R2年司法試験の民法をいろいろ分析“よーくわかる”問8・即時取得・・・。
即時取得(善意取得とも)は、宅建試験だけは、正面から1問として問われていません。
概念としては、2回ほど肢では出題されています。
それは、この制度は動産取引保護のものですから、宅建試験では、不動産を客体にする試験だからです。
ここでは、条文をまず見た方が、理解しやすいですね。
※即時取得 192条の条文
取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。
《解説をちょっと》
不動産と違って動産を取引するときには、これは市場でたくさんあって、頻繁に取引していくので、まさか売主が盗んできた物を売っているとは思わないことがほとんどでしょう。そうであるなら、万が一盗品だったとしても、条文の要件を満たせば、つまり買っている人を保護したい場面なら、直ちに自分の物になるとして、つまり所有権を得られるとして保護するというものですが、すごい制度ですね。
・・・・・・
問8 即時取得に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Aは,自己所有の宝石をBに売却して現実の引渡しをした。その後,Bは,宝石をCに売却して現実の引渡しをした。さらに,その後,Aは,AB間の売買契約をBの強迫を理由として取り消した。この場合,Cは,即時取得により宝石の所有権を取得することはない。
イ.未成年者Aは,自己所有の宝石をBに売却して現実の引渡しをした。その後,Aは,AB間の売買契約を未成年であることを理由として取り消した。この場合,Bが即時取得により宝石の所有権を取得することはない。
ウ.Aは,B所有の宝石をBから賃借して引渡しを受けた上,宝石をCに預けていたが,宝石をDに売却し,Cに対し,宝石を今後Dのために占有するよう命じ,Dがこれを承諾した。
この場合,Dは,宝石がA所有であると信じ,かつ,そのことに過失がなかったとしても,
即時取得により宝石の所有権を取得することはない。
エ.Aは,Bが置き忘れた宝石を,自己所有物であると過失なく信じて持ち帰った。この場合,Aが即時取得により宝石の所有権を取得することはない。
オ.Aは,BがCから賃借していた宝石を盗み,Dに贈与した。Dが宝石をAの所有物であると過失なく信じて現実の引渡しを受けた場合,Bは,宝石の盗難時から2年間は,Dに宝石の回復を請求することができる。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
・・・・・
肢アは×です。応用問題ですが・・・。
AB間は、Aが無権利者ではないので、192条の適用はありません。
強迫の論点として、当事者を保護していきます。
一方、BC間ですが、Aによって取り消されることで、Bは無権利者になります。
Cに192条の要件は該当するのかですが、宝石は動産、Bは無権利者、BC間では取引行為があること、占有は占有改定のみが該当しなかった(行政書士本試験でも以前解説した)、さらにCが善意かつ無過失なら、即時に所有権を取得し、宝石の取得が保護されることがあります。
正解は、肢1か2になりますね。
肢イは試験では飛ばしますが、○ですね。
Aは無権利者ではありません。
AB間の取引には、制限行為能力による取消が別にできるという問題があります。
このような当該取引行為自体に問題があるものとして、それ以外にも「意思無能力による無効、意思表示の欠紋や瑕疵による無効及び取消といった原因」があったなら、それぞれのルールで処理されるべきことです。肢アのAB間もそれと同じ。
即時取得は、「売主が無権利者であるかどうか」という点を処理するにすぎません。これは、買主がなかなか調べようがないからですね。
売主が未成年者かどうかは、買主は簡単に調べられますよね。やはり、状況が違うわけです。分析、分析・・・。
肢ウですが、×と判断できたでしょうか。
まず、Aは借りているだけですから、所有権としては無権利者です。AD間で即時取得が問題にできます。ここでは、「動産の占有を始めた」という要件に関してですが、占有改定による引渡しでは不十分であるという点でしたね。
本肢は、「指図による占有移転をした場合」ですから、okです。
ここは難しいですが、Cという他人が関与しているこということがあるからでしょうか。
正解は、肢1と確定します。
肢エですが、○です。
AB間では、取引行為がありませんので、即時取得の制度が適用される場合ではないということです。取引行為といっていた意味がわかったでしょうか。
肢オですが、○ですね。
これは、Aは,無権利者ですから、即時取得の適用はあるのですが、例外はあるのか、ということです。あるでしょう。
「盗品又は遺失物を取引行為(AD間には贈与契約あり)により取得した占有者に対して、その被害者(Bは被害者)は盗難または遺失の時から2年間、回復請求ができるとしています。
回復請求者は、直接の被害者の占有回復を目的とするものですから、動産の所有者Cだけでなく、賃借人等の占有者も含まれた方がいいでしょう。早く気がついた人が請求した方が回復しやすいですから・・・。
どうですか、ポイントさえ気がつけば結構得点源にできるでしょう。ここでものにしてください。時間はないから。
では、また。
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即時取得(善意取得とも)は、宅建試験だけは、正面から1問として問われていません。
