巷のニュース雑記帳

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徴兵制について

2006年05月20日 20時37分27秒 | 国防・憲法
近年、日本で活発に議論が行われている憲法第9条改正。それとともに徴兵制の導入の是非も問われている。民主党の鳩山由紀夫元代表(現民主党幹事長)が民主党改憲案に徴兵制の導入の検討をしているとして一時波紋を広げたこともあった。
ここで徴兵制というのがどういうシステムなのかを説明しておこう。
徴兵制とは文字通り国民に兵役の義務を課すことであり、精神・身体障害者を除く徴兵適正年齢(国によって18歳、19歳、21歳などと様々)になった国民全員を徴兵する全面的徴兵制、いわゆる国民皆兵制と徴兵適正年齢者の中から身体検査などをして選ぶ選抜徴兵制がある。世界の徴兵制を導入している主要国の中で前者を採用しているのはスイス、イスラエル、韓国などで、イスラエルでは女子にも兵役義務が課せられる。後者を採用しているのはドイツ、エジプト、リビアなどである。中でも後者の選抜徴兵制は身体検査などで選ぶ半選抜徴兵制と純粋にクジ引きで選ぶ完全選抜徴兵制がある(完全選抜徴兵制と言う言葉は勝手に作ったものなのであしからず)。選抜徴兵制を導入している国々のほぼ全てが前者の半選抜徴兵制である。後者の完全選抜徴兵制を導入している国はおそらく世界でも1ヵ国だけであろう。それが東南アジアの仏教国、タイである。タイでは21歳以上の成人男子全員に2年間の兵役義務があるのだが、人件費が高いという理由でクジ引き徴兵制になったという。それぞれ男子は21歳以上になるとクジ引き所に行き、クジを引いて入隊か徴兵免除かが決まる。とにかくクジで徴兵か否かの全てが決まる。タイでは海軍が厳しいとのこと。それなのでタイでは海軍への入隊が決まってしまった青年が気絶してしまったらしい。ちなみに兵役期間中に脱走してつかまると裁判(恐らく軍法会議であろう)にかけられて10年間牢獄にぶち込まれてしまう。
一口に徴兵制といっても様々である。ここで徴兵制のメリットとデメリットを挙げてみよう。
メリット
強制的に兵士を集めるしくみになっているため最低限の人数を確保することが出来て定員割れを防ぐことが出来る。周りをたくさんの国々に囲まれている国家(ドイツ、スイス、中国、ロシアなど)や毎日が戦争状態にある国家(イスラエル、コンゴなど)はいつ自分の国に他国が攻めてくるか分からないので自国を守るために最低限の人員は確保する必要があるためである。
デメリット
とにかく兵士の教育を含めた人件費がバカにならないほど高い。兵士の訓練などに費用が行ってしまう為、比較的豊かな国々はいいが(イスラエルやスイスなど)それ以外の貧乏な国々は兵士の教育・訓練だけに軍事費の大半がなくなってしまうため、いつまで経っても新型の兵器を購入・発明することが出来ずに旧式装備のままになってしまうことが多い。特に北朝鮮は全土が凶作に見舞われ数百万の餓死者を出して国全体が貧乏になり、更にアメリカなどの金融制裁などによりろくに外貨が入らなくなり、それなら国内の金で何とかしようと思ったら軍の幹部達が本来は武器購入などに充てるはずの金を勝手に自分の金として米などを買ったり賄賂を贈ったりしていたため国内の金すらも不足し、新型の武器を購入するどころか旧式の武器や戦闘機などの燃料補給さえまともに出来ないという惨憺たる有様となっている。また若者が徴兵されるとなると若者が持っている発想力や技術力が社会の発展に生かされないとも言われている。日本やイギリス、アメリカなど国土線の大半が海に面している国家は基本的に高度な国防技術を重視しているため人件費がバカにならない徴兵制より少しでも有能な人材が集まる志願制を導入している。
ちなみに、徴兵制を導入している国々でも「良心的兵役拒否」という制度がある。これは戦争や軍隊などを一切の悪とする人々に対して兵役義務の代わりに一定期間社会奉仕活動をさせる制度である。この制度は西欧のほとんどの国々で制度化されている。(この前投稿した記事で、スイスは兵役拒否が認められていないと書きましたが誤りでしたので訂正いたします。)しかしイスラエルなどの戦時国家では良心的兵役拒否は厳罰に処せられ、最悪の場合は死刑になることもある。いずれにせよ日本で徴兵制を導入する確率は極めて低い。いや必ずといっていいほど無いだろう。