鉄道の駅舎が様々な形で使われている。以前に行ったカステロ・デ・ヴィデの駅舎は「デスティーニョ」という名前の小さなホテルに改造されていた。鉄道は廃線になっていて、列車が来ることはない。
今は使われることがないプラットフォームに椅子テーブルを出して、コーヒーを飲みながら野鳥の囀る声を聞き、木々を渡る風を感じながらワインを飲むという貴重な体験をした。
アルガルベでは、ポルティマオンの対岸に「フェラグド・パーシャル」という駅がある。港町フェラグドと隣町パールシャルの二つの町をまとめてひとつの駅ができている。ラゴスからファロ行きの電車が片道7本、往復で14本走っている。現役バリバリの駅である。
駅の正面
レストランの名前は「オ・レメ」
プラットフォームのカフェテラス
ところが駅舎はレストランになっている。正面は完全にレストランの店構えで、後ろのプラットフォームもカフェテラスになっている。しかも経営者はポルトガル人ではなく、ネイティブ英語を話すイギリス人だ。
コーヒーを飲み終わるころに電車が到着した。急いでプラットフォームに駆け付けると、電車から降りてきたのは一見して外国人と判る人々。電車に積み込んだ自転車を降ろし、ヘルメットを被り始めた。止まっている電車のなかの乗客も殆どが外国人。
電車がやって来た
アルガルベ地方は海岸線に沿ってリゾートホテルや別荘がびっしりと立ち並ぶ場所。イギリス人やドイツ人がたくさん住んでいる。
彼らは祖国で定年まで勤めあげ、ポルトガルで別荘やマンションを買って暮らす。何といってもポルトガルは祖国に比べて物価が格段に安いし、気候も温暖で、とても暮らしやすい。しかもアルガルベの玄関口、ファロ空港からは格安飛行機がヨーロッパ各地に発着しているから、数時間で祖国に帰れる。リタイアした老人たちにとっては天国だ。
老人たちだけでなく、体力のある30代のファミリーたちも住み着いている。海岸から少し山に入った場所にある農家を買って、自家製ソーラー発電で電力をまかない、自給自足の生活をしているようだ。
先日、アレンテージョの山道を走っていて、道に迷ってドン詰まりまで行ってしまった。そこは農家で、空き地にはキャンピングカーが2台とテントが張ってあり、ちょっと変な感じだったが、とりあえず道を尋ねようとクルマから降りたら、がさがさと音がして、10歳くらいの男の子が物陰に隠れた。金髪の頭が見えたが、どうも、突然現れた東洋人を見て驚いた様子だった。怯えているようなので、声をかけるのもはばかられて、私たちはそのまま元来た道を引き返した。大人の姿は見かけなかったが、彼らも又、北の国からやってきたファミリーだろう。
ポルトガルは観光ブームで世界各地から続々と人々が押しかける。温暖な気候と物価の安さ、治安の良さ、それに加えて料理の美味しさと人々の親切が外国人を魅了する。MUZ