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[映画] キングダム

2019-04-20 | 映画

「キングダム」を川崎109シネマズにて観て来ました

2006年に連載が始まり、2019年現在もなお押しも押されぬ週刊ヤングジャンプの看板作品である「キングダム(作:原泰久)」ですが、オレが読み始めたのは5~6年?ほど前だったか、1~30巻を期間限定で無料公開していた企画からでした

いちマンガファンとして ”かなり面白い” という評判は見聞きしつつも、中国の歴史モノという事で、定番の「三国志」なんかでも名前や地名がどうにも覚えにくい苦手意識から尻込みしてたんですが、オレみたいな食わず嫌いを対象とした太っ腹企画にまんまと乗せられたワケですw


で、いざ読み始めてみたらこれがもう面白いのなんのって!!( ゚∀゚)o彡゚


何となく故事の由来などで間接的な知識を持っていた「三国志」の時代よりも更に数百年を遡る、中国で初の天下統一を成し遂げた ”始皇帝” を題材としているという事で、ほぼ全くと言っていいほど予備知識の無い題材だったことがむしろ良かったのかもしれません……誰がいつ死んでしまってもおかしくない過酷で苛烈な戦国時代において、全力で夢や野望に賭けて生き抜こうとする男たち、女たちの ”アツい生き様” の描写がとにかく素晴らしい!(掲載誌はヤンジャンですが、”少年マンガの王道” であると敢えて表現したいです)


…恥ずかしながら、ほぼ全ての巻で2~3回ずつくらい涙が止まらない状態で読んでるんですよオレ(T∀T)


トシを取ったせいで涙もろくなってるのも否定しませんがw、誰かが死んで悲しいとかそういうシーンは意外と少なくて、とんでもない ”逆境” で、”絶体絶命の窮地” でも諦めずに突き進もうとする ”姿勢” を見せつけられるだけでもう涙が溢れて仕方ないんです……500年も続いている戦国時代を終わらそうとする世界観なので当然、合戦のシーンが大量にあるんですが、”戦場” で勝利を得る為に最も重要なモノは果たして何なのか…?

主人公をはじめ、”将軍” といった超人的な存在の武技をもってして戦況を打開する局面も勿論沢山登場しますが、戦場の趨勢に一番影響力を及ぼすのは ”集団としての戦闘力” であり、その根源にあるのは末端にいる兵士個々人の ”モチベーション” なのだという事を示すシーンの ”説得力” みたいなのが尋常ではないんですよ(スイッチひとつで大量殺戮が可能な近代戦と違い、如何に有能な軍師による多彩な戦術や戦略があろうとも兵士たちのモチベーション無しでは意味を為しません)

(集団に)”檄を飛ばす”、(自らを)”奮い立たせる” シーンはどれもこれも名セリフや名シーンの連続で、基本的に ”平民目線” しか持ち得ないオレら読者に強烈な ”畏怖” や ”憧憬” を抱かせる人物描写ばかりなので、原作マンガを未読の方は是非とも読んで貰いたい傑作です!




…って、流石に映画版のエントリで原作マンガについてアツく語り過ぎですがσ(^◇^;)、”マンガ原作の実写映画化” に対して(それなりに痛い目を見続けてきた歴史から)どうしてもシビアに見てしまう原作ファンの感想なのだという前提を知っておいて頂きたくてですね…w

そんな面倒くさいwオレなんかの目からしても今回の映画化は数少ない ”実写化成功作” の一つと言えるのではないかという印象でした


原作者自らが脚本作業に一年に渡って関わり続けたというのは伊達ではなく、原作1~5巻の流れをほぼほぼ変えることなく134分の映画に落とし込んでるのは実に見事でしたね……本格的な中国ロケとCGを組み合わせた雄大な平原、深山幽谷、巨大な城郭都市といった風景描写、膨大なエキストラによる万単位の兵士たちと本場の武術アクションといった、日本の時代劇なんかとはケタ違いのスケール感は ”よくぞ実写化してくれた” と感謝の念で一杯で劇場を後にすることが出来ましたヽ( ̄▽ ̄)ノ



敢えて残念だった部分を言えば、”この続きを見せて!” というラストでの渇望感wという、最大級の賛辞を送らせて頂いた所でバレなしの感想はここまで!





以下ネタバレ感想:



いきなり水を差すようですが、そりゃね、”(マンガ作品の)完璧な実写化” なんてのはあり得ないんですよ

マンガにはマンガの、実写には実写のそれぞれ ”いい部分” と ”悪い部分” があるのは当然で、オレがどんなに絶賛しようとも(原作絵の)線の荒々しさや、いわゆる ”美男美女” のクセの強さwなんかはマンガファンの間でも賛否が分かれてるくらいです……(作者の想像力や技量の限界まで)表現に制約が一切存在しないマンガですら賛否があるわけですから、役者、予算、ロケ地、撮影技術等むしろ制約しか存在しない(日本の実写)映画という ”枠” の中での今回の映画版は最高レベルのクオリティなのではないでしょうか

日本映画界では珍しくスケールの大きめのアクション作品をいくつも手がけてる(エンタメ志向の強い)佐藤信介監督の手腕が存分に発揮されて、原作マンガのウリである超人的なバトルアクションもかなり再現度が高かったと思います

演出的には前半、場面転換時のワイプ処理が繰り返されていたのも印象的でした……黒澤明からスターウォーズへと受け継がれた、横にカーテンがさーっと引かれるような転換処理ですが、山の民が住まう異世界感や彼らがわちゃわちゃしてるシーンにまんまスターウォーズの宇宙人感があってw、冒険へと旅立つ少年たちというテーマ的に、佐藤監督の入れた遊びゴコロなのかな?と楽しかったですねw


登場人物たちのイメージも ”原作愛” を多分に感じられて、決してコスプレには見えないよう(テンだけはゆるキャラ的なw)細部にまで気を遣われた衣装や振る舞いが見応えありました……かなり ”人間離れ” してる(^_^;)王騎や楊端和はどうなることやらと危惧してましたが、役者本人達の相当の鍛錬が窺えるキレのある動きと仰々しい振る舞いで違和感みたいなのをほとんど感じなかっただけでも凄かったです




ハッキリ言って今回映画化された原作1~5巻の内容っていうのはただのプロローグでしかなくて、原作の方だと詳しく説明されてるんですが主人公は身分としては奴隷のままなので兵士としてのスタートラインにすら立てておらず、王騎将軍の底知れ無さはその片鱗すら見せておらず、”最強” のメインヒロインなんかは姿カタチすら一切登場してません

現在、紙の単行本で54巻までが発売されてますが、天下統一が成し遂げられるまでの道のりは(年表的には)半分を過ぎたくらいでしょうか……このマンガが統一をもって終わるのか、始皇帝が死ぬまで?を描写するつもりなのかわかりませんのでひょっとしたら100巻どころではなく続くかもしれないと考えると、オレ自身が読者として果たして完結まで付き合いきれるのかという不安すらあります…(^0^;)


とにかく「キングダム」は ”この後” からが本編なんです


是非とも大ヒットを記録してこの後に続く壮大な軍記アクション大作としてシリーズ化されて行って欲しいと切実に願って止みません……舞台挨拶の記事によると出演陣の続編への意気込みはもちろん、佐藤監督は既に次のサブタイトルまで決めてる心づもりの様ですので(おそらく5~16巻までを二部作とかで?)どうか大ヒットを!





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