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杉ちゃんのWEB日記

国際山岳ガイド 杉坂 勉のブログ

2018-9-17~19 剱岳・源次郎Ⅰ峰上部成城大ルート

2018-09-20 11:28:40 | ガイド山行記録

9月も連休ウィークに突入。敬老の日から3日間、剱岳のクライミングに行ってきました。

17日はあいにくの天気。室堂から雷鳥坂の登りまではガスガスの中の入山。別山乗越から剱沢の下降は本降りの雨…。

 

雨は17日夜にはあがったので、翌日の天気に期待しての就寝。明けて18日は剱岳本峰にはうっすらとガスがかかっているものの、源次郎Ⅰ峰は見えているので少し時間を遅らせ、朝5時に剱沢の小屋を出発。

剱沢の下降は雪渓がかなり少ないものの、武蔵の出合あたりからは安定して下降可能。

 

まずは源次郎Ⅰ峰の肩をめざしハイマツの藪漕ぎで源次郎尾根のアプローチ。すでに膝が傷だらけ…。肩から中央バンドへのトラバースも激しい藪漕ぎでした。

成城大取り付きのハング下はまだびっしょりと濡れていましたが、見上げるルートはまずまず乾いていたので予定通り取り付き。

 

1ピッチ、2ピッチと順調にロープを伸ばし、ハイマツテラスへ。そこから右の名古屋大ルートと分かれいよいよ本ルートの核心、4ピッチ目のトラバースへ突入。多少ホールドは濡れていましたが、フリクションの良く効くエッジを頼りに左へ左へとトラバース。ルート図にかかれているクラックはブッシュ交じりで良くわかりませんでしたが、おおむね岩は硬く快適なクライミング。

 

今回は4ピッチ目を真ん中のダイレクトルートを横切るところで一旦切って2ピッチで抜けました。最後のクラックは一見もろそうなフレークでしたが、ここも硬い花崗岩でフリクションを利かせ豪快に越えました。

 

最終ピッチも無難に越えて登攀終了。案外そこから源次郎の縦走路に出るまでも侮れず、ハイマツをひっつかみながらのクライミング。

縦走路に出てまずは一安心。短いながらもピリッと辛く快適なクライミングを楽しめました!そしてここからが剱沢めざし源次郎尾根を怒涛の下降!途中懸垂下降を交えながらの厳しい下降となりました。

剱沢の小屋へ戻ったのは夜の7時30分。ちょっと時間がかかり過ぎましたが無事に下山。やれやれといった1日でした。

19日は朝から快晴。空気もかなりひんやりとしてとても気持ちの良い中を室堂まで下山してきました。山はもうすっかり秋ですね。

 


2018-9-3 龍王東尾根

2018-09-04 11:09:49 | ガイド山行記録

ヨーロッパから帰国後最初のガイド山行は立山の龍王東尾根に行ってきました。

おりしも台風21号が急接近する中、直前の晴天を狙っての入山。やっぱこの時期の日本は台風やら前線やら天気が悪い…。

龍王の東尾根は、ガイド山行、研修、そしてプライベート山行での足慣らしと、とてもよく使っているルート。この春もスキー板を背負って登り、山頂ツインシュートを滑ったばかり。

今回は一ノ越から御山谷へ延びる踏み跡をたどり東尾根の末端へ。そこから10分ほどの登り返しでルート取り付き。今回は忠実に末端の岩稜から取り付いてみました。

3級程度の岩稜はステップ、ホールドともに豊富で、バリエーションルートのトレーニングとしては最適。

 

途中ハイマツのやぶこぎや歩きを交えて10m程度の岩場を二つ三つ越えていきます。

山頂直下のルンゼは崩壊がすすんでおり、すこし危ない感じでしたがクライマーズライト側のハイマツをたよりに木登り。

ルンゼを越えてからの山頂までの歩きでは雷鳥の歓迎??も。

台風間近の北アルプスは、雲が多いながらも槍ヶ岳や笠ヶ岳まで遠望出来ました!

龍王の東尾根、こじんまりしている中にも変化があり、なかなかいい山行を楽しめました。

 

 


2018-5-11~13 剱岳・源次郎

2018-05-14 10:34:36 | ガイド山行記録

GW後半をはずし、今週残雪期の剱岳・源次郎に行ってきました。

11日金曜日、室堂より入山。立山・剱方面は、2日前の降雪により一面真っ白。冬に逆戻りしたかのような様相。

 

翌12日は早朝4時に御前の小屋を出発。前日山々を白く染めあげ綺麗だった新雪は表面が硬いモナカ雪!容易に踏み抜き足を取られながらのアプローチなのでスピードが上がりません!!

1時間ちょっとかかりようやく源次郎の取り付き。1峰へ上がるルンゼはきれいに雪が繋がっているものの、やはりモナカ&デブリのラッセルなのでちょっと苦労させられました。そしてシュルンドも今は新雪に覆われ平らになっているので、知らずに踏み込むとズボ!股下まで踏み抜き!!はい出るのに一苦労!

 

さらに続く岩稜もすっかり新雪に覆われ、くるぶし上までの重たいラッセル!まったくスピードが上がらない!!

べったりと張り付いた新雪をかき分け、ピッチを切りながらの登攀に苦労させられながらようやく1峰。

 

2峰の懸垂ポイントが9時30分すぎ…。最後の本峰までの登りも所々膝まで踏み抜きながらの登高でした!

 

辿り着いた山頂はご覧の通り。お社は屋根が半分見れる程度で、山頂は南東側に張り出した雪庇に覆われていました。

山頂を12時30分に下降開始。予報とは裏腹に高曇りの時間もあり、気温自体がさほど上がらなかったので平蔵のコルから平蔵谷を下降。

前剱東尾根に引っかかる雪庇の脅威に神経を使いながらも、腐った新雪に足を取られとられ何とか剱沢へ。あとは御前の小屋までひたすら長い長い登り返し。

13時間かかり何とか明るいうちに小屋へ帰ってきたのでした。

いやー、今回の新雪、歩きの登山にとっては最悪の雪でしたね~。


2018-4-7~15 ヨーロッパ・オートルート

2018-04-16 01:16:30 | ガイド山行記録

ガイドになったら一度はやってみたい!と思っていた憧れのオートルートのガイド行ってきました!!

 

今回予定したルートは、シャモニーのグランモンテからコル・デ・パッソを超え、アルベルト・プルミエで1泊。2日目はコル・デ・ツールを超えてトリアン小屋へ。3日目にアルベッタの谷からシャンペへ下り、車で移動しベルビエのスキー場からモンフォの小屋へ。4日目、モンフォからローザ・ブランシュを越えてディス小屋。5日目、ディスからピン・ダ・アローラを越え、さらにイタリアに入りナカムリ小屋、そしてクライマックスはテートブランシュへ向かってコルを2つ越え、コル・デ・バルべリンへ。そこからマッターホルンを望みながらツェルマットへ下るというもの。

 