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杉ちゃんのWEB日記

国際山岳ガイド 杉坂 勉のブログ

2012.1.8~9 yamaboku タコチコース

2012-01-09 22:57:26 | ガイド山行記録

 成人の日の連休は、志賀高原の奥山田温泉にあるヤマボクワイルドスノーパークへ行ってきました。

 もちろんお目当ては、クラシカルな山スキールートのタコチコースです。今年は1月7日から解禁とのことで、それに合わせてのスキーでした。

 初日の8日はヤマボクワイルドスノーパークで足慣らし。直前には全面滑走可とのことだったので、非圧雪バーンのふかふか感を期待していたのですが、積雪85cmにしては少し雪が少なく、ところどころブッシュが顔をのぞかせている状態。また前日の7日にかなりシュプールがつけられてしまいゲレンデはギタギタ。それでも吹き溜まりにはまずまずのコンディションの雪が残っており、そこそこ楽しむことができました。

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 明けて9日は朝がた少々小雪がちらつきましたが、予報とは裏腹に徐々に青空が顔をのぞかせてくるではありませんか!ゲレンデで3本アップした後、さっそくタコチコースへ。

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 コース入口からオープンバーンを、まだ荒らされていないところを選び滑降開始。前日のシュプールに入ると足を取られそうになりますが、北向き斜面はまだまだオフピステ感覚満載!標高差100mほどを快適に滑りました。

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 そのあとは、林道のつづら折れにつけられたショートカットの切り開きを快適に滑降。

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 天気も高度を下げるにつれて徐々に良くなり、木漏れ日の中を動画の撮影などしながらのんびり快適に下りてきました。

 コース残り4キロ地点には、避難小屋も整備されておりここで一休み。

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 最後は蒲田川に沿って林道を滑り降り、橋を渡ったところでスキーは終了。あとは10分程山田温泉キッズパークスキー場への上り坂を上がってツアー終了。

 さんさんと日の光が降り注ぐ中、志賀高原のBCスキーを満喫してきました。


2012.1.1~3 槍ヶ岳

2012-01-04 13:13:35 | ガイド山行記録

 2012年も無事に年が明けました。みなさん今年の正月はいかがお過ごしでしょうか?

 さて私は1月1日~3日にかけ、お客さん2人と北アルプスは槍ヶ岳に正月山行へ行ってきました。

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1月1日

 まずは新保高温泉のバスターミナルで登山計画書を提出し、元気よく蒲田の右俣林道をたどって槍平へ。道は年末からの登山者のおかげで弾丸道路状態。感謝感謝です。

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 またこの日は槍から下山してくるパーティーに続々すれ違い。中には当然見知った顔もちらほら。同じJAGUの山本ガイドからは槍への道の状態など、貴重な情報を教えていただくこともできました。さらにはピオレドール受賞クライマーの谷口けいちゃんにも!これにはお客さんたちも大喜びでした。

 槍平到着午後1時。なかなかいいペースでのアプローチでした。

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1月2日

 よく1月2日は、前夜からの低気圧通過の影響が少し残り、小雪のちらつくあいにくの天気。しかし予報では徐々に晴れ間が出てくるはずと、明るくなった午前7時30分に槍平を出発。上空の風が気になるところですが、果たして今日は無事に槍ヶ岳へ登頂出来るでしょうか!

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 飛騨沢を詰めるにつれ上空にも晴れ間がちらほら現れ、しかし風は以前にもまして勢いを強め、期待と不安が入り混じった状態でのアプローチ。雪崩に警戒しながら先人のつけてくれたトレースを頼りに高度を上げていきました。

 しかし槍ヶ岳が見え始めたあたりから状況は一変。前日からのわずかな降雪とかなりの強風で、トレースが埋っている個所も・・・足裏感覚を頼りにトレースを外さないように進んでいきました。

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 しかし宝の木を過ぎると積雪はさらに増し、とうとうラッセルを強いられながらのアプローチに。風もいよいよ強さを増し、視界を遮られることもしばしば。槍ヶ岳に至っては上空の強風と寒気の影響で、厚い雲覆われ垣間見ることもままならない状態でした。

