排除の論理

　さて、もう一つ重要なことを私は先の意見の中で述べた。それは、

　にも拘わらず、再検証さえもしないというのであれば、｢賢治学会｣の幹部がやったこれらの二つの事例<*1>は｢賢治学会｣がやるべき事とは全く逆の事ですから、真っ先にお願いすべきは、｢賢治学会｣幹部によるこのようなハラスメントが許されているという、本学会の今の体質をまず検証することだ、となってしまうのではないでしょうか。

ということを、である。
　そして、このような｢検証｣が必要であると感じているのは私一人だけではないし、複数の人がこの文書送付に対して疑問を呈し、憂えていることを私は知っている。特にある方などは、

　あの文書は問題ですよ。あれは鈴木さんに対する個人攻撃であって、代表理事が責任を取って辞任せねばならないようなやり方です。鈴木さんはこのままだとこれによって殺されますよ。

と心配して下さり、『このような件に関しては無料で弁護士が相談に乗ってくれる制度もあります。裁判すれば勝てますよ』と教えて下さったからなおさらにだ。

　さりながら、現｢賢治学会｣の理事会が中心となって、｢｢賢治学会｣幹部によるこのようなハラスメントが許されているという、本学会の今の体質をまず検証すること｣はほぼ可能性ゼロだ。その可能性に比べれば、私が生物学的に｢殺される｣ことはないだろうが、賢治学｢界｣から排除されるということの方の可能性が大だろう。その意味では、たしかに私は殺されるかもしれない。それは例えば次のようなことからも示唆される。
　実は少し前、『鈴木さんは賢治学会を辞めたそうだ』と賢治学会のお偉方の一人が言っていたということを、学会員の一人から私は教わった。そんな噂が飛んでいるということは、おそらくそうあってほしい（つまり同学会から排除したい）ということの一部の会員の｢意志｣の現れだろうからだ。

　だから私は、貴乃花がこの度あのような決断をした気持ちがよくわかる。そこにも同じような排除の論理が透けて見えるからだ。ただし私は賢治学会を脱会していないし、これからも会員であり続ける。そして、おかしいことはおかしいと言い続ける続けるつもりだ。
　にも拘わらず、私が｢賢治学会｣から｢殺される｣（＝排除される）のならばそれはそれでまた本望だ。それは逆に、｢仮説検証型研究｣によって検証できた仮説を、反例も突きつけることもせずに葬り去ることはできないということを、歴史がそのうちに教えてくれることになるはずだからだ。

<*1：註>　二つの事例とは、次の二つのことである。
　一年前、賢治精神を実践しましょうと『三陸被災地支援募金』を呼びかければ、代表理事から一方的に禁止命令が出され、そして今年は、仮説検証型研究という正攻法で研究した結果を『本統の賢治と本当の露』という本にして出版したならば、程なく、5月に私に対する個人攻撃ともとれるような、代表理事名の文書が学会員へ送付された。
　つまり、非対称性のある力関係の下、賢治精神を発揮しようとすれば禁止させられ、賢治研究の発展を願って正攻法の研究結果を公にすれば嫌がらせをされるということが起こったわけで、｢賢治学会｣から私に対して一種のハラスメントがあったと認識している。

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