東京国立博物館では「空海と密教美術展」を開催中です。
平安時代がいかに立体表現にたけていたか、西洋美術館のギリシャ彫刻に負けない表現と内面からほとばしる生命力に圧倒されます。
異教のヒンドゥー教や道教など以前から地域で信仰されてきた宗教を理論的にも視覚的にも取り込んで調服していく過渡期のダイナミズムを感じました。
空海の書や、中国から持ち帰った仏具などを目の当たりにすると、教科書で習った知識としての空海が生々しい人間として真実味を帯びていきます。
最澄とともに力強く一時代を牽引していた空海のただならぬパワーがすごい。
午後からは、「密教美術の醍醐味」という松本伸之さんの記念講演会に当たったので夫と聞きました。
会場を観てから講演を聞いたのですが、東寺の仏像曼荼羅の迫力ある明王ら、
醍醐寺の如意輪観音菩薩坐像など、心に残った名品が次々に取り上げられて興味深く聞きました。
空海は、仏教への得度は遅く、それまでは自分なりにいろいろな宗教を学び、エリートコースの最澄とはなにもかもがちがうようです。
遣唐使として中国に渡るや、頭角を表し、日本人でありながらたった2年で中国の密教の正当な継承者になって、
そのまま日本に多くの仏宝とともに密教を持ち帰ったそうです。
この展覧会は、とにかくこれは見逃してはいけない!という名品が多すぎです。
ほとんど国宝と重文だなんて空前絶後ですね。
館側の方々は会期中、相当緊張が続くことでしょう。
会場は比較的すいていましたが、知っている方に何人もお会いできました。
入れ替えがあるので、また足を運びたいと思います。