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 2600m付近で念のためにアンザイレン。強風に耐えながらじりじりと高度を稼ぎました。

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 12時40分何とか大喰岳に到着。3000mの稜線は強風と次から次へと押し寄せてくる雲で、視界はあまりありません。コンパスと地図を頼りに槍の方角を確かめますが、飛騨乗越への下りは行ったら最後、ここには引き返すことなど不可能な感じに思えてきました。昨夜からの降雪と風の影響を考えるとよしんば飛騨乗越までたどり着けても、飛騨沢を下る気にもなれず・・・

 遠くには槍の肩の小屋、そしてわずかに槍の穂先が垣間見えましたが、今回はここまで。残念ではありますが、元来た大喰の西尾根を下ることにしました。

 しかしここは3000mの稜線。一つの思い込みが生死を分けると思い、しっかりと地図、コンパスで方角を確かめ、大喰の西尾根へ入っていきました。

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 下り始めた西尾根も、先ほど付けてきたトレースもすっかり消えてなくなり、強風の合間からわずかに見える尾根筋とコンパスを頼りにじりじり下降。宝の木まで戻ってきてホット一息。何とか無事に下山してきました。あとは雪崩に気を付けて飛騨沢をラッセルしながら槍平を目指しました。途中めでたくおおきなトレースに遭遇。槍平帰幕午後4時30分。やれやれといった感じで大変な1日を終えました。

 ちなみに最近は数年前の槍平の雪崩事故の影響か、飛騨沢を詰めてのアプローチよりは中崎尾根を経由してのコースが人気で、この日も中崎尾根経由飛騨乗越~槍ヶ岳に登ったパーティーが、大勢飛騨沢を下ってきていました。

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1月3日

 この日は30分ほど寝坊して4時30分に起床。ゆっくりと朝の支度をしテントを撤収。槍平から滝谷の出会いまで何か所か雪崩の後に遭遇。昨日までの降雪で少し積雪の状態は不安定なようなので、雪崩に気を付けながらの下山。白出沢を通過してホット一息。なにやら上空ではヘリの音が聞こえていましたが、遭難でもあったのか?ちょっと気にかけながらも私たちは無事に穂高平まで下山。朝方晴れ間も垣間見れたのですが、振り返ると山の奥は再び濃い雲の中。あとはひたすら新穂高温泉までの右俣林道を今回の山行をかみしめながら下山していきました。

 この日は夕方6時には帰宅。帰ってニュースを見れば、なんと今日まさに我々が下りてきた槍ヶ岳で遭難騒ぎがあったというではありませんか!まああの天気ではさもありなんといったかんじですが、我々もその状況に紙一重でいたということは、今後十分に考えなければならないことだと思います。そしてまた我々が行っている登山という行為は、大自然を堪能できる喜びもありますが、その反面大きな危険もはらんでいるのだということを再認識させられました。大自然のなかではまさに生死は紙一重。 

 そして我々が安全だと盲信している平地のほんのわずか3キロ上空では、平穏な(と感じている?)平地では及びもつかないような過酷な状況がひろがっているという現実。これははるか遠い場所での話ではなく、我々の身近にある危険を暗示させられる山行でした。

 これがまさに大自然の驚異。今年の年明けはその洗礼を受けた幕開けとなりました。


2011.12.27~28 甲斐駒・黒戸尾根

2011-12-29 12:29:05 | ガイド山行記録

 今年も残すところあと3日となりました。

 クリスマスから私も年末年始山行に突入。おととい27日~28日は甲斐駒の黒戸尾根に行ってきました。

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 予報によると27日から寒波も峠を越し、28日にかけて高気圧に覆われる模様。上空はまだ風が強そうな気配でしたが翌日の晴天を期待し、竹宇の駒ケ岳神社にお参りをして入山。

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 やがて雲も徐々に切れはじめ、八ヶ岳をバックに急登の続く黒戸尾根を上がっていきました。

 今年の黒戸は雪も少なく、刃渡りまではわずかに粉砂糖をまぶしたような程度。心配していた道の凍結もさほどではなかったので、時間こそかかったものの、比較的楽なアプローチで7合目に到着することができました。

