ポン太よかライフ

得した気分、首都圏見て回りの旅、美術館散歩

ルブラン展VS生誕100年岡本太郎展、「はればれと立ち向かう生きざま」いさぎよし!

2011-04-30 16:14:22 | 博物館、美術館行ってきました
三菱一号館美術館のヴィジェ・ルブラン展の後、近代美術館の岡本太郎展を見ました。
   
マリー=アントワネットの画家として同い年の王妃に重用されたルブランは、
当時数少ない女性画家でありながら、流行の衣装をまとった華麗でセンスの良い肖像画を描くことで王侯貴族を魅了し、
絶対王政最後の華やかな宮廷を活写する多くの作品を残しました。
ルブラン展は、男性中心の美術史の中で埋もれていた、彼女をはじめ
華々しく活躍していた18世紀のフランス女性画家達を回顧する野心的な展覧会でした。
アントワネットのイメージを定着させた肖像画や、画家自身の知性や美しさセンスを主張する自画像の完成度の高さ美しさに
目を見張るものがありました。
また、女性が画家として生きるには厳しい世界で、堂々と王侯貴族に取り入り、ひいきにされてアカデミーの会員にまで上り詰める
ルブランや、カぺが自画像で見る限り少女の様にあどけない容姿であることに驚いたり、
確かな技術で描かれる肖像画から強くみなぎる自信に圧倒される力を感じました。
彼女たちから見れば、有名なマリー・ローランサンなどデッサンもおぼつかない頼りない存在に霞みます。
フランス革命で、パトロンだった多くの王侯貴族は哀れにも断頭台の露と消え、王党派のルブランも命の危険にさらされますが、
本人は、絵の修業と称して歓迎する外国で涼やかに暮らし、長い亡命生活中も、
アカデミーに作品を送って入選させるなど画家として実にたくましい生きざまを見せ興味深く思いました。



その後向かった岡本太郎展は「きれいな絵なんか気持ちが悪い!」と豪語して、画風、在りようからするとまさに「対極」
大阪万博で怒ったような太陽の塔の顔に驚き、「グラスの底に顔があったっていいじゃないか」のウイスキーグラスが家にもあったり
身近で、面白く、主張のある日本の現代芸術家の待望の回顧展でした。
私蔵されることを嫌い売らなかったからか、今まで一般の美術館ではあまり作品を見る機会がありませんでしたが、
小気味のいい岡本語録とともに展開される芸術を十分に満喫できる展覧会でした。
彼の生きざま、哲学には、筋の通ったすがすがしいものがあり、再評価されて当然と納得しました。
昨日、北野たけしが中国の火薬アーティストをTVで紹介していましたが、偶然の美などと称して安易な作品作りをして商売をしている
アクションペインティング系の芸術など、一笑に付してしまうほど、岡本太郎の芸術に立ち向かう意思、対決するパワーを感じました。
実物を間近で見ると、絵の具が実に美しく、造形も確かで見ごたえがあります。
彼は、「芸術というのは、生きることそのものである」と言います。その意味では、ルブランの生き方にも通じるものがありそうです。

強く生きる言葉

強く生きる言葉
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ミュージアムショップで買った著書「強く生きる言葉」には、
不条理=「賭けとおし、貫いて運命を生きる、そのためにつまらぬ目に会い、不条理に痛めつけられても、
     それはむしろ嬉しい条件として笑って貫きとおす人間でありたい。
     ふりかかってくる災いは、あたかも恋人を抱きいれるように受ける。」

という一文もありました。
生きることに立ち向かう芸術家という特殊な人間でなくても、
天災という不条理が平凡な市民生活を襲うこともあります。
自分から進んで立ち向かった困難も、自然から受けた不条理もすべからく自分を強くする試練だとわりきって受け入れ、さらに
「ぶつかってきたこの運命に正面から戦いを挑んでゆくほかはない。ただ前に向かって心身をぶつけて挑む、瞬間、瞬間があるだけだ。」と力強く叫びます。
つらい気持ちを整理して、まっすぐに前を向いて生きていく人々に覚悟や励ましや勇気を与えてくれる、芸術家のパワーに感動です。





「小さいおうち」珠玉の一冊と、三菱一号館美術館資料室の「丸の内、職業婦人の誕生展」

2011-04-11 13:13:59 | ブックレビュー
3人の若いモダンガールが微笑みながら闊歩する写真がおおかたの日本史の教科書に載っています。
大正から昭和の初めに流行った粋で華やいだ女性の姿が好景気に沸く時代の雰囲気を伝えて印象的です。
現代の女性より自由なファッションを謳歌していたように思いませんか?

