テーブルのたのしみ

くらしのたのしみのスタッフブログ。大のパン好き。そして器好き。
主に都内パン情報やテーブルを彩る楽しみをご紹介します。

ボストン美術館 浮世絵名品展 北斎

2014-09-28 | 美術館・個展


先日、上野で開催されております、北斎展にいってきました。

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ボストン美術館 浮世絵名品展 北斎
2014年9月13日(土)~11月9日(日)
上野の森美術館
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「世界屈指の日本美術コレクションで知られる米国・ボストン美術館」の北斎の作品が140点!

代表作である、「冨嶽三十六景」、「諸国名橋奇覧」はもちろんのこと、
ボストン美術館でしか見ることが出来ない貴重な初期の武者絵や
団扇絵(うちわを作る為に描かれた浮世絵)なども展示されているとのこと。

それはぜひ行くべし!!!

イヤホンガイドを借りて、じっくりと作品を堪能することにしました。^^


どれくらいいたでしょうか…。

想像していたよりも数千倍も数万倍も面白くて、時間がたつのをすっかり忘れてしまいました。

おかげさまで、観終わった時には私も友人もどっと疲れ切ってしまい、歩くのもままならないぐらい…。(笑)


この感動をどうにか皆様にお伝えしたいのですが、
ボキャブラリーも知識もない私にそれが出来るかどうか…。

もしご興味がございましたらお付き合いくださいませ(笑)



まず驚いたのは、「組上絵」。

「組上絵」とは、絵を切り抜き、組み立てると立体的な人物や風景が作れるというもの。

私が小さいときによくつくって遊んだ、紙人形のようなものというのでしょうか?
(ちょっと違うか…)

今だったらそういうペーパークラフトのようなものはよくありますが、
江戸時代にそういうものがあったということに、まず1びっくり。


そして、「花鳥図」に2びっくり。

これは、江戸の有力地本問屋である、西村屋与八が北斎に頼んで作らせたというもので、
「冨嶽三十六景」と同じ時期に出版されたものだそうです。

お花と鳥や虫などが一緒に描かれたその可憐な構図は、元オリーブ少女の私の心を打ち抜きます。

「朝顔に蛙」「桔梗にとんぼ」「紫陽花と燕」などなど…。

ん?あれれ??

「朝顔」「桔梗」「紫陽花」???

それって、私、前に消しゴムハンコで作ったことあったなぁ…



同じ題材なのに、デザイン性、描写力、躍動感、構図の面白さ…などなど、
私が作ったものとは、すべての点でまるっきり異なっています。

レベルの圧倒的な差は当たり前のことですが、
それにしてもあまりの自分の描写の稚拙さに、かなりへこんでしまいました…。

いつかこんな風に描けたら、どんなに素敵かしら…。

そのうち私も、お花と一緒に鳥さんや蝶々さんも登場させたりしてみようかなぁなんて…。
そのためにはまだまだ時間がかかりそうですね…(笑)。



「百人一首 うはかゑとき」シリーズに3びっくり。

このシリーズは北斎が76歳の時に手がけた最後の大作シリーズ。

「うはかゑとき」とは「乳母か絵とき」と読めることから、
乳母が絵解きをしながら解りやすく百人一首を説明したというようなコンセプトで作られた作品のようです。

鹿好きの私が好きな

「奥山に もみじ踏み分け鳴く鹿の 声の聞くときぞ 秋は悲しき (猿丸太夫)」

も、北斎なりの解釈で、それはそれは見事な美しい情景に描かれておりました。


こちらのシリーズ、今回展示されていたのは数点のみ。

でも、実際このシリーズは色刷と線画、下絵など合計88点が現存するとか。

それはどうしても見てみたい!!!


…ということで、帰宅後早速ネットで検索。

ありました、ありました♪
早速アマゾンで購入!



すっかり忘れてしまった百人一首を、これで楽しく覚えなおすことができそう☆

あ、でも、100‐88=12首は、ごめんなさいというところになってしまいますね(笑)。^^



北斎は生涯のうちで30回の改号をしたといわれておりますが、
晩年の75歳以降は「画狂老人卍(がきょうろうじんまんじ)」の号を用いていたようです。
(そのネーミングのセンスもなかなか。笑)

その「画狂老人卍」時代に製作した『富嶽百景』の初編の自跋に下記の文章があります。

北斎が75歳の時のことです。

「己六才より物の形状(かたち)を写(うつす)の癖(へき)ありて半百の頃よりしばしば画図を顕すといえども七十年前描く所は実に取るに足(た)るものなし七十三才にしてやや禽獣虫魚の骨格草木の出生を悟し得たり故に八十才にしてハますます進み、九十才にして尚その奥意を極め、一百歳にして正に神妙ならんか百有十歳にしてハ一点一格にして生けるが如くならん願わくハ長寿の君子、予が言の妄ならざるを見たまふべし」


90歳にして亡くなった北斎。
ちょうど「奥意を極め」たあたりということでしょうか。

いろいろと学ぶことの多い北斎展でした。