 この日は7丈の小屋に宿泊。夜は轟々と風が吹き抜け、ほんとに明日は穏やかな快晴になるのか?不安な思いもよぎりながらの就寝となりました・・・

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 あけて28日は快晴といかないまでも、まずまずの天気。風も少しずつ治まりかけてきました。

 まだ冬のシーズンに慣れれていないので、明るくなった7時に7丈の小屋を出発。上空はまだ少し風がありました。

 さすがにここから上部はばっちり雪が付き、サクサクとアイゼンの心地よい響きを聴きながらのハイクアップ。

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 8合目の鳥居直下から風が強くなり始めてたのでアンザイレン。ここから9合目までは鎖場の連続。慎重に通過していきました。

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 9合目からは風も冷たいながらも少しずつ治まり、快晴の八ヶ岳をバックに最後のひと踏ん張り!

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 今回の甲斐駒山頂は貸切状態。目の前には大きな仙丈岳や、左には北岳から間ノ岳の連なり。さらには鳳凰三山のバックには大きな富士山が。

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 さらに右には北アルプスの山々が、雲一つなく日本海の方までずっと連なっているのが一望できました!まさしく今日は絶景!最高の大パノラマを堪能することができました!!

 さてさて名残は尽きないところですが、またまた大パノラマに抱かれながら来た道を忠実にたどり、黒戸尾根を下って行きました。

 7丈の小屋についたのが午前11時30分。まずまずのコースタイムです。日は短いこの時期ですが、明日からはまた天気は下り坂。天気のいいうちにということで、この日のうちに下ることにしました。

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 5合目から振り返る甲斐駒ケ岳は山頂こそ見えないものの、まさに意不動堂。岩あり雪ありの登り応え十分な山だとつくづく感じさせられます。

 最後はヘッドランプになってしまいましたが、無事に竹宇の駒ケ岳神社に下山。今回の幸運のお礼にお参りし、充実した2日間の山行を終えてきました。

 


2011.12.23~24 八ヶ岳・編笠山~権現岳

2011-12-25 12:03:18 | ガイド山行記録

 メリークリスマス??

 このところ寒い日が続いていますね!

 この週末、当初の予定は正月の槍ヶ岳に向けてのトレーニング山行ということで、阿弥陀の南稜に行く予定でしたが、予報ではシーズンに1回来るか来ないかの大きな寒波に見舞われるというではありませんか!そこで無理はしないということで急遽予定を編笠~権現のピストンに切り替えました。

 23日、小淵沢ではインター周辺も冷たい風が吹いていて、まさにこれから寒波来襲を予感させました。チャンスは今日1日か!?

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 まずは観音平入口の登山歴史館で身支度を整えいざ出発。歩き始めはまったく雪の無い防火帯の切り開きを登っていきます。下から見上げた編笠山にはあまり雪が無さそうだったので、合計5Lのミネラルウォーターをコンビニで購入。荷物が増えてしまってのアプローチでした。

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 観音平を過ぎ、途中の雲海からは富士山が間近に望むことが出来、もしかして今日1日は天気が良いのでは?と淡い期待がよぎります。心配していた雪はようやく青年小屋への巻き道に至る分岐周辺から現れ、どうやら水確保の心配も無さそう。やれやれ。

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 青年小屋到着は12時30分。見上げる権現は少し風はありそうなものの、青空をバックにすぐそこに鎮座して見えます。

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 明日はきっと強風ともしかすると降雪があるかも?と思い、今日のうちにアタックしてしまうことにしました!幕営用具を小屋にデポし身軽になっていざ権現へ。

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 2400mを過ぎたあたりから雪の量もぐっと増えてきたので、ギボシのトラバースではロープを付け慎重に通過。

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 午後3時30分。ギリギリの行動時間で権現岳山行に到着。記念撮影と、少しだけ360度の大パノラマを楽しむと、急いで下山開始。日没まで間に合うか!

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 権現からはもと来た道をたどって青年小屋へ急ぎます。何とか日没間際に小屋へ到着。ヘッドランプのお世話になることなく無事に今日1日の行動を終えることが出来ました。標高差1500m、本当によく頑張りました!今日の行動と今後を考え、今日は青年小屋の冬期小屋へお世話になることに。夜はトン汁で体を温め、早々にシュラフに入りました。お疲れ様!

