ポン太よかライフ

得した気分、首都圏見て回りの旅、美術館散歩

出光美術館「Utopia描かれし夢と楽園」にびっくり

2009-11-03 14:58:16 | 博物館、美術館行ってきました
出光美術館Utopia描かれし夢と楽園と題して、夢物語や幻想、福寿を司るおめでたい仙人の世界、果ては美人や夢のように描かれた理想の風景が広がる楽しい展示をしています。これらがほとんど収蔵品のみで雄弁に物語られることに驚きと企画の力量を感じます。ここで桃山時代の吉野龍田図屏風にまたも遭遇してびっくり。そうです、根津美術館にあった江戸時代のものと大きさも色合いも構図の取り方もとてもよく似ているのです。この作品が根津に遅れて開催する31日からの展示に、まるでここにもありますよとばかりに置かれていて、観客の興味を見越して根津美術館の作品の写真と並べて、比較しながら解説されていました。痒い所に手が届くような心にくい気配りです。より新しい江戸時代の屏風は様式化が進み、もみじの幹は桜と同様に大きくよじれ、これから紅葉を迎える明るい色の葉は、色が抜けて純白に変容し、赤いもみじを引き立てる影のよう、枝には華やかな和歌の短冊が楽しげにゆれています。一方出光の屏風は、様式の原点に近く、より自然で生命感に満ちているように思いました。さらに次室には根津の粉彩百鹿尊壺と同じものがありますよとばかりに中国・清「大清乾隆年製」銘の紛彩百鹿文双耳扁壺がさりげなく置かれ、目を引きました。
今回テーマである楽園をイメージしながら観覧したことによって見え方が違った、心の琴線にふれたと感じ大きな収穫だったのは、四季花鳥図屏風でした。山本梅逸による透明感のある薄彩色の風景画には鳥のさえずり、水辺で水の跳ねる音、しぶき、ユリの花の香りが漂い、草木が風にさわさわと揺れ鶴が長い脚で近づいてくる動きまでもがリアルに感じられ、楽園のただ中に立ち入ったような幻惑を覚えました。これはもう本当にびっくり体験、イメージしながら見る楽しさを知りました。


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