時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

リスペクトの精神ってなんだ?

2024年07月30日 | スポーツ観戦

多摩爺の「スポーツ観戦(その49)」
リスペクトの精神ってなんだ? (PARIS 2024)

涙には・・・ 感動の涙と、悔し涙の二種類の涙があるようだ。
オリンピックの前半、メダルの期待が高まる柔道で、
まさか、その二つの涙の目撃者になるとは思いもしなかったが、
競技が始まって三日目を終え、ちょっと気になったことについて、思いの丈を綴ってみたい。

まずは感動の涙である。
開会式の翌日から始まった競技で、柔道・女子48キロで角田夏美選手が掴み取った金メダルは、
1920年のアントワープ大会で、テニスに出場して銀メダルを獲得した熊谷一弥選手から、
104年の時を経て、夏季大会で通算500個目のメダルとなった。

東京オリンピックの代表になれず、一時は引退も考えた角田選手の
頬を伝う涙と、胸に輝くゴールドのメダルが・・・ 大きな節目に彩りを添えてくれた。

そして、悔し涙は・・・ 兄妹揃っての金メダルが期待されながらも、
一瞬の隙を突かれて敗北を喫した阿部詩選手ではなかろうか?

ただ、彼女の試合終了後の号泣について、
メディアやコメンテーターの発言を、批判するつもりはさらさらないが、
触れちゃ行けないことと決めつけ、当たり障りのない言葉でつなぎ、
遠回しに彼女を擁護する報道スタンスは・・・ ちょっとどうかなと思っている。

東京大会のあと、ケガもあって国際大会を欠場し、満身創痍だったことは理解するとしても、
対戦相手を含めて、この後の試合に向けて、入場口の付近で待機していた選手や、
これまでに同選手と戦って敗れた、多くの選手たちへのリスペクトは、
いったい、どう捉えれば良いのだろうか?

号泣するほど、ひたすらに頑張ってきたのだろう。
しかし、柔道の精神ともいうべき「礼に始まり礼に終る。」は、
リスペクトの精神・・・ そのものではないだろうか?

三日目の男子73キロの準決勝、橋本壮市選手に三つ目の指導が出て敗れたとき、
対戦相手は畳の上で、なんどもなんども飛び跳ね、拳を突き上げた。
もちろん、気持ちは分からんでもないが、対戦相手へのリスペクトという精神で捉えれば、
judoならOKかもしれないが、柔道ではあり得ない行為だった。

柔道の普及と国際化に拘るなら、柔道がjudoになることも分からんではない。
とはいえ・・・ 頭が固い古い人間で恐縮だが、
この国を代表する選手には、発祥の国の精神に拘ってほしいと願ってやまない。

彼女が背負ってきたもの踏まえれば、
号泣したい気持ちは・・・ 痛いほど分かる。
大の大人だって、人目を憚らず泣きたいときもあるだろう。

然は然り乍ら(さはさりながら)・・・ メンタルのコントロールが出来てない選手が、
厳しい物言いになって恐縮だと思うが、
オリンピックチャンピオンに相応しいとは思わない。

実績があろうと、ランキングが上位であろうと、勝負事に絶対はない。
今大会は波乱も多く・・・ 既に多くのまさかが起こっている。
メダルが期待された、卓球・混合ダブルスの張本智和、早田ひなペアが初戦で敗れ、
フェンシング世界選手権を2連覇し、開会式で旗手を務めた江村美咲選手も3回戦で敗れてしまった。

さらには、先月開催されていたネイションリーグで、ともに銀メダルを獲得し、
メダルの期待が高かった男女バレーボールでも・・・ ともに初戦を落としてしまい、
いきなり予選リーグ敗退の崖っぷち追い込まれている。

日本代表ではないが・・・ 朗報があったのは、
柔道女子57キロで、日本代表の舟久保遙香選手は、惜しくも準々決勝で敗れたものの、
日本で生まれ、日本に住み、柔道を始めたカナダ籍の選手と、韓国籍の選手が、
決勝を争うんだから、あまりにもドラマチックで・・・ 柔道が取り持った縁に感動する。

まっ、それはそれとして・・・ 他の競技に目を移せば、
あっと驚かされた競技も数々あった。

フェンシング男子のエペでは、フェンシング発祥の国で、開催国でもあるフランスの選手を圧倒して、
加納虹輝選手が金メダルを獲得したんだから・・・ こりゃもう堪らない。

また、馬術総合団体では、事前に行われた馬体検査でミスを犯し、
20点を減点されてからスタートだったにも拘らず、平均年齢41.5歳の選手たちが、
1962年のロサンゼルス大会から、92年ぶりに銅メダルを獲得したんだから大アッパレだろう。

勝負事に絶対はないが・・・ 時として、想定外は起こりうる。
感涙にも、悔し涙にも、ここに至るまでのドラマがある。
ぐっと凝縮された濃密な2週間に、そういったドラマが垣間見えるのが、
オリンピックの面白さであり、醍醐味なんだと思う。