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 あけて24日はなんと朝から快晴!んー、あてが外れましたね・・・。気を取り直して編笠へ出発。快晴の編笠山で、昨日登った権現岳をバックに記念撮影。あとはのんびりと小淵沢へ下山。

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 下りは富士見平経由で下山。この頃から上空は強い風と、それに伴い雲が湧き始めて来ました。ようやく寒波の影響が八ヶ岳にも出始めましたな。

 でもまあ今回は 1日で権現まで行ったのだから、今シーズン初めてのトレーニング山行としてはまずまずの成果。次回はいよいよ本番の槍ヶ岳です。お天気に恵まれることを期待しましょう!


2011.12.16 八ヶ岳・阿弥陀南稜

2011-12-16 22:59:44 | ガイド山行記録

 ようやく今季初の冬山へ行ってきました!

 八ヶ岳は阿弥陀の南稜。このところの雪の少なさから、南稜を登り中央稜を下るワンデイの計画だったのですが、冬山の洗礼を受けることとなってしまいました・・・

 予報を見る限りでは、そんなに強い冬型になるとは予想できなかったので、朝5時にまだ暗い舟山の十字路を出発。旭小屋までは雪の少ない道をテクテク。最近整備されたのか、歩きやすい道になっていました。

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 旭小屋からは夏道どうしに立場山へ。積雪は2000mを越えたあたりからぽつらぽつら。時折小雪の舞い落ちる中を登って行きました。しかし高度を上げるにつれ、轟々と上空を吹く風の音が大きくなってくるではありませんか!

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 たどり着いた立場山から先は真っ白なベールに包まれてしまい、何も見ることは出来ませんでした。

 時折上空が明るくなるので、雲はそんなに厚くは無さそう。風も小止みになるときがあるので、更に歩を進めることに。

 無名峰の直下あたりから積雪も少し増え始め、ここでアイゼンとハーネスを装着。時間は10時少し過ぎ。まずまずのコースタイム。しかし先ほど小止みになりかけた風も再び強さを増してきたため、念のためにロープをつなぎました。

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 そしてP3直下まで行っては見たものの、風はいよいよ強くなり雪粒も顔を横殴り!神様が僕等に許してくれた猶予はここまで。核心部を直前に残念でしたが、撤退してきたのでした。

 今回の阿弥陀南稜、完登することこそできませんでしたが、冬山なんてこんなもん。行けば登れるなんてものではありません。それでもこの悪い状況の中、シーズン始めの慣れない体でよく頑張ったとおもいます。アイゼン歩行の練習も出来たし、装備やウェアーのチェックもできたし、これはこれで実りある一日でした。

 ちなみに積雪は旭小屋から暫くはほとんど無し。立場山あたりから道にもつもっていましたが、5から多くて10cm程度。テント際と周辺でもかき集めれば、何とか水作りできる程度しかありません。無名峰を越えたあたりからようやく雪山らしくなってきますが、それでもおおくて15cm程度。ところが今日の降雪で、黒々していた尾根道は白く変身。5cmくらいは積もったでしょうか?下ってみてびっくりしたのは、下は風が弱かったせいか、林道にも5cmほどの積雪が・・・来る時とは道の様子が違っていました。

 さあいよいよ今年もシーズン開幕!今回の教訓を大いに生かし、次回も厳しい大自然に触れに行きましょう!!(次回は優しい大自然がいいかな・・・)

 


両神山・赤岩尾根 2011.11.24

2011-11-25 12:39:52 | ガイド山行記録

 昨日24日は、奥秩父の両神山でハイグレードハイキングを楽しんできました。

 ルートは両神山の西に伸びる赤岩尾根です。今回は鉱山の社宅跡から赤岩峠、赤岩尾根、八丁峠へとたどるコースです。

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 まずは頭上に聳える赤岩岳をめざし、社宅跡から登山道をたどって赤岩峠へ。杉の植林の中の道は、わりと整備されていて歩きやすい道でした。上空では轟々と風がうなりをあげながら吹き抜けている様子。稜線はかなり風が強そうで、先が思いやられながらのアプローチでした。

