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ポン太よかライフ

得した気分、首都圏見て回りの旅、美術館散歩

島根探訪ーその3・安来ー足立美術館

2012-06-11 09:16:00 | 旅行
念願の足立美術館に行ってきました。
松江から安来までは本数の少ない電車やバスでの移動になり、帰りの飛行機の時間が気がかりなので、とにかく朝一番で向かうことにしました。
山陰とはよく言ったもので、岡山から伯備線で山中を抜け日本海側に向かうと、関東の山や、日本アルプスなどの山系、盆地になった関西等と明らかに違う風景が迎えます。
その山陰の自然に、日本の原風景といった懐かしさを感じながら、穏やかで何とも静かなたたずまいの緑濃い道を行くと、
安来節を踊るどじょうすくいのおじさんの看板がある安来会館が見え、すぐ近くに足立美術館の入り口が見えました。
「山の上の方に滝が見えるよ」との声に振り返ると、華厳の滝のような、いい景色の瀧がドウドウと豊かな流れを見せていました。
とはいえ、国道沿いに建つ鉄筋の建物が足立美術館とわかり、有名な庭がここにあるのかと意外な感じがしました。

右上に滝      白砂は川に見立てて滝からの流れを演出  

なじみの薄い日本画の良さを知ってもらうために、美術館に来館されたお客様に、まず、だれもが親しみを持てる日本庭園の美しさで、
お迎えしようというのがここのコンセプトだそうで、入ってすぐに開けてくるガラス張りの広間からの景観は素晴らしいの一語に尽きます。
その美しい庭を前に10時から30分学芸員方のガイドが聞けました。
「名園と横山大観コレクション」すなわち日本庭園と日本画の調和は、足立美術館創設以来の基本方針で、
日本人なら誰でも分かる日本庭園を造って、四季の美に触れていただき、その感動をもって横山大観という、日本人なら誰でも知っている画家の作品に接し、
日本画の魅力を理解していただきたい。そして、まず大観を知ることによってその他の画家や作品に興味をもっていただき、
ひいては日本画の美、すなわち「美の感動」に接していただきたいというのが、創設者 足立全康(あだちぜんこう)の強く深い願いなのだそうです。

     自然を切り取り絵の様に見せます

借景の一部にきれいにおさまっていた先ほどの滝が、
開館8周年に作られた人工の鶴亀の滝(15メートル)で、開館時間に合わせて水が流れるのだと聞いてびっくりしました。
近景、中景、遠景とつながって広々と広がるように見えるお庭は、実際の敷地面積としては5万坪あるとはいえ、意外とコンパクトでしたが、本当によく手入れがされ、
開館前一時間は、学芸員からミュージアムショップの販売員に至るまで、総出で庭の掃除や手入れをするそうです。
感心したのは、苔の手入れがよく、水はけに自家製の炭を埋め込む等の独創的な新しい工夫を加え、
よく見かけがちなキノコや、モミジの新芽なども芽吹き次第丁寧に手で取り除き、
赤松の美しい木肌は、古くなって固くなった樹皮を掻き落し、明るい赤を保っているそうです。

こういった人の手で十分な管理がされているところが海外での高評価につながるのでしょう、
米国の日本庭園専門誌「Sukiya Living(数奇屋リビング)/ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」において「2011年日本庭園ランキング」で、
足立美術館の庭園が初回の2003年から9年連続での「庭園日本一」となったのは有名です。
そればかりではなく、フランスの旅行ガイド『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』フランス語改訂版第2版(初版:2009年3月)においても、
足立美術館の「日本庭園」が山陰エリアで唯一となる最高評価の「三つ星」(わざわざ訪れる価値のある場所)と評価されたそうです!

大観のコレクションは、とてもよいものが120点もあり、充実しています。
また、明治、大正、昭和と同じ時代を生き、近代日本画の二大巨匠として「東の大観、西の栖鳳」と称され第1回文化勲章をそろって受章した
竹内栖鳳との比較も見ごたえがありました。
春季特別展では、東西の画壇を率いた二人の巨匠が描いた滝図や浜辺の風景など、同じモチーフの作品が並べて展示され、
ともに花鳥を描いた大観の代表作「紅葉」と、昨年80年ぶりに発見された栖鳳の大作「雨霽」が比較できるなど、見どころも満載でした。

2010年にできた新館には、院展で活躍する現代日本画家を中心にしたコレクションがあります。

二つの茶室、寿楽庵、寿立庵は、時間があれば、中に入ってお茶をいただくことができ、陶芸館喫茶室もあるので、
ゆっくりできます。
四季折々の庭の変化も楽しめるので、きっとどの季節に訪れても、来てよかったと満足できる美術館だと思います。

島根探訪ーその2・松江

2012-06-09 11:18:31 | 旅行
なんじゃもんじゃの木ってご存知ですか?