概念としては、2回ほど肢では出題されています。
それは、この制度は動産取引保護のものですから、宅建試験では、不動産を客体にする試験だからです。
ここでは、条文をまず見た方が、理解しやすいですね。
※即時取得 192条の条文
取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。
《解説をちょっと》
不動産と違って動産を取引するときには、これは市場でたくさんあって、頻繁に取引していくので、まさか売主が盗んできた物を売っているとは思わないことがほとんどでしょう。そうであるなら、万が一盗品だったとしても、条文の要件を満たせば、つまり買っている人を保護したい場面なら、直ちに自分の物になるとして、つまり所有権を得られるとして保護するというものですが、すごい制度ですね。
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問8 即時取得に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Aは,自己所有の宝石をBに売却して現実の引渡しをした。その後,Bは,宝石をCに売却して現実の引渡しをした。さらに,その後,Aは,AB間の売買契約をBの強迫を理由として取り消した。この場合,Cは,即時取得により宝石の所有権を取得することはない。
イ.未成年者Aは,自己所有の宝石をBに売却して現実の引渡しをした。その後,Aは,AB間の売買契約を未成年であることを理由として取り消した。この場合,Bが即時取得により宝石の所有権を取得することはない。
ウ.Aは,B所有の宝石をBから賃借して引渡しを受けた上,宝石をCに預けていたが,宝石をDに売却し,Cに対し,宝石を今後Dのために占有するよう命じ,Dがこれを承諾した。
この場合,Dは,宝石がA所有であると信じ,かつ,そのことに過失がなかったとしても,
即時取得により宝石の所有権を取得することはない。
エ.Aは,Bが置き忘れた宝石を,自己所有物であると過失なく信じて持ち帰った。この場合,Aが即時取得により宝石の所有権を取得することはない。
オ.Aは,BがCから賃借していた宝石を盗み,Dに贈与した。Dが宝石をAの所有物であると過失なく信じて現実の引渡しを受けた場合,Bは,宝石の盗難時から2年間は,Dに宝石の回復を請求することができる。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
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肢アは×です。応用問題ですが・・・。
AB間は、Aが無権利者ではないので、192条の適用はありません。
強迫の論点として、当事者を保護していきます。
一方、BC間ですが、Aによって取り消されることで、Bは無権利者になります。
Cに192条の要件は該当するのかですが、宝石は動産、Bは無権利者、BC間では取引行為があること、占有は占有改定のみが該当しなかった(行政書士本試験でも以前解説した)、さらにCが善意かつ無過失なら、即時に所有権を取得し、宝石の取得が保護されることがあります。
正解は、肢1か2になりますね。
肢イは試験では飛ばしますが、○ですね。
Aは無権利者ではありません。
AB間の取引には、制限行為能力による取消が別にできるという問題があります。
このような当該取引行為自体に問題があるものとして、それ以外にも「意思無能力による無効、意思表示の欠紋や瑕疵による無効及び取消といった原因」があったなら、それぞれのルールで処理されるべきことです。肢アのAB間もそれと同じ。
即時取得は、「売主が無権利者であるかどうか」という点を処理するにすぎません。これは、買主がなかなか調べようがないからですね。
売主が未成年者かどうかは、買主は簡単に調べられますよね。やはり、状況が違うわけです。分析、分析・・・。
肢ウですが、×と判断できたでしょうか。
まず、Aは借りているだけですから、所有権としては無権利者です。AD間で即時取得が問題にできます。ここでは、「動産の占有を始めた」という要件に関してですが、占有改定による引渡しでは不十分であるという点でしたね。
本肢は、「指図による占有移転をした場合」ですから、okです。
ここは難しいですが、Cという他人が関与しているこということがあるからでしょうか。
正解は、肢1と確定します。
肢エですが、○です。
AB間では、取引行為がありませんので、即時取得の制度が適用される場合ではないということです。取引行為といっていた意味がわかったでしょうか。
肢オですが、○ですね。
これは、Aは,無権利者ですから、即時取得の適用はあるのですが、例外はあるのか、ということです。あるでしょう。
「盗品又は遺失物を取引行為(AD間には贈与契約あり)により取得した占有者に対して、その被害者(Bは被害者)は盗難または遺失の時から2年間、回復請求ができるとしています。
回復請求者は、直接の被害者の占有回復を目的とするものですから、動産の所有者Cだけでなく、賃借人等の占有者も含まれた方がいいでしょう。早く気がついた人が請求した方が回復しやすいですから・・・。
どうですか、ポイントさえ気がつけば結構得点源にできるでしょう。ここでものにしてください。時間はないから。
では、また。
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