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 赤岩峠でハーネスの装着など身支度を整え、いざ赤岩岳へ。岩壁左よりのルンゼ状から踏み後をたどり、岩壁を3Pほど登って越えて行きました。朝イチのカラダには少々難しく、マーキングも曖昧になるので、ルートファインディグには要注意。このルート中一番の核心部でした。

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 そこからは小さなピークをいくつか越えながら、1583mのピークへ。ところどころ岩壁部分が出てきますがルートは明瞭。グレードも先ほどの赤岩岳ほどではないので、快適に越えていくことが出来ました。また懸案の強風もこの頃には大分治まり、南面は汗ばむくらいのポカポカ陽気となりました。

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 1583mピークからはいったん最低コルまで下り、そこからまたいくつか小ピークを越えながらp4.p3とたどっていきます。各ピークには目立った標識も無いので、地図とコンパスで現在位置を特定するしかありません。この時期は木々の葉っぱも落ち、割と見通しは効くので何とか現在位置は把握できました。

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 そして気がつけばいつの間にかP2(ここには標識があります)。目の前にはP1が程近ところに鎮座しています。ここからはいったんまた大きく下り、目の前の岩壁部に取り付きます。見た目は威圧的なP1の岩壁ですが、登って見るとそれほどでもなく、快適な岩稜クライミングで程なくP1へ到着。ここはルート中最も展望のいいところ!この日も北に浅間山、北東にはおそらく高崎や前橋の街並み、南には奥秩父の山並みが連なり、とても気持ちの良い展望でした。そして目の前には大きな両神山がどっしりと構えています。

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 記念撮影の後、今日たどってきた赤岩尾根を振り返り、心地よい充実感に包まれながら八丁峠、そして上落合の橋まで下って行きました。

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 赤岩尾根はヤブあり、岩あり、ルートファインディングありと、コンパクトな中にも楽しさがぎゅっと詰まっており、この時期に訪れるにはとてもいいコースですね。


西上州・天丸山 2011.11.21

2011-11-21 23:12:10 | ガイド山行記録

 このところ毎週末の天気が今ひとつパットしませんね。そこで今週末は日程を1日ずらし、月曜日に山に行ってきました。

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 今回の目標は西上州の天丸山です。天丸山は群馬100名山のひとつで、近くにはこれまた関東100名山の帳付山があります。天丸山や帳付山は、両神山の赤岩尾根と尾根続きで、両神山と同じくどちらかといえば岩山です。

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 実はこの山域、今年の5月アカヤシオの咲くころに一度この山域を訪れており、今回は2度目の山行。5月の頃とは違い、木々の葉もすっかりと落ち、山は冬の装いを始めていました。そのためか前回の山行より見通しが利きやすく、前回はあまりはっきりとしなかった山々が、今日は詳細に眺めることが出来ました。

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 天気はというと、1日待った甲斐があってか気持ちの良い秋晴れ?というよりはたまに吹き抜ける北西風は肌寒く、日の光も時折雲間に隠れたりして、1日中ずっとジャケットを着ての行動でした。

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 さてさて天丸山の山頂へは、岩壁の基部からフィックスロープをたどり、岩の弱点を縫うように登っていきます。概ね足がかりもしっかりとしているので安心して登れました。

 天丸山の山頂は平成7年の山火事のなごりが所々に残っており、そのためか展望もよく、気持ちの良い山頂でした。

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 また遠くにたなびく積雲の固まりは、いよいよ今シーズンも冬の訪れを感じさせるものでした。

 


南アルプス 安倍奥・山伏 2011.10.29

2011-10-31 23:02:42 | ガイド山行記録

 先週末はまだ私も行ったことのない山域である、南アルプスは安倍奥の山伏(やんぶし)に行ってきました。

 まずは静岡からひたすら安倍川を北上し、梅が島温泉を目指します。当初土曜日は、梅が島温泉周辺の遊歩道を散策し、日曜日に梅が島温泉から大谷崩れに上がり、稜線を伝って山伏に至る予定でしたが、直前になって日曜日の予報が今ひとつに・・・