国の天然記念物に指定されているヒトツバタゴという木で、5月に真っ白い花を沢山つけ、まるで雪をかぶったようになります。
東京では、神宮外苑の絵画館前にある大きな木が有名で、高尾山でもよく似た木を見かけました。

実は、私の祖父が寄贈した苗の何本かが戦後も残り、今も松江城で大きく育って名所になっていると聞き、一度見たいと思っていました。
それで5月に松江旅行となったわけです。

松江は、昨年築城400年祭(徳川幕府になって各藩で城が整備されたので、大体どこも400年ちょっとですが)があり、
観光もそれにあわせて随分と整備されたようです。

 木の橋 天井下がりまーす 堀からの松江城   武家屋敷   船着き場の鯉

その一つが掘周辺の観光地整備と高齢者パワーをフル活用した潤沢なガイドツァーで、少し前から始まった「堀川めぐり」はすっかり観光の名物になりました。
城と堀、 T字路、鍵方道路が当時のまま現存する、今では珍しい城下町松江を、城を囲む堀を小舟に揺られながらめぐり、懐かしい日本の風景を楽しむことができます。
西内堀と北堀には、城の立地条件や予算の都合などから石垣が築かれていませんが、そこに古木が生え繁り、鳥が住み、お城が町に溶け込んで良い風情です。
堀川には16もの個性ある橋がかかっていて、その内4つは、橋げたが低く舟の屋根を下げて通ります。乗船者はかなりかがんでしのぎます。
橋の下に入ると、銭湯にいるように声が響き、のど自慢の船頭さんの歌声にも一段と力が入ります。

 
現存する天守をもつお城は、松江城を含めて12城、松江城は古さでは6番目です。
そして、大きさ(平面面積)では、全国で2番目高さ(約30m)では3番目、古さでは6番目になる天守閣は山陰では唯一となる貴重な存在です。
松江城は慶長16年(1611)初代城主、堀尾吉晴が5年の歳月をかけて完成し、
歴代城主は、堀尾吉晴、江の姉初の夫である京極忠高(いずれも嫡子無くお家取り潰し)の後
徳川家康の孫に当たる松平直政公が信州松本から移封され
以来明治維新まで、松平氏10代234年間にわたり、18万6千石を領しました。

天守閣が山陰で唯一残れたのは、廃藩置県に伴い、松平家から陸軍省の管轄になり、わずか百八十円(米一俵が三円弱)で払い下げられることになった時、
出東村(現斐川町)の豪農勝部本衛門が、旧藩士の高城権八らとともに保存に立ち上がったおかげだそうです。
後に、松平家の末裔が城一帯を買い取り、1927(昭和2)年、松江市に寄付し今に至るので、いわゆる民間による文化財保存活動のはしりですね。

お城の前では珍しく若い観光スタッフが忍者の格好をして、なんと逆立ちのパフォーマンスで観光客をわかしていました。
    天守閣からは宍道湖が一望のもとに見渡せます。
満開のなんじゃもんじゃの木、きれい!観光ガイドでも由来を案内してくれていました。これが御縁で広州と交流でき、松江から苗を送ったそうです。
 

 
夕方雲が出てしまいましたが、島根美術館前まで歩いて有名な宍道湖からの夕日を楽しみました。
観光バスレイクラインが満員で乗れず、タクシーもなかったので、市内のカラコロ工房で勾玉作りをした後かなり頑張って歩きました。
面白い野外彫刻がいろいろあり、かわいいウサギの彫刻には幸せになるおまじないもあるとかで人気です。
美術館は無料で開放されていて、閉館後もレストラン(ベッキオロッソ)が利用できます。ここからの宍道湖の眺めは最高です。
めすらしいジビエ風のイノシシの肉、カモ肉等を使ったワイルドなソースに太さや形もいろいろなパスタのメニューがあるおしゃれなイタリアンでした。






島根探訪ーその1・出雲

2012-06-08 11:20:54 | 旅行
ちょっと前の話ですが・・・

    渋滞    屋根が少し見えました  スサノオを祭った素鵞社(そがのやしろ)
   アドリブ?迫力の格闘シーン

5月の連休に松江に行ってきました。
定番の出雲大社では、山裾の霞たなびく緑の中に、改修中ながらも巨大な本殿の大屋根が垣間見え、
多くの参詣者の中には結婚式を挙げているご一行様までみられて、
縁結びの神の聖地といった荘厳な気配に満ちていました。