ヴィジェ・ルブラン展を開催中の三菱一号館美術館では、その 歴史資料室で「丸の内、職業婦人の誕生展」を連動企画しています。
マリー=アントワネットのお抱え画家として活躍した、彼女は18世紀フランスにおけるまさに職業婦人という位置ずけです。
この三菱一号館が建つ丸の内は、近代化する日本における職業婦人誕生の地とも言え、丸の内で働くことは女性たちの憧れでもありました。
大正~昭和初期にかけて、当時の職業婦人たちがどのような仕事につき、どれくらいのお給料をもらい、
どのような生活と娯楽を楽しんでいたのかを貴重な写真、資料等とともに紹介しています。
【送料無料】小さいおうち

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直木賞を受賞した「小さいおうち」は、昭和5年美しい大都会、帝都東京に東北から上京し、
中流の良いお家の女中(当時にとってはスーパーキャリアウーマン)として自負を持って嬉々として働くタキの目で見た生活が
ノンフィクションのように生き生きとしたエピソードをちりばめて語られる形で始まります。
美しい奥さまのエレガントな言葉遣いや、美とか凛とした気品とか愛情だとかの価値が今よりもっと真剣に求められ、
生き方にこだわりを持っていたことが丁寧に写実的に描かれます。
料理にしろ買い物や仕立ての技術にしても、家庭を支えるタキの器用で如才ない働きにも興味が尽きません。
生活にしつらえる、演出する、よりよきものとする努力が美しいと思います。
まるで小さな赤い屋根のおうちの美しい時子奥さまをめぐる生活自体がかけがえのない芸術の様で、取り巻くそれぞれの人の思いをこだわりを持って物語られていきます。
淡々とした日常が語られるだけのようでいて、はらはらさせられる魅力的な文章です。
やがて怒涛のように急変していく時代の流れに呑まれて、人々の運命は散り散りになってしまいますが、残された人の思いが明かされた時
呵責や情念の深さに衝撃を受けることでしょう。
忘れ難い読後感が残ります。

それにしても、「あの人は綺麗だったから、誰もあの人を好きになる。また、好きにさせるのが上手でした。そういう人でした。」なんて言われる女性に憧れますね、
婚活なんて言葉が陳腐に聞こえます。
現代を生きる乙女の皆さんも、是の一生を変えてしまうぐらいの魅力を発揮してもらいたいものです!

こういった時代の空気をはらむ小説を読んだり、歴史資料を目にすると、後の世の人には、その年戦争につながる大きな歴史的事件が起きたり、
間もなく開戦を迎え、レイテや神風特攻隊やフィリピンや硫黄島の悲劇が起きているという事が知れていても、
それは「兵隊さんのこと」「海軍のこと」「戦闘のこと」であって、
戦時下の日本人一般は敗戦の悲報も知らされず、普通に、ゆとりある文化的な生活を楽しんでいたということに驚きます。
戦闘は海外でおきていることで、空襲を除いて本土決戦はなく、一般の国民はアメリカと開戦した時も
一瞬南方のゴム会社の株が上がって儲けた人なども出て明るい雰囲気になったり、
昭和17年の正月にスキーに行ったり、銀座で買い物をしたりしていたということがリアルに感じられ恐ろしく思います。

「本当に大切なことは、目には見えないのだよ」と言いますが・・・今も地震後の非常事態から抜け出せずにいる日本でありながら、
関西では電気の節電も特になく、距離に比例して危機感が薄れている現状も似ている気がします。
歴史資料を見ても、小説を読んでいても、後から考えれば今はもう逃れられない大変な事態に日本はすでに陥っているのではという
ゾワリと胃の腑が痛むような漠然とした不安が払しょくできないこの頃です。


何事も無きような春、日本人も英知を尽くして再生しよう

2011-04-05 06:57:34 | 日記
サクラが咲いて、東京もおだやかな青空のもと、いよいよ春をむかえました。

入学式が無くなっても、自然はいつもどおりのうららかさで日本の春を花々で飾っています。
      

ソメイヨシノや、イチリンソウ、コデマリ、山吹やシャガもちらほら・・・
イロハモミジの若葉の先に、サクラのがくの様に見える小さな赤い花がいっぱいついているのもこの頃だけの風景。
目立たないので、気付かずに通り過ぎていきがちですが、やがて秋にはプロペラの様な種になる、濃い赤の可憐な姿を探すのは楽しみです。
かわいいでしょ。
     

世の中は自粛ムード一色ですが、
若いアーティストを支援するNPOを主催するD先輩から素敵なコンサートのご連絡をいただきました。
新進気鋭のギタリストが色々なギターを使って、日本が誇る武満テイストの、親しみのある曲を70分ほど演奏します。
4月10日3時15分から重要文化財の明日館で開催されるという魅力的な企画です。


子育て期間でない我々は、どんどん街に出て元気パワーで文化と経済振興に努めよう!
というわけで、私もTNMのみなさまと、目白ミニ散歩とセットで行きます。

上野ではパンダも初見えになりましたし、皆様も是非どこか春の街におでかけください。

かつて江戸っ子は、お上の規制にもめげずあれこれ生活を楽しんだとのこと、電気を使わず、省エネの工夫をしたうえで
気持ちは前向きに、日本再生の心意気で暮らしたいものです。

日本の叡智を尽くせば足りないという電力問題も解決するかもしれないそうです。
街中の自販機や賑やかなパチンコ屋さんの音も一工夫がいりそうです。
みんなで団結して節約し、総力を挙げて産業に必要な電力をひねりだして復興したいものです。

「夏の計画停電は避けられる」 化学工学会の提言が大反響 - 速報:@niftyニュース.">