 そこで予定を変更し、土曜日のうちに登ってしまおうということになり、ルートも梅が島温泉とは反対の井川側から辿ることにしました。

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 井川へは梅が島温泉へ向かう途中から、口坂本温泉方面へ左折し、ひたすら林道を進みます。たどり着いた笹山の駐車場からは眼下の井川湖をはじめ、南アルプス南部が一望できとてもすばらしいところでした。

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 ここで昼食をとり、さらに牛首峠まで車で入りここからいよいよ登山開始。始めは急な斜面をひと登りすると、大きなカンバの木が立つなだらかな山道に変わり、また芝や枯れ葉に覆われているので、ふかふかとしてとても歩きやすい道でした。

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 やがて猪ノ段の分岐を過ぎると植生は一転。あたりはシラビソの森になり、森林浴と紅葉をめでながらのをしながらのハイキング。そしていよいよ山伏の山頂直下、百畳平に来るとあたりでは大きく開け、夏の頃は湿地帯を思わせるような草原へ。そしてダケカンバの林を通り、急登をひと上りすると、山伏の山頂はもう間近です。途中大きなツガの木のある広場からは、とても大きな富士山が間近に見られこの日幾度目かの感動を味わった後、山伏の山頂を踏むことができました。

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 山頂からは、遠く塩見岳から荒川岳、赤石岳、聖岳と望むことが出来、これまた感動。360度とはいかないまでも、文字通り大パノラマを堪能することが出来ました。日程を土曜日に変更してよかった!!

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 さて時間も時間なので、記念撮影を済ませた後、早々に下山開始。下りは夕暮れにつかまることを見越して、百畳平まで戻ってからは10分ほど分岐を下り、百畳峠へ。ここからは今日のいい思い出を口々に、夕暮れの林道をまた紅葉をめでながら下って行きました。

 牛首の峠へ向かう最後のところで林道は、9月の台風で大きく崩れており、仕方が無いのでロープを着け慎重に越えて行きました。車の置いてある牛首の峠へついたのは、午後5時を少しまわった頃。何とかヘッドランプのお世話になる前に、下山できました!

 この日は予定通り梅が島温泉に1泊。翌日は朝方こそ晴れてはいたものの、足早に雲の厚みは増していき、結果としては昼前からポツリポツリと雨が降り出す始末。

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 ところがちょうどこの日は、梅が島温の湯之神社がお祭りということで、朝食後に行って見ました。するとどうでしょう、甘酒やらこんにゃくおでんやら、猪鍋までも無料で振舞われているではありませんか!ということで、日曜日はのんびりと湯之神社の祭りを見物し、ご当地の味も堪能してきました。

 今回ものんびりゆっくりと、でも神様がくれたチャンスは逃さずに、秋の紅葉をめでながら山歩きを楽しんできました。

 

 


谷川岳・幽ノ沢V字右 2011.10.12

2011-10-12 22:52:12 | ガイド山行記録

 連休に続き、谷川岳の幽ノ沢に行ってきました。

 天気も少し風があるものの、連休同様、かなり良い天気でした。

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 まずは車で一ノ倉の出合へ。最近車は一切通行止めだとばかり思っていたので、とても得した気分で出発しました。見上げる一ノ倉は、既に紅葉真っ盛りで、朝日に映えとても綺麗でした。ここはもう紅葉がかなり進んでいるんですね。

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 旧道を歩き程なく幽ノ沢出合へ到着。そこから暫く沢沿いのアプローチです。今日は昨夜の雨で少し水量が多めか?岩も所々濡れていて、気を使うアプローチでした。やがて飛び出したカールボーデンからピッチを切ってのクライミング。そこから見上げるV字状岩壁も今日は近くに、そして小さく見えました。

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 どん詰まりまで行って、そこからダブルロープでのクライミングに切り替え。まずはV時の要を横切るようにトラバース。ちょっと緊張するピッチです。3P目からは、何処でもいけそうなやさしいスラブを頭上の右俣を目指し登っていきます。

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 上部のルンゼに入り、Ⅳ級のピッチ。本日一番楽しかったピッチです!