    

また、銅剣や巨大神殿の柱が発掘され話題になりましたことから、かつてそびえ立ったという、
伝説の古代神殿の10分の1スケールの推定復元模型をぜひ見たいと思っていたので、やっと見れた時には期待通りの迫力に満足しました。

実はこの日伯備線が車両故障で一時間半も遅れた上、連休中の交通渋滞で路線バスも遅れ
古代出雲歴史博物館にも、神門通りの出雲ぜんざいのお店にも入る時間がなく、
平安貴族の子弟向けの教科書「口遊」に日本で一番高い(45メートルの)大社と記された(雲太)の模型だけ見て松江市内のホテルに向かったという次第。

今年は出雲ゆかりの神話が記された古事記が編纂されて1300年の記念の年で、
来年2013(平成25)年5月の本殿遷座祭では60年ぶりの大遷宮が行われます。
この夏に現れるという本殿(国宝)大屋根には、60年ぶりの葺き替えを終えた桧皮と、千木・勝男木を頂く姿を見ることができるそうです(まだ全体が見れなくて残念)。
今回の修造では、千木と勝男木に「ちゃん塗り」と呼ばれるエゴマ油や松ヤニ、墨などを混ぜた黒色の塗装が施され、
130年ぶりに千木・勝男木の「黒」と、真新しい桧皮の「茶」の鮮やかな対比が見られるそうです。

残念続きの出雲のリベンジは、今年10月10日から11月25日まで東京国立博物館特別4、5室で開催される
古事記1300年出雲大社大遷宮特別展 出雲ー聖地の至宝ーを見ることで果たしたいと思います。

東寺で朝の生身供

2011-08-16 08:50:46 | 旅行
  

宿泊したホテルから10分ほどの東寺に早朝お参りに行きました。
京都の夏は朝から暑く、境内はまだ人もまばらでした。

東寺の御影堂は、弘法大師空海の住房だったところです。
毎朝6時から、一の膳、二の膳、お茶をお供えする生身供が始まります。
毎日お参りに来ている方々にお誘いいただき、思いがけず法会に参加させていただきました。

指導者と思われる方のご発声に続けて、皆で弘法大師の業績をお経の様にしたものを節をつけて読み上げます。
活字の左に調子を表す記号が付いており、初心者でも直に見当がついて声を合わせることができます。
声明を終えると般若真教を読して締めます。
その間は「お大師様」、運慶の息子康勝作の秘仏、北面弘法大師像が御開帳されていて、お体のあたりが垣間見えます。
読経の最後には僧があらわれ、弘法大師空海が持ち帰った仏舎利を法会の参加者の頭と両手にお授けいただきます。
前の柵ににじり寄り、膝立ちをして両手を揃えて出し、そのままこうべを垂れていると、
とても良い香りが漂い、ナムダイシヘンジョウコンゴウと唱えながら赤い砂袋の様なものを頭と手にのせてくださいます。
後で知ることになりましたが、これが空海が大陸から持ち帰ったとされる仏舎利、なんとも有り難く暖かい感動を受けました。

    

7時20分ごろには終了となり、再び閉帳されて静けさがもどります。
国宝の御影堂は桧皮葺の暖かみのある住居の趣で、広い境内には、そのほか金堂、食堂、観智院
21体の立体曼陀羅を構成する仏像群を安置する講堂(一部は東博の密教美術展にお出まし中)や
江戸時代に再建された最大級の五重の塔など、数多くの伽藍があり、
弘法大師様を偲びつつ、京都らしいたたずまいを散策しました。