まだまだ始まったばかりだが、
ガンバレ! ニッポン
負けるな! ニッポン

追伸
柔道の3位決定戦を見ていたら、猛烈な睡魔に襲われてしまい、
体操の男子団体のLive中継は見落としてしまったが、
4時過ぎに目覚めたら、エース橋本大輝が不調に喘ぐなか、最後の最後に鉄棒で見事な着地を決め、
大逆転で金メダルを獲得していた。

また、奇跡ともいうべき・・・ もう一つの大逆転は、
スケートボード男子ストリートで、東京大会に続いて二連覇を果たした堀米雄斗選手だろう。

そもそも代表選考では、最後の最後の大会で優勝して・・・ 最後のチケットを掴み、
本番では、最後の演技で高難度の技を決めて、7位からトップに躍り出ての大逆転だから、
これはもう、期待値を遙かに超えた・・・ 神に愛された男と言っても、言い過ぎではないだろう。

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パリ・オリンピック 2024 メダリスト一覧 ( 金6 銀2 銅4 )

・7月27~28日
 金 柔道 女子48キロ          角田夏美 (31)
 銅 柔道 男子60キロ          永山竜樹 (28)

・7月28~29日
 金 柔道 男子66キロ          阿部一二三(26)
   スケートボード 女子ストリート    吉沢恋  (14)
   フェンシング 男子エペ        加納虹輝 (26)
 銀 スケートボード 女子ストリート    赤間凜音 (15)
   水泳 男子400メートル個人メドレー 松下知之 (18)

7月29~30日
 金 スケートボード 男子ストリート    堀米雄斗 (25)
   体操 男子団体            日本代表
 銅 馬術 総合馬術団体          日本代表 (自称・初老ジャパン)
   柔道 女子57キロ          舟久保遙香(25)
      男子73キロ          橋本壮市 (32)


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8 コメント

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Unknown (1kamakura)
2024-07-30 05:31:31
江戸の秋

すごい!
きちんとオリンピックを楽しんでいらっしゃる。
私は観たいけど夜中起きていられず。
予選ばかり観ています。
永山選手の疑惑の判定はしっかり観ました。
彼、銅メダルを取りましたが、そりゃ嬉しくないですよね。
笑顔はありませんでしたね。
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Unknown (多摩爺)
2024-07-30 09:00:02
江戸の秋さん、おはようございます。

はい、楽しんでます。
今朝は4時間ぐらいしか寝てなかったので、
1時前に書いた記事を加筆修正して、タイトルを変えて二度寝してしまいました。
疑惑の判定もありましたが、オリンピックはやっぱり感動しますね。
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Unknown (なおとも)
2024-07-30 12:20:26
こんにちは!

同じ事を感じていました。気持ちは十分理解出来ますが、その気持ちを抑える事も大切だと思います。相手のミスに飛び上がって喜ぶ外国人選手の姿にはガッカリしました。中学生でも、大会で相手のミスを喜ぶ事は禁じられていると聞いております。色々考えさせられながら、頑張る選手への尊敬の念は高まるばかりです。なおとも
返信する
Unknown (多摩爺)
2024-07-30 14:01:26
なおともさん、こんにちは

集中砲火を浴びるかなと思っていたので、
同じ思いの方がいらっしゃって安堵しています。

メディアが、あまり肩入れしすぎるのは、彼女のためにもならないと思いますが、
それにつけても、体操選手の出場辞退といい、今回の彼女の一件といい、
関係者のトラブル対応があまりに下手すぎて、そこだけはガッカリしています。
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パリオリンピック! (kiyomi)
2024-07-31 10:46:10
毎日 暑さにバテ気味ですがオリンピックを楽しんでいます
でもさすが深夜というか早朝はパスですね!

多摩爺さんのオリンピック情報や総評、メダル数は
どこのTV局のコメンテイターより的確でよくわかります
これからの報告もよろしくお願いします

アスリートの頑張りは計り知れないものですが
失敗も成功も長い人生のほんのひと時の思い出!
長い人生を生きてきたおばさんはそんなことを思って応援しています!
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Unknown (多摩爺)
2024-07-31 14:22:20
kiyomiさん、こんにちは

共感していただき、ありがとうございました。
どうしてもメダリスト中心になってしまいますが、勝っても負けても、この国を代表するオリンピアンですから、
あの場に立つまでの背景を解説者がアナウンスすると、つい感情移入してしまいます。
まずは自己ベスト、オマケでメダルになれば申し分ないのですが、なかなかそうも行かないようです。
みなさん、頑張って欲しいですね。
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こんばんわ (力丸ママ)
2024-07-31 19:15:07
私は日本の武道であんな無様な幼児のごとくギャン泣きの姿は見たくなかったです
負けは負け相手をたたえて後から悔し泣きしても、あの場所で多くの方達そして選手に多大な不快感を与え進行を妨げたこと二十歳もとうに過ぎた大人が、コーチも甘すぎたのだと思います
猛反省してほしいです。
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Unknown (多摩爺)
2024-07-31 21:25:36
力丸ママさん、こんばんは

仰ること良く分かります。
アンチでもないのに、モヤッとした人が多かったのでは・・・ と思っています。
まっ、すでに会見して謝罪してるので、この話題はもう終わりにしましょう。
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