加賀騒動(2)
巷説(フィクション)・加賀騒動
大槻伝蔵と前田土佐守直躬(なおみ、以下・「前田土佐」)
加賀騒動の主役は、数々の奸計を以って、100万石を謀(たばか)る悪玉の大槻伝蔵であり、片や脇役として、伝蔵退治に奔走する、正義の味方・善玉の前田土佐である。
加賀騒動は、人口に膾炙して、その成り行きを、今更此処で、述べるまでもないが、高桑事件に至る顛末を明らかにする為、ざっとでも、騒動経過を、復習(さら)っておく。
時は、第6代・前田吉徳(よしのり)の時代である。足軽出身の大槻は、吉徳に仕え、異常な出世欲に駆られ、悪辣な策略が功を奏し、遂には御側用人(おそばようにん)兼家老にまでに、伸(の)し上がった。
吉徳の藩政・財政改革は、卓越した力量ある大槻の手助けで進展し、大槻は大いに信頼され、毎年の加増に次ぐ加増で、遂に3800石の上士にまでになった。
これに対して、藩内保守派から羨望・憎悪が巻き起こるのは、必然であった。その中心が、1万1千石の家老・前田土佐であった。大槻弾劾状を4回も提出した。その執拗さに、藩主は怒り、家老職を罷免してしまった。
吉徳の側室・お貞(おてい、真如院)は、我が子の100万石藩主の座を願い、大槻の力を得ようと、誘惑・密通した。大槻は、恩ある吉徳を暗殺し、更に7代・宗辰(むねとき)を毒殺。
大槻は、更に奥女中頭・浅尾を籠絡し、8代・重熈(しげひろ)の毒殺を謀ったが失敗した。この異常事態の連続に、前田土佐は、大槻・お貞・浅尾3者の密着を掴み、大槻一味を一網打尽にする。大槻は、越中五箇山の流刑地で自害、浅尾は有名な「蛇責め」の刑の後に殺害、お貞は、終身座敷牢禁固。
覚書(119)の「映画看板絵」、中央が、大友柳太朗演じる「大槻伝蔵」、右側上が、山田五十鈴扮する「浅尾」、勿論名優・千田是也演じる「前田土佐」も「お貞」役等も出演している。
画像は、国芳画・「大月伝蔵」
江戸時代末期の浮世絵師・「歌川国芳」
石川県立郷土資料館 所蔵
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