「乞巧奠」歌の家冷泉家の七夕まつり

2011-08-15 16:14:50 | 旅行

8月11日に京都で冷泉家の「乞巧奠」を観ました。
勅撰和歌集の編纂にあたり、歌の家として知られる冷泉家は今も平安時代と同じしきたりで宮中の七夕祭りを伝えています。
もともと中国から伝わった乞巧奠(きこうでん・きっこうでん)と、わが国の棚機津女(たなはたつめ)の信仰が結びついたもので
7月7日に魔除けを行う風習が、牽牛・織女の伝説に結びつき、「しちせき」のお祭りが、
機織りの上達を祈願するように(乞=頼む、巧=出来上がりがよい、奠=祭る)変わっていったようです。
庭に「星の座」と言う祭壇が組まれ、四脚の机の周囲に九本の灯台をめぐらし、後ろに二本の笹を立て、笹の間には梶の葉と糸をつるした緒が張られます。几帳には、五行説に基づいた緑・紅・黄・白・黒の五色の糸や、海の幸山の幸、ススキなど秋の七草が手向けられ、
五色の布を梶の葉とともに飾りつけ、星に貸すため琴、琵琶などの楽器を並べ、水を張った角盥(つのだらい)に梶の葉を浮かべて二星を映して眺めたそうです。
旧暦七月七日は暦の上では秋になり、月の御船に乗って天の川を渡っている岸辺に秋の七草、マツムシ、鈴虫など音をたてる虫がいる夜の行事だそうです。
   
最初まだ陽の高いうちに手向けの蹴鞠が奉納され、日没とともに雅楽がゆったりと奏でられます。越天楽などの舞の曲と比べ、かなり素朴な感じがしました。
高貴な方々が、満天の星空のもとで、琵琶、笙、篳篥、琴などの音色が大気に広がる響きを楽しんだものと想像しました。

夜も更けて、九本の蜀台に明かりがともされると披講=ひこう、すなわち和歌の披露が始まります。あらかじめ出題された兼題(けんだい)について、詠まれた七首の和歌が読み上げられます。今年の兼題は七夕灯、半紙に書かれた和歌を読師(どくじ)が提示すると講師(こうじ)が節をつけて読み上げ、発声がまた違う節で合唱を先導し、途中から講頌(こうしょう)全員で合唱していくという流れで、
実に美しい声、節回しで飽きさせることがなく流石でした。
     
最後は流れの座に変わって、今度は塗りの盆に歌のお題が載せられてきます。
男女がそれぞれお題を引いて向かい合い、ひこぼし、おり姫になったつもりで恋の歌を歌いあいます。
硯箱が配られ半紙が配られると、速やかにもくもくと墨を摺り、色紙の様に六つに折りたたんだ半紙にさらさらと和歌を書きつけていきます。
男女の間には、天の川に見立てた白絹が敷かれて隔てられており、互いに向かい合う相手と、
扇子にのせた和歌を取り交わしては、「かえし」、として返歌を送ります。
ただひたすら和歌のやりとりだけが静かに進んで古の乞巧奠では、翌朝鶏の声を聞くまで歌会を楽しんだそうです。
   
歌のお題には、七夕の琴、七夕の橋、など七夕の文字が入ります。旧暦の七月七日は半月になるそうで、天の川を渡る船に見立てて
七夕の船、七夕の梶などのお題もありました。梶の葉は、緑鮮やかな大きな葉で、こうぞに似て紙の原料にもされたという葉です。
ずいき(芋)の葉にたまった露をもって墨を摺り、和歌を書いたといい伝えられます。
大きな切れ込みの入った涼やかな形が造形的にも美しく、また、梶の葉の名は、船の舵に通じ、乞巧奠を象徴する存在でした。
一時半から四時までの二時間半が、あっという間に思え、またとない非日常の雅な時を楽しみました。


連休の高尾山は都会並みの雑踏でした。

2011-05-15 16:53:16 | 旅行
ゴールデンウィークの3日、高尾山に行ってきました。
実に数十年ぶり、子供の頃は、燕の巣がいっぱいついた風格のある建物、JR高尾駅から登山道まで長い道のりを歩いた覚えがあります。
田んぼが多かったのでしょうか、こいのぼりが点在する日陰も少ない開けた道を延々と歩くのが暑くて大変だったように思いました。

    

ふもとに京王高尾山口ができ、川沿いに少し歩いただけで、清滝のほとりにあるリフトとケーブルカーの駅に着きます。
混雑を予想し、早朝に家を出て、8時20分には登山道に着きましたが、老いも若きもペットの犬連れも引きも切らない人波に驚きました。
そこからは、山歩きに慣れた近所のハイカー主婦にお勧めいただいた、稲荷山コースから山頂を目指しました。
一時間半の稲荷山コースは、初心者でも山歩きの雰囲気を楽しめる舗装されていない尾根伝いの道です。
鶯など、谷間によく響く鳥の声を聞きながら、タチツボスミレやチゴユリやホウチャクソウなど道端の可憐な花々を楽しむことができます。

初心者の私は、無理なく山歩きの雰囲気を楽しもうと、
下りは、今や若者のパワースポットとして人気という薬王院の参道をそぞろ歩きしながら山上駅まで下り
慣れない下り道で膝が笑わないうちに、急斜度からの景色を楽しめる二人乗りのエコーリフトで山麓駅まで一気に下ります。

舗装された一号路には、ベビーカーを押して登る人や、小型犬など、足の細い洋犬を連れた軽装の家族連れもいっぱいいて驚きました。

    
薬王院には、天狗にちなんだパワースポットが髄分ありました。

ビートルズのポールマッカートニーが来店したという山門前のもみじやで天狗そばをいただきました。
飛び出すように置かれたエビ天が天狗の鼻なのでしょうか?

