時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

スーパーコンピューター富岳

2020年06月23日 | 時のつれづれ・水無月

多摩爺の「時のつれづれ(水無月の12)」
スーパーコンピューター富岳

ビッグニュースが飛び込んできた。
国費から約1,100億円が投じられ、
理化学研究所と富士通が共同開発したスーパーコンピューター「富岳」が、
計算速度ランキングをはじめ、計算性能を示す主要4部門で・・・ 世界1位になったと発表された。

世界のトップ500で、日本のスーパーコンピューターが1位になるのは、
2011年の「京」以来の9年ぶりで、
IT分野で、我が国の技術力の高さを改めて証明したことになる。

本格的な運用は来年度からだというが、
既に新型コロナウイルスの飛沫感染分析などで成果をだしており、
先々は、高性能な材料や部品などの分野で、新たな素材を生み出すかもしれないし、
5GやAIとの組合せることで、気象観測や温暖化予測などを含め、自動運転技術、地震予知など、
様々な分野で、新たなビジネスが創出され、生活レベルの進化にも貢献することだろう。

あえて、もう一つ付け加えるなら、高度な軍事力にも活用できると思われる。
専守防衛が基本の国防において、超高速化した演算技術を活用して、
受け身の軍事力(抑止力)ができれば、攻撃型装備の検討をする必要がなくなり・・・ ありがたい。

昨今の大陸の暴走や、半島情勢に注目すれば、
安心して見ていられる状況ではなく、議論と決断は避けては通れない。

もう10年以上も前の話になるが、かつて野党が政権を握っていた時代に、
多くの国民から喝采を浴びていた、事業仕分けという・・・ 公開で予算を査定する
場があった。
いまとなっては、懐かしくもあり、バカバカしくもあり、
忘れることができないパフォーマンスとして蘇ってくるのは、スーパーコンピューターの予算に対し、
女性幹部が「(世界1じゃなく)2位じゃダメなんですか?」と発した一言だろう。

当時の政権は「コンクリートから人へ」の政策を掲げ、様々な無駄遣いにメスが入れられていた。
特に注目を浴び査定されたのは、先々の必要性について、その確証が見えないとして、
ダム建設や、スーパー堤防などの災害対策や、高速道路や都市基盤の保全強化などのインフラ整備で、
さらには・・・ IPS細胞などの医療分野の基礎研究も査定されるなか、
その極めつけが、「2位じゃダメなんですか?」と問われた、
スーパーコンピューターの開発経費だった。

いまとなっては、必要だった投資が、わずか数年でも失われたことにより、
結果的に、国民生活の向上を図るシステム化が著しく遅れるとともに、
国土を支えるインフラの老朽化に対応が遅れ、自然災害による被害対策を厳しいものにしてしまった。

ただ、思うに・・・ 当時は「コンクリートから人へ」のキャッチコピーに国民は酔いしれ、
歯切れよく、威勢のいい、丁々発止の事業仕分けに、
役人が言葉を詰まらせ、やり込められてる姿を見て拍手を送り、
多くの国民が溜飲を下げていたことも、忘れてはいけない事実だろう。


限られた予算にプライオリティがあるのは必然と捉えれば、
そういった考えの全てを否定するものではないが、
「政治は結果が全て」の言葉の重みを、いま一度考え直す必要があるのかもしれない。

あれから11年・・・ なにが変わったのか?
「2位じゃダメなんですか?」の問いに奮発したスーパーコンピューターは、
1位奪還という答えを出したが、一方で野党になった当時の政権は、急速に勢いを無くすことになり、
政府がだす政策に、対案を出すこともなくなり、
揚げ足取りに終始するだけの万年野党になってしまった。

確かに「コンクリートから人へ」は失敗したが・・・ 説得力のある査定がなかったとも言えない。
「最低でも(沖縄)県外へ」は、沖縄の人々を勇気づけ、
その気にさせ、希望を持たせる対案だったが、
方向転換した後の尻ぬぐい(対案)がなかったことから、
11年経った今でも対立の構造が解決できてない。

とはいえ・・・ あの時、確かに、政治が面白く、世の中が動いていた。
いま、それがないから、政治に緩みが出ている。
もちろん、政権与党の責任だが、揚げ足取りで満足し、
政権交代を諦めてしまったようにも見える野党の責任も大きい。

富岳と、5Gと、AIを融合した、新たな経済対策や、新たな生活スタイルを、
来年度予算に向けて、与野党で提案しあって見たらどうだろうか?

スーパーコンピューター富岳の世界一を受けて、このコンピュータにどんな仕事を託すのか?
与党が先に知恵だしするか? それとも・・・ 野党が先に知恵だしするか?
経済もあれば、国防もあり、インフラや、科学技術も、生活レベルの提案もあるし、
いま、我々が気がついていない、夢のような発想が出て来るかもしれない。

せっかく世界一のスーパーコンピューターがあるんだから、
それを活かす知恵出しに、注力してほしい。
新型コロナウイルスで冷え込んだ社会に、希望を持てるような提案をしてほしいと思うが、
どうだろうか?

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