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ポルトガルのえんとつブログ

画家の夫と1990年からポルトガルに住み続け、見たり聞いたり感じたことや旅などのエッセイです。

077. つ、疲れる~

2019-01-05 | エッセイ

4月15日、ポルトガルに戻ってきた。
いつもなら成田発なのだが、今回は関空発で、パリで乗り換えてリスボンに到着したのが、夜の10時。
それからタクシーで「ガレオリエンテ」に行き、セトゥーバル行きのバスを待つ。
夜11時発のバスなのに、若い女性もけっこう多い。
広いバスターミナルはたくさんの照明で明るく照らされ、怪しい人影も見当たらない。
バスに乗って、またタクシーに乗り換えてやっと自宅にたどり着いた。
郵便ポストにはたくさんのチラシと郵便物があふれ返っていた。

翌日は朝から行動開始。
つ、疲れる!
疲れていても行かないといけない。
まず滞在許可ビザを受け取りに、そしてクルマの税金と家の税金を払わなくちゃ!

ヨットハーバーの近くにクルマを停めて、「ドッカ・ド・コメルシオ」の前にある外国人登録事務所まで、
歩いて行った。
空は鉛色、2人の頭は旅の疲れと寝不足でボ~ッ!
空からポツポツ、事務所にあと数歩というとこで、突然ドバーッと降ってきた。
滝のようなすごい雨。
1月にこの事務所に申し込みにきた時も、突然豪雨に見舞われた。
この場所はなぜか、狭い範囲の集中豪雨地帯ではないだろうか?

事務所は入り口のところまで人があふれている。
私たちの後から飛び込んでくる人たちはずぶ濡れ。

ようやく私たちの番が来たというのに、「これは5月13日だけしか受け取れませんので、出直してください」という。
5月13日までが受け取り期限だと思っていたのに…

気を取り直して、クルマの税金を払いに行くと、なんということ!
いつもの事務所が閉鎖されて、内部の工事をやっている。
工事人の一人が、「ここをぐるっと回ったところに仮の事務所があるよ」という。

プレハブの仮事務所に入ると人がいっぱい。
ところがここも5月になってからしか受け付けられない~という。
去年は6月に日本から戻って来て、すぐに払いに行ったら、延滞金を取られたので、今年は早めに払いに行ったのだが。

外に出ると、止んでいた雨がまた降り出した。
最初は小粒だったがだんだん強くなり、傘無しでは歩けない。

商店街の一軒の店先で傘をどっさり並べた台を出していた。
数人のお客が慌てて傘を選んでいる。
私たちも8ユーロの傘を買った。
店の奥にあるレジで支払いをしていると、店先で傘を売っていた店主が二階に上がり、傘をどっさり抱えて降りてきた。
さっき並べていた傘はほとんど売れたようだ。

雨の中を固定資産税を払いに行くと、ここも順番待ち。
でも支払いをするだけだと言うと、別の受付で、すぐ済んだのはラッキー。

外に出ると雨はすっかり上がっていた。

ヨットハーバーまで戻ると、どこからか炭火焼の匂いが漂ってきた。
たしかヨットハーバーの中に炭火焼のレストランがある。
初めての店だが、せっかくセトゥーバルに戻ってきたのだから、久しぶりに魚の炭火焼を食べることにした。

船着場の脇で大々的に魚を焼いている。
魚の種類も多いし、大量に焼いている。
でもなぜか薄切り?

店の中はすでにお客でいっぱい。
テーブルに着くと、ウェイターが飲物と前菜を持ってきた。
でもメニューはなかなか出てこない。忙しそう。

そのうち持って来るだろうと、つまみをあてに飲んでいると、焼きあがった魚の乗った大皿を抱えた男が歩き回りながら、あちこちのテーブルに取り分けて配っている。
そして私たちの皿にもぱっと乗せた。
小さなサルディーニャ(いわし)が三匹。
注文していないのにかってに置いていったのだ。
あっけにとられた。

食べ終えた頃を見計らって、次から次へ焼き魚が運ばれた。
黒太刀魚、サルゴ、しゃけ、カンタブリアなど。
どれも薄切りなわけがようやく判った。
たくさんの種類を少しずつ食べる方式なのだ。
ブラジルで肉やソーセージをお客が「もうたくさん」と断わるまで次々に持ってくる方式があるが、この店はその焼魚版なのだ。
そういえば店のスタッフもほとんどがブラジル人。
こんな店があるとは今まで知らなかった。
しかもすごく安い!
飲物をおかわりしても2人で26ユーロ!

「いい店が見つかったね」
と、喜んだのもつかの間、外に出ると落とし穴が待っていた。

クルマのエンジンがかからない!
日本に帰国した3ヶ月間、はずしておいたバッテリーを付け直したのだが、その時は一発でブルルンと勢い良くかかったので、すっかり安心してしまったのがいけなかった。

しかたがないのでACPに緊急電話。リスボンから来るので40分はかかるそう。
ACPとはオートモービルクラブポルトガルのこと。
毎年会費を払っているが、こういう緊急事態の時は助かる。
以前もアレンテージョのモンサラスで、車が突然動かなくなった時、来て貰った。
その時はセトゥーバルの家まで3時間の距離をタクシーで送ってくれて、車も修理工場まで運んでくれた。

クルマの側に立って待っていると、赤い小型トラックがやってきた。
ACPの車がようやく到着。
やはり故障の原因はバッテリーらしく、溶液を補充して充電を始めた。
すると、エンジンはブルルンと始動。それからあちこち点検したあと、
「これから20分以上走り回ってください」
と言って、係員は帰って行った。

一時はどうなることかとがっくりして、どっと疲れたが、これでほっとした。

夜のニュースで、アイスランドの火山爆発の影響で、パリのドゴール空港やロンドン、フランクフルトなどの空港が閉鎖されて、空港内でたくさんの乗客が足止めをくっているというので、驚いた。
昨日の夜、私たちがパリから到着したリスボン空港は閑散としていたのに、今日は乗客が立ち往生して満杯の様子。

成田空港などでは15日の午後から閉鎖されたそう。
私たちは15日の午前11時40分に関空を出発した。
間一髪で空港に閉じ込められなくてすんだのだ。
それから4日間も日本やヨーロッパ各地の空港は閉鎖されたままだった。

あれこれ疲れた一日だったが、空港に4日間も足止めをくった人たちに比べたら、なんてこともなかったのだ。

muz
2010/04/27

 

©2010,Mutsuko Takemoto
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(この文は2010年5月号『ポルトガルのえんとつ』に載せた文ですが2019年3月末日で、ジオシティーズが閉鎖になり、サイト『ポルトガルのえんとつ』も見られなくなるとの事ですので、このブログに転載しました。)

 

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