 
参道を切り開くために、邪魔になる根を切ろうとしたら、一夜でぐるりと蛸の足の様に根を引き寄せた
という伝説の蛸杉なるものもありました。
高尾山は、東京マラソンは無理!という運動不足の人でも思いついたら行けるお勧めのスポットです。
空は黄砂で薄曇りでしたが、久しぶりのハイキングを楽しみました。
4月から毎月押せるスタンプラリーもあり、多くの常連さんもいるようです。

統一20周年のドイツ、平和への真摯な思い伝わる!

2010-08-15 23:41:45 | 旅行
 8月13日に、NHKの色つきの悪夢「カラーでよみがえる第二次世界大戦」を見ました。
戦争フィルムに色を付けた生々しい報道番組です。戦争で、人が殺されて倒れるさまが、延々と続き、戦争のむごたらしさを突き付けて衝撃的でした。
 実は、前日中欧から帰国したばかりで、最初に降り立ったベルリン の印象が強かったので余計に重く受け止めました。

  
  

旅の初日、夕方旧東側地区のホテルに着いた私たちは、緯度が高く夜九時ごろまで薄明かりが残るベルリンの街をそぞろ散歩に出かけました。
黄色いトラムを降りて、軍用輸送路をかねて作られた広すぎる道路をアレクサンダー プラッツ駅に向かうと、飾り気のない古くいかめしい建物が続く荒涼とした風景が、寒々とした気分にさせます。
駅前は、大きなデパートや、368mもある大きなテレビ塔があり、飲食店も軒を並べるにぎわいを見せていましたが、大きな広場には東西統合20年記念でしょうか、大掛かりな写真パネルの展示があり、思わず見入ってしまいました。
peaceful revolution 1989/90と題された写真を一つ一つ見るうちに、日本がまだバブルに浮かれていたわずか20年前まで、東西に分断され戦争が終わっていないドイツの人々の暮らしがあったことに気づかされ、こころが痛みました。

     

翌日、ベルリンの壁の残るイーストサイドギャラリーを見て、壁の破片入りの絵はがきを記念に買いました。

草津、湯畑、湯気の街

2010-07-07 08:45:28 | 旅行
   

群馬に所用があり、草津に寄りました。
途中、吾妻線で八ツ場ダム建設問題で有名な吾妻渓谷を左手に眺めつつ緑豊かな山々の景観を楽しみました。
花の咲いた栗の木や、半化粧、養蚕地の名残の桑の木などを眺めていると、川原湯温泉のあたりからとてつもなく大きくて目を引く橋脚が何本か渓谷をまたいでそそり立つ、異様な工事風景を目にします。
信じがたいほどの高いところに橋があり日本一高価なダムの将来が、いっそう心細く感じられました。

  

長野原草津口駅からバスで25分、降りてすぐ近くに湯畑があります。
広さ1,350㎡、毎分60度の酸性硫酸塩温泉が4,700ℓ湧き出しています。
湯の花を採集する湯桶が並ぶ草津ならではの風景、
湯気が立ち上り、なかなか迫力があります。


湯もみ体験は、蒸し暑く、かなり重労働!
草津の湯は、酸性がきつい上温度が高いので、時間湯と言う独特の入浴方法ができました。
明治の初めに来日したお雇い外国人ベルツ博士によって効能が世界に紹介され、有名になりました。
日本3大名湯の一つにして、総湧出量36,839ℓは日本一。
PH2の酸性で古い角質を除去するため、美人の湯として知られています。
湯もみ歌に合わせて長い板で湯を大きく撹拌してさまし、一斉に時間を決めてはいるという草津ならではの入浴法は、
成分を薄めることなく、温度を下げる為の工夫でした。


   

湯畑から、古き良き温泉街のたたずまいを残す西の河原公園通りを15分ほど進むと、川の流れのいたるところから湯気の立つ不思議な光景が広がります。
途中の土産物店も新旧入り混じり、和風の箸屋、洋風のテディベアの店、とんぼ玉や、繊細なガラス細工を扱うや、試食販売でにぎわい、売り切れもある温泉まんじゅう屋さんなど個性豊かで楽しめます。
湯畑のあたりは、温泉街に来たな、という活気があり、夜遅くまで温泉落語などでにぎわっていました。

熱海のハーブガーデンは花盛り!