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 最後はドロのルンゼと笹薮と格闘し、石楠花尾根に到着。ちょっと時間がかかりましたが、久々の幽ノ沢で谷川のアルパインクライミングを楽しんで来ました。

 しかし大変だったのはここから・・・ 堅炭尾根に至るルートはかなり笹薮が濃くなり、とても苦労させられたのでした・・・。これも谷川のアルパインか・・・。


小川山・烏帽子岩左稜線 2011.10.9

2011-10-10 17:42:22 | ガイド山行記録

 この連休はとてもいい天気に恵まれ、絶好のクライミング日和でしたね。

 私達もこの日和を利用し、小川山に行ってきました。今回の最大の目玉は烏帽子岩の左稜線です。去年はケガのためクライミングが出来なかったので、このルートにはちょっと出遅れた感じの私でしたが、今期は待ちに待ったガイド山行でのクライミングでした。

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 まずは8日に小川山に入り、八幡沢の周辺で軽くウォーミングアップ。翌日に備えました。しかしこの日も良い天気でしたねー。翌日のクライミングの成功を、約束してくれているみたいでした。

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 そして翌日の9日、6時50分ごろにキャンプ場の駐車場を出発。西股沢を渡り、一路烏帽子岩を目指しました。

 取り付きに着いたのは7時30分少し前。まだ誰もいない取り付きは、日の光もまだ差してはおらず、シーンと静まり返っていました。急ぎ準備を整え登攀開始7時45分。この頃続々と後続パーティーが押し寄せてくるではありませんか。いやー一番でよかった!

 まずは下部岩壁帯を4ピッチ、忠実にトポ通りクライミング。まだ日の差さない左稜線は少し肌寒く、暗い感じでしたが、フリクションはバッチリ。途中岩が脆い部分もありましたが、私もお客さんも快適に高度を稼ぎました。

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 5ピッチ目の岩稜からは、一部ショートロープを交えてのクライミング。小ピナクル群やブッシュ、そしてアップダウンのあるルートの特性を考え、ピッチを短く切りながら快調に飛ばして行きました。また後続パーティーに追いまくられるのもいやなので、少し間を空けてやろうという意図もありました。おかげで途中からはお客さんと私の2人旅。途中、日の当たってきたあたりで一休みも交え、快晴の天気の中、マイペースでクライミングを楽しむことが出来ました。

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 さていよいよ左稜線のクライミングも大詰め。L字型のリッジを越えると上部の核心部に突入です!まずは13P目のハンドクラック。とても美しくサイズも私にぴったりなので、快適に超えて行くことができました。その後は、三ノ盾からの20mの懸垂と岩峰の通過、さらに10mの短い懸垂をこなし、いよいよこのルー途中最大の核心部、五ノ盾に至るチムニーのクライミングです。

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 さすがにザックを背負ったままでは大変そうなので、ザックは後で荷揚げするとして、カラ荷になっていざ登攀!最初の2~3歩は少し戸惑いながらでしたが、出だしのチョックストーンにキャメの0.5番を決めてからは、バック&フットを決め、リズム良くずりずりと這い上がっていきました。気がつけばキャメの0.5ははるか下。落ちたらまた大怪我間違いなし!!上部のハーケンの手前にもキャメ3を入れ、後は狭くなってきたチムニーに何とか挟まりながら、無事にトップまで上りきりました。 お客さんも、ここはさすがに苦労したらしく、上りきったときには満面の笑みをこぼしていました。

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 ここまで一度も抜かれることなく、一番に到着。12時40分登攀終了。誰もいない静かな五ノ盾で、40分以上ものんびり今日のクライミングの余韻に浸ることができました。

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 今回のお客さんも、この日の快晴と、このロケーションのよさに大満足。また高差500m、ピッチ数20ピッチのクライミングが出来たことにとても喜んでおられました。

 後は昨日のブログに掲載したとおり。2時30分には宿に戻り、露天風呂でひとっ風呂浴びた後、生ビールで祝杯。のんびりと今日のクライミング談義に花を咲かせたのでありました。

 いやー、今回も会心の一撃。お客さんに喜んでいただけたことは、私の喜びでもあり、ガイド冥利に尽きるというか、ガイドしていて良かったなーと思うひと時です。今後もクライミング、登山、ハイキングを問わず、このようなガイドを重ねていきたいものです。