時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

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2020年06月25日 | 時のつれづれ・水無月

多摩爺の「時のつれづれ(水無月の13)」
スポンサーのご厚意により

スポーツの中継が途中で終わることぐらい・・・ 腹立たしいことはない。
プロ野球なら試合の進捗状況とテレビの放映時間を鑑み、納得せざる得ないこともあるが、
それでも9回裏2アウトだったら、「おいおい何とかしろよ。」となるだろうし、
サッカーの試合がPK戦に入り、途中で中継が終ったら、ホントに「バカヤロー」である。

予め試合時間が決まってるサッカーやラグビーでは、こんなことは滅多にないが、
バレーボールなんかは、予めフルセットを想定して、
試合開始時間より放送を送らせてスタートして調整してる。

それにつけても、残念なのはプロ野球だろう。
NHKを除き、21時を目安に中継が終了するから・・・ ホントに辛い。

それでも系列のBS放送でやってくれるから、
昨夜は九里投手のヒーローインタビューが聞けてやれやれだったが、
カープファンの私からしたら、東京じゃ滅多にテレビでやらないんだから、
放送時間に入るか否かはドキドキものだった。
特に20日のDeNA戦は、BS放送しかなかったのに途中終了だから、
腹が立つのなんのって・・・ バカヤローである。

いろんなパターンでサプライズ(どんでん返し)がともなうのが、スポーツのライブ中継だが、
その昔、期待を裏切ることなく、
放映を5分程度延長してくれるライブ中継があったことを紹介させてもらいたい。

それは「三菱ダイヤモンドアワー」という、三菱電機がスポンサーのプロレス中継である。
放映時間内に、試合が終わりそうでないと、リングアナウンサーが決まって・・・ こう言うのだ。
「スポンサーのご厚意によりまして、延長して放送しております。」
プロレス中継後の、スポット枠を放送延長に回すという、離れ業を使ってサービスを提供していた。

たった5分程度だが・・・ 試合は、それで確実に決着するから不思議なんだが、
それがプロレスという真剣勝負もどきの興行だったということは、
大人になって知る切なく悔しい真実だった。

とは言うものの・・・ こういった中継の延長は、アッパレもアッパレで、大アッパレなんだが、
そもそも「三菱ダイヤモンドアワー」で放映されるプロレス中継では、前座の試合が長く、
メインイベントの時間は、いつも10分あるかないか、
にも拘わらず・・・ メインイベントを告げるリングアナウンスの前には、
必ずスポンサー製造の掃除機「風神」で、リングの上を掃除するパフォーマンスが行われていた。

それが、不思議で意味が分からなかった。
何故なら・・・ リングの上は汗だらけのはずで、雑巾掛けならいざ知らず、
掃除機をかけたってゴミもホコリもないはずで意味がなく、
リアルなコマーシャル以外の何ものでもないのだ。

メインイベントは、基本的に・・・ 日米対抗戦
日本勢は、力道山、ジャイアント馬場、豊登、吉村道明、大木金太郎、
遠藤幸吉、芳の里などのレスラーが中心で、
アントニオ猪木が登場するのは、力道山が亡くなってからだった。

対するアメリカ勢は噛みつきのブラッシー、鉄の爪と呼ばれアイアンクローを武器とするエリックや、
4の地固めで人気を博した、覆面レスラーのデストロイヤーなどで、
1対1の対戦よりも、2対2や、3対3のタッグマッチが多かったと記憶している。

そして試合展開はというと、これが実に面白くて、力道山やジャイアント馬場が主役のはずなのに、
おいしい役回りは、ほとんどと云っていいほど吉村道明が担っていた。

吉村道明が出てくると、必ず場外乱闘になって、パイプ椅子で頭を叩かれて流血してしまう。
フラフラになった吉村道明に、セコンドが白いタオルを渡すと、
吉村道明は、これを鉢巻(ちょっと血が滲んでる)にして、
再びリングに上がるという毎度毎度のストーリー

すると・・・ 吉村道明が居なかった間に、力道山の空手チョップや、
ジャイアント馬場のココナッツクラッシュなどで形勢は逆転しているという、お決まりのパターン
血染めの鉢巻きでリングに戻った吉村道明は、痛めつけられた相手をロープに振り、
その反動を利用して、鮮やかに回転海老固めを決めると、
間髪入れずに、レフリーの沖識名やユセフ・トルコがスリーカウントを取り、
吉村道明の右手を高々と上げる。

まるで、水戸黄門の印籠と似たような展開が・・・ 毎週毎週、繰り返されて行く。
メンバー的には脇役なんだけど、
やられ役と決め役のおいしい役回りを担っていたのが・・・ 吉村道明だった。

毎週金曜日の20時(ゴールデンタイム)から放映されていた「三菱ダイヤモンドアワー」
小学生のころは、これが終わったら翌日は半ドンなので、寝なきゃならなかったのだが、
翌日は朝から、身振り手振りを加えて、唾を飛ばしながらプロレス談義を繰り返す、
これが当時の小学生だった。

いまにして思えば、力道山やジャイアント馬場が繰り出す、チョップやキックの1発や2発で、
スリーカウントを取られることなんて、まずもってあり得ないが、
「あれは・・・ 凄い。」と本気で信じていたし、
吉村道明の流血や、回転海老固めには、心臓の鼓動が分かるぐらいハラハラドキドキしていた。

昭和30年代から40年代にかけて、大人から子供まで家族全員で見ていた、
プロレス中継という食後の団欒
白黒テレビの前に座り、つまみ(スイッチ)を捻ると、
真空管が温まるにつれて、ブラウン管の向こうから、武器を持たない日米対決が映し出されてくる。

恥ずかしながら、力道山の空手チョップを浴び、ジャイアント馬場のキックを受けて、
悶絶するアメリカ人レスラーを見て、家族みんなで歓声を上げ・・・ 溜飲を下げていた。
なんだか侘しい気もするが、それが娯楽と言われた時代があったことも、いまとなっては懐かしい。

閑話休題
話が大きく逸れてしまったが・・・
スポーツのライブは、やっぱり決着がつくまで放送して欲しいと願ってやまない。
スポンサーのご厚意、あっても良いと思うが・・・ どんなもんだろう?


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