2010-03-23 15:51:54 | 旅行
連休中に熱海に行ってきました。
伊豆は温暖な気候で、首都圏から近くお気に入りスポットの一つです。
先月河津に行った時、伊豆半島に入ってから渋滞したので、一番手前の熱海を選びました。
心配したお天気もまずまずで、新宿を7時40分に出発。
はとバスのゆったりした座席で車窓の風景に心を躍らすも、用賀から東名に乗るとたちまち事故渋滞に遭遇、厚木まで120分の表示で海老名到着が10時。
機械内部がモニターで見られる豆ひきコーヒーの自販機を見つけ、熱々の香り高い一杯で気分転換。
厚木小田原道路は順調に走り、11時前には熱海ニューアカオに到着。
ロビーで冷たい梅ジュースのウェルカムドリンクをいただいてから、シーサイドビューのお部屋に通されました。
天気がいいうちに外を観光することにして、MOA美術館は明日にまわし、12時発のホテルのバスで、アカオハーブ&ローズガーデンに向かいました。
     

まずはイタリアンレストランミッレ・フィオーレで菜の花のパスタセットをいただいて入園。
               
ここは、5月の頃バラが満開になり見事な風景になるそうです。今は熱海桜が終わり、桜によく似たベニバナスモモのピンクの花がきれいです。
エリカクリスマスローズ、黄色の水仙菜の花も見ごろで、よく手入れがされた園内は、四季を通して花が絶えないそうで、この日もあちこちで園芸作業の方を見かけました。
   
園内は山の斜面を利用した海を見下ろす見晴らしの良い景観で、園内の無料バスで一番高い浅間神社と野草園のある地点に案内され、20万坪の敷地に12あるというテーマガーデンをめぐりながらゆるゆると下りてくる恰好の散策コースになっています。
世界最大の松の盆栽がある天翔という日本庭園には風でターンテーブルごと周る巨大な盆栽がありびっくり。
途中にあるローズハウス・ローズテラスは色とりどりの花に囲まれたティーサロンで、何気なく立ち寄るとドアを開けたとたん目の前に海と花畑が広がる明るいガラス張りのカウンターがあり、売り場に並べられたローズグッズから立ち上るばらの芳香につつまれて、幻惑されるようなサプライズがありました。
ここでしか味わえないと一押しの、バラのジャムがたっぷりかかったバラのアイスクリームは、本当に印象的な価値ある一品でした。ハーブの好きな人は、ハーブハウスでのお買い物や、ハーブ工房で練香や香袋などのさまざまな手作り体験を楽しめます。
    

夜はニューアカオホテルに戻り、海を見ながらの食事や、お琴の演奏を楽しみました。
(よく見ると、フロントのお嬢さん!幼稚園のころからお琴を習っていたそうでプロの腕前!)このホテルは、アカオロイヤルウィングと隣接していて、こちらの建物は茶室もある静かなたたずまい。
従業員向けのお稽古も色々あるそうで、そのかいあってかサービスや心配りも行きとどいていました。
将棋の対戦に使われ羽生さんのサインがあるスイートルームもあります。


満開の河津桜、いよいよ春ですね!

2010-02-22 10:56:22 | 旅行
   
 沼津からR136を南下して、伊豆半島の中央を修善寺を経由し、天城峠を越えて河津に行きました。
 テレビで咲きそろった桜のトンネルが紹介されたばかりなので、週末は今シーズン最高の人出になりました。途中江間で章姫のイチゴ狩りと菜の花摘みを楽しみ、11時に車に乗り込んでからは浄蓮の瀧まで所々で渋滞に会い2時間近くたちました。天城越えをした後も、芽吹いて春らしい淡い色合いの山裾にちらほら桜を見ながら絶景の河津七瀧ループ橋を超え河津桜の銘木のわきを通りながら駐車場に入るまでにさらに大渋滞にあい、着いたのはなんと2時15分!

