加賀騒動(1)
「加賀騒動」と高桑政右衛門
日本の3大「お家騒動」と言えば、他に「伊達騒動・黒田騒動」があるが、最も有名なのは、加賀騒動であろう。何しろ100万石騒動である。しかも波乱万丈、勧善懲悪、陰惨奇怪な成り行きという、巧緻な劇的構成で、無類の面白さである。
加賀騒動本・最後の一章を飾るのは、“忠臣・高桑政右衛門”の仇討である。そして藩から追及される高桑の自死を以(も)って、長編「加賀騒動記」を締め括っている。
加賀騒動は複雑なので、主題である「高桑事件」が起きた経緯を辿る為に、本欄では、「1.巷説・加賀騒動」・「2.史実・加賀騒動」・「3.高桑仇討事件」の3部としたい。
通常「加賀騒動」と言えば、「巷説」のそれであり、フィクションである。しかし全てが虚構ではなく、加賀藩にも、例の通りの、藩主の相続を巡るお家騒動があり、その大筋に沿って、興味本位の虚構奇話で脚色している。
それで、歴代藩主・家老である「前田土佐守」以下、側室・藩士、加賀騒動の主役である「大槻伝蔵」や大槻の家臣・家老である「高桑政右衛門」等、全て実在の人物である。
「加賀騒動本」は、幕府によって、版行が禁止されていたが、民衆にとって、この絶大な人気本は、多数の写本となって、貸本屋を稼がしていた。
「加賀騒動」は、江戸時代の宝暦期(1750年代)以来、広く流布し、写本ばかりではなく、明治に至る迄、歌舞伎・人形浄瑠璃・講談・映画・歴史小説・大槻伝蔵の史伝小説等となり、人気が衰えなかった。
映画・「加賀騒動」
昭和28年、東映
村上元三 原作 山田五十鈴等出演
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