チャンプ)」を名乗るようになった少年たちのお話

阿部川さんの作品は今回初めて読んだのですが、4コマからBLまで幅広く書かれている方だけあって、程よい力の抜け方があっていいですね

かといってそれ一色じゃない。
随所に笑いを散りばめながらも、進学校に通い、エリート父親が漫画家に大反対している学校でも家庭でも孤独な進藤と、大家族と共に足の踏み場のない家に住み、ちょっとおっとりマイペースな才賀という正反対の2人の家庭環境に加え、デビューをはたした彼らを通し、読み手である私たちにとって未知の世界、担当編集者という「作り手の側」からのみた視線というか、普段伺うことができない角度からみた漫画家のジレンマっていうんでしょうか、そんなのがあって読み手を引きつけます

掲載誌は新書館の「うんぽこ」との事ですが、久世番子さんの「番線」といい、この雑誌に掲載される作品の視点て、業界の裏側をみせてくれるようで面白いなーと感じました
ただ「CHAMP」となった2人の書く漫画の絵は私好みではないけど(苦笑)

それにしても・・・・
原作と作画担当が分業制になっちゃうと、いろいろ大変なのねぇ・・・
1巻末は彼ら2人がちょっとした喧嘩の後にさる事情で連絡すらとれなくなってしまったと言うトコロで終ってます

続きが気になるぜ・・・


恋ひうた 1巻

2008年08月08日 | 漫画家(あ~お)
「恋ひうた」和泉式部異聞 1巻 江平洋巳 

寛弘5年(1008年)藤原道長の娘であり、時の天皇一条帝の中宮・彰子は男子を出産した。かつて夫と子がありながら2人の親王との恋愛スキャンダルを起こし、宮廷を追われた和泉式部はその御子出産祝いを兼ねた歌会へ招待される。そしてそれを機に和泉式部は彰子の下へ女房として出仕することとなる。和泉式部は皆の羨望と嫉妬の中、彰子に請われるがまま、かつての恋物語を語り始める・・・


和泉式部・・・無知無知な私は「和泉式部日記」の作者であるという事と、夫と子がありながら2人の親王と浮名を流した恋多き女性という認識しかありませんでした。しかも和泉式部日記自体も読んだことないし・・・(汗汗)

同じような恋愛自叙伝な内容で女性が書いたお話と言えば「とわずがたり」があり、漫画としてもいがらしゆみこさん、海野つなみさん、そして今また美桜せりなさんが連載をされているようですが、和泉式部日記の漫画化はこれがはじめでではなかろーか??
(と思ったら、いがらしゆみこさんが書いてました・苦笑)

そして「とわずかたり」が鎌倉時代なのに対し、「和泉式部日記」は平安時代、それも後に「この世をば わが世とぞ思う望月の かけたることも なしと思へば」と言う歌を読んだ藤原道長の時代、王朝文化絢爛の頃です。より華やかさが感じられるのと同時に、物語自体も恋愛スキャンダルで宮中を追われた和泉式部が自らの恋愛を彰子に語る形で進んでいき、冒頭ですでに和泉式部の荒んだ生活とそれに至った原因が明らかしていることもあり、「回想」という手法は読手を引きつける感じがしますね~

それにしても・・・私はてっきり平安時代の「性」という部分を誤解していましたわ~
「源氏物語」では光の君が色んな女性と浮名を流し、中には朧月夜の君の様に未婚とはいえ決まった相手がほぼいる人とまで関係があったので、夫や妻が居ながらうんぬんのという関係にはもっと寛容なのかと思ってましたわ、無知ね~(汗汗)

清少納言や紫式部、赤染衛門など数々の女性文学人が世に名を知らしめ、宮中でも職業婦人のように貴族の妻や娘が働いているのが当たり前の時代でもそんなに女性の地位というのは高くなかったんでしょうか??

1巻では和泉式部の最初の恋の相手である弾正宮為尊親王が登場してきました。
情熱的な歌を残し、後世に恋多き女性として名を馳せた和泉式部ですが、この物語のさわりとも言える1巻を読む限りでは「嫉妬」という紅蓮の地獄を誰よりも考え、悩んだ人のようにも見えました

そして何気にキーパーソンとなりそうなのが、僧侶の春覚かしら??
こちらは実在の人物なのか、江平さんの創作なのかは判りませんが、身分が低く庶出とはいえ、一応天皇家の血を引く人物。
和泉式部が2人の親王と蜜月を過ごすのに、なんからの関わりがあったように思えるんですが・・・まだ1巻なので、その辺りはなんともね