                  
  
車を降りると満開の河津桜が出迎えてくれました。この桜は、沖縄などに多い赤みの強い緋寒桜と早咲きの大島桜の自然交配種で、樹齢60年以上になる飯田家の原木から広がり、2月から3月まで、一か月以上にわたって大きなピンク色の美しい花を咲かせます。桜にしては、幹がきれいで枝や根がコンパクトにまとまり、驚くほど狭いところでもたくさんの花を咲かせていました。樹高が低く、舞妓さんの髪飾りのように見える華やかな花を間近に見ることができるのが魅力です。
笹原公園桜の足湯処を中心にして、河津川沿岸は満開の河津桜と菜の花が海まで3キロ続きます。夜はライトアップもするそうで、それはもう素晴らしい景色でした。出店も多く、花の美しさに高揚した笑顔の人波に、久々に行楽地のにぎわいを楽しみました。河津桜の苗も2000円ほどでよいものが出ており、沢山の方が買い求めていました。気候が温暖化しているそうなので、今後江戸時代に広がったソメイヨシノに代わる勢いで、広がっていくかもしれませんね。
             
  

   
静岡県の松崎町は、桜餅に使うさくら葉の塩漬けの8割をまかなうそうで、さくら葉を使った加工品も多く、梅月園のさくら葉餅や、下田の桜あんパン、をお土産に買いました。ほかにも、キンメダイなどの干物、ワサビふりかけ、エビ箭、乾燥シジミなど伊豆の味覚をたくさん買って、再び渋滞の中11時の帰宅となりました。

黄昏の銀座たてもの散歩、光の芸術に酔いしれる

2010-01-11 20:17:49 | 旅行
 たてもの散歩ボランティアガイドのみなさんの館外学習に同行しました。
今回は、銀座1丁目から7丁目まで、途中わき道に入りながら、歴史的建物と、
最先端の話題の建物の見どころ、45カ所を約3時間かけてまわりました。

 
集合前に、銀座コアビルの東京セントラル美術館に寄って春の書道展を見てきました。ここは、若いときよく訪ねた思い出の美術館で、いろいろな企画展示が行われる収蔵品を持たない美術館です。今でいうなら六本木の国立新美術館のような機能で、無料で入れることが多く、訪ねるたびに意外なものに出会えておもしろかったです。新春にふさわしく、入口には書家の方々が思い思いに書いたトラの字が並び、日本の活字文化の表現の多彩さを楽しみながら鑑賞しました。

そして「GINNZAギンザ銀座ー世界のファッションとレトロの街角」と題したたてもの散歩が始まりました。銀座1丁目、昭和7年建築の奥野ビル、銀座芸術の発信基地として、今も画廊やアンティークショップでいっぱいの、とてもレトロな元高級マンション。
それからは一変、トップブランドの競演の数々に感嘆の声を上げつつ、ちょっと見ない間にすっかり変わってしまったなじみのたてものに思い出を重ねながら、見上げる首が痛くなるほど斬新なデザインに見とれてまわりました。


 新しい建物の多くは、外壁が多彩です。窓の形がランダムな泡のようで面白いMIKIMOTO 銀座2は、2枚の鋼板の間をコンクリートで充填した構造の壁を持ち、その表面を真珠のような色合いの柔らかなピンク色に塗装、造船所のような高度な技術を駆使して、熔接した継ぎ目が分からない美しい仕上がりになっています。
また、ポーラ銀座、シャネル銀座などの新しいビルはもちろん、
カルティエブティックオペークギンザ、ディオール、ダンヒルのように既存たてものに外壁を新たに取り付けるだけのリニューアルをほどこしたものも、内臓のLED照明で夜には様々な光を演出したものがほとんどです。建築家だけでなく、豊久将三など、著名な照明デザイナーとコラボレーションしたものが多く、壁というより、光のデザインパネルの様相でした。


ゴールのライオン銀座7丁目店は、大正ロマンを感じさせる良い雰囲気のビアホールです。1階のモザイクが有名ですが、30年ほど前に改装した赤御影石のアーチ型の入り口が温かい印象で大好きでした。この日解説をしてくださった建築家のK氏が手がけたと分かりサプライズ!K氏を囲んでライオン前で記念写真を撮りました。

パピリオンのような新しい建物も素敵でしたが、時を経てもなお、銀座の風格を象徴するような和光の時計台や、三越のたたずまいも魅力的です。教文館ビルから4丁目交差点のあたりの景観はいつまでも残ってほしいと思いました。

初夢見ましたか?

