チャオプラヤ河岸の25時

ビジネスマンの日記帳

中国投資の激減

2023-08-14 00:27:22 | インポート

 中国経済の変調が際立ってきた。4-6月の海外からの対中直接投資額は前年比-87%となり過去最大の落ち込みとなっている。デカップリングへの長期的懸念に加え、ロシアとの密着、反スパイ法による外国人の恣意的逮捕を可能にしたこと、などが外資に嫌われている。

 馬鹿げたゼロ・コロナ政策で衰弱させた経済、何の説明もなくそのゼロを放棄したが、冷え込んだ個人消費が思う様には回復してこない。リバウンドもなく、リベンジ消費も起きなかった。世界はインフレ傾向にあるが中国だけはデフレの脅威に晒されている。習近平のマクロ経済音痴は有名だが中国経済を崖下に突き落とす為には何でもしている、といった風情だ。

 中国の急成長の理由は外国資本による膨大な投資資金の流入、不動産開発、政府によるインフラ投資と軍備拡大需要とに依存していた。今後リスクを高める中国に海外資本が積極的な投資を再開することはない。不動産部門では広州恒大の47兆円もの巨額債務に加え、恒大の4倍の事業規模になる最大手の開発業者である碧珪園が半期1兆円の赤字を発表した。大連万達でも経営不安の高まりを受け経営幹部全員が当局に連行されている。いずれもデフォルトが避けられないと見られている。

 中国の不動産取引は先払いが原則であり、業者が破綻になれば住宅は建たず、金は帰ってこないという阿鼻叫喚の世界になる。借金しても買っておけば後に値上がりする、というバブル信仰の需要が作り出した中国不動産業界の儚い活況、それはデフレ環境下ではどうなるのか、失われた30年を知る日本で今更語る必要もない。

 中国GDPの30%を占める不動産業界が破滅の淵に在れば、他の産業も青色吐息になることは避けられない。鉄鋼、セメント、金融、建設、家具、家電、信用破綻は際限も無く広がることになる。既に30歳以下の若年失業率は40%を超えたとされ、肝心の個人消費の回復には長い年月を要することが確実となっている。習近平は中国現代史の中でも突出して愚昧な独裁者として名を刻むことになる、間違いない。

 

 

 

                            川口

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