こちらは10年ほど前に書いたエントリですが、まだアニメ版の影も形もなく、”大” ブレイクする寸前の空気感みたいなのが伝わってくるかと思います……中世風の街並みに巨大な壁、人類vs巨人、立体機動といった独特の世界観の中で、作者の死生観や政治観が色濃く表現されてる様は(絵柄はともかく)若干23歳の新人漫画家とはとても思えなくて、たまたま第一巻の発売日に表紙買いした自分を今でも褒めてやりたいですねw
「ベルセルク」の三浦建太郎という偉大な才能が(志半ばで)喪われてしまった衝撃も冷めやらぬ中、日本漫画史上でも屈指の ”世界的影響力” を持った超大作がこうして無事に最終巻の発売を迎えられたことに何より ”安堵” したという心持ちが今のオレの感覚を一番的確に表現しているかもしれません
勿論、2ヶ月前に雑誌連載の方が最終回を迎えるまでは、最後の最後まで読者を打ちのめす展開の連続に翻弄されまくって心中穏やかとは程遠い状態でしたが(^0^;)……ある意味 ”無難” な、全方位に気を遣った感のある結末に様々な意見や賛否はあれど、オレとしては ”美しく” まとまった素晴らしいラストだと思いました
以下最終巻ネタバレ注意:
事前に8ページ追加されると告知されていた描き下ろしは、
・ミカサと始祖ユミルとのやり取り(2ページ)
・エピローグの更にその後(4ページ)
・スクールカースト(2ページ)
でしたが、8ページで何が補足出来るんかなと思ってたら、結構な情報量と驚愕の伏線回収でもありました
一つ目については、”道” においては(死後は)ずっと少女の姿だった始祖ユミルが成長した女性になっていて、これはミカサを通じて ”愛”(の一つの側面)を知ったってことなんでしょう……ミカサの頭痛が、”愛” する対象の喪失をきっかけに引き起こされていたのは、そこに同期していたユミルの苦痛を同時に味わっていたからだったんですな
二つ目は連載の最終ページがマフラーを巻き直した鳥(エレン)が飛び去るカットだったのを、パラディ島のその後の描写が追加されていましたが、ミカサはおそらくジャンと結ばれ、子や孫も出来、”個人” レベルでは安らかに人生を終えることはさせられつつも、復興した ”世界” はやはりエルディア人を許さなかったと(きっと様々な ”正義” が入り乱れたんでしょう)
やがて名も無き少年が、30巻で始祖ユミルが遭遇した ”巨大樹” とそっくりになった ”エレン” を発見し、また歴史は繰り返される(かも?)~といったカンジですかね
そして驚愕の三つ目、アルミン達によって語られた「進撃の巨人」という物語が ”現代社会” で公開されてるという実にメタなネタで、(雑誌の最終回について)世界中の喧々諤々のやりとりに作者は心痛めてたとインタビューがありましたが、まさかこんなカタチで昇華させてしまうとはw
確かにエレンが見た未来の光景の中にごくごく小さく例の二人が描かれてはいましたが、あのスクールカーストの世界をこんな風にオチに使ってくると予想出来た ”考察班” の人はいるんでしょうかσ(^◇^;)
”もし…次回作があったら…”
新作が「進撃」と関連したものなのか、全くの別物語になるのかはわかりませんが、作者はまだまだ30代半ばという驚愕の若さですし、作中でも作品外でも余りにも影響力が肥大化してしまったデビュー作のプレッシャーに負けず、新たな作品を生み出し続けてもらいたいです
アニメ版の完結も楽しみ!ヽ( ̄▽ ̄)ノ
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