2010-01-02 16:16:29 | 旅行
 昨晩の夢は初夢、皆さんは、どんないい夢をご覧になられたでしょうか?
昔から一年の初めに良い夢を見ようと、宝船などの縁起の良い枕絵を敷いて寝る風習があります。
 暮れに、湯島の方に行った折、水道橋の近くで金毘羅宮を見つけました。讃岐の金毘羅宮の東京分社で、隣には金毘羅会館が併設され、境内には地元のお稲荷様が祭られていました。この入り口の看板に、宝船の枕絵発祥の地であるとの記載がありました。東海道五十三次のやじさん北さんの話にも出てくるように、お伊勢参りに次ぐ人気の参詣スポットとして有名な金毘羅さんは、海の神様として信仰されているので、おめでたい七福神やお宝を満載した宝船はぴったりという気がしました。

憧れのオリエント急行

2009-12-18 22:46:36 | 旅行
 明治16年から126年間も走り続けたオリエント急行が、今週最後の旅を終えたそうです。パリとイスタンブールを結ぶ81時間30分の旅は世界でもっとも有名で、かつては、走るホテルと称された程豪華で、ごくごく限られた上流階級の人しか乗れない憧れの鉄道でした。今は往時の華やかさはないものの、人々の思い出を乗せた国際寝台車として引退が惜しまれます。
 この、オリエント急行が、アガサ・クリスティの小説の舞台になったころの姿をご覧になりたいと思いませんか?そして、その豪華な車中で素敵なお茶をいただけたら、きっと映画の主人公になった気分になれることでしょう。なんと、日本でその夢がかなうのです。知ってました?
箱根ラリック美術館ガラス細工で有名なルネ・ラリックの作品を数多く展示した素敵な美術館の中にオリエント急行の華やかな車両が復元されているのです。
12月1日から3月31日までは、開館5周年記念として、冬イベント「ラリック ウインターライト レビュー」が開催され、ラリックのイルミネーションが楽しめるばかりでなく、期間中に限り車内での記念撮影が可能になるそうです。

また、オリエント急行車内で優雅にいただけるスイーツは、冬にぴったりのほんのり温かいビターチョコレートの焼き菓子「ショコラ モワルー」表面サクサク、まん中はとろっとなめらかな食感が特徴です。添えられた丸いあめ細工はガラスの輝きをイメージしているのだとか。

箱根のオリエント急行でクリスマスなんていうのも素敵ですね。


ヨコハマ中心街近代建築散歩

2009-10-13 16:00:29 | 旅行
縁あって、東京国立博物館の生涯学習ボランティア、たてもの散歩グループのの館外学習に同行させていただきました。
関内から、馬車道、海岸通り、日本大通り、大桟橋通り、象の鼻海岸、大桟橋、山下公園通りを経て、石川町まで6㎞ほど歩くと30ものネオクラシックの歴史的建造物に出会えることにびっくり。
明治の初め、ジョサイヤ=コンドルがお雇い外国人として来日したころは、建築という翻訳名もまだできておらず、工部大学校の一期生の所属は造家学科だったという時代。
それから日本は、西洋に追い付け追い越せの気運が高まる中で、三代巨頭と呼ばれる 辰野金吾(日本銀行、東京駅)や片山東熊(迎賓館、表慶館)、妻木頼黄(横浜正金銀行、赤レンガ倉庫)らが、出身や学んだ様式、官民活動の場の違いなどで負けん気むき出しのライバル意識に燃えながら建築の世界を牽引したそうです。
関東大震災や、横浜大空襲を経て、人口が大阪を抜くほど高度成長した横浜には、何度かの都市計画を経た美しい街並みに明治から昭和にかけての名建築が残されています。
それぞれに美しく特徴のある魅力を持っていますが、保存のために横浜アイランドタワー(旧第一銀行横浜支店)のように、曳き家して場所を移したり、綜通横浜ビル(旧本町旭ビル)、前東京三菱銀行横浜中央支店(旧川崎第百銀行横浜支店)のように新しい建物の一部として生かす努力がされてきました。景観を残す工夫として表面のファサードだけ残す方法を初めてとりいれたのは、日本興亜馬車道ビル(旧川崎銀行横浜支店)だそうです。ガラス張りの近代建築の前面に薄く石造りのファサードが残され、まるでお面を被っているように見えて面白い姿です。見晴らしの良い桟橋からは遠く横浜の高層ビル群も望め、人口が爆発的に増えた神奈川県のエネルギーと共に景観文化への愛情を感じた一日でした。
充実した楽しい御講義を拝聴させていただいて心から感謝です。


東京国立博物館のボランティアさんはとてもよく勉強なさっていて尊敬しています。たてもの散歩のガイドツアーは楽しいので是非一度参加なさる価値があると思います。お勧めです!