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チャオプラヤ河岸の25時

ビジネスマンの日記帳

トランプの意図

2025-04-21 11:16:25 | インポート

 対米交渉は大丈夫なのか、との不安が募る。何より心配なのは石破政権がアメリカの要求が本質的に何を求めたものか理解していない可能性があることだ。石破は貿易赤字の解消を目的にしたもの、とトランプの意図を解釈しているがこれは的を射ているのだろうか?

 まったく異質の思想でWTOのルールを無視し、多額の政府補助金や奴隷労働による安価を武器に輸出振興を行ってきた中国。公平とか正義とかを前提にしたWTO体制にそもそも馴染まず、まともな国ならば価格競争での勝ち目が全くなくなる。ならばその中国とはデカップリングするしかない、それがことの本質である。ASEANや日本には中国の迂回輸出の中継地になるなら更に上澄みの関税を掛ける、との意思表明になっている。中国企業が大挙進出しているカンボジアやベトナムには既に高関税を通告されている。中国経済圏との切り離しを徹底する宣言以外の何かではない。政府や経団連が頻繁に中国詣でをする日本、トランプが石破政権をまったく信用していないのは明らかであり、それへの対応失くして今回の対米交渉はまったく意味を為さない。

 外資企業はともかく、中国の国内企業は未だに長時間残業や土日出勤は当たり前であり、ウイグルでの低賃金強制労働による太陽光パネルや綿花の生産などは当然にも圧倒的な価格競争力を持っている。中国と価格競争すると云うことは、先進国側で賃金圧縮を伴ういわゆるデフレの輸入を意味してしまう。この構造がある限り中国をWTO体制に組み込めば貿易相手国は衰退し、製造は壊滅的な打撃を受けることになる。WTOへの中国加入を先導したアメリカの歴代政権の誤り、それをトランプが問題視しするのは当然のことだろう。

 共産主義の本旨は生産手段の私所有の禁止であり、その部分が揺らぐことなどあり得ない。つまり土地と企業は何時まで経っても共産党の支配下、実質的な所有に置かれる。その世界に一体何の用件があって資本投下しているのか、トランプでなくても経団連に真意を聞いてみたくなる。トランプの対中関税戦争とはその体制間矛盾を反映しており、日本に安保を含めどちらの世界を選ぶのか踏み絵を求めている、それが全てだ。石破政権が車や大豆の輸入が課題、程度の矮小なおめでたい認識であれば最早トランプの相手にはならない。痛みを覚悟してデカップリングを進めるが、両方と上手くやる、そんな立場は認めないと云っているのだから。石破にそんな覚悟や認識があるように見えない。正に平和ボケ国家の危機だ。

 

 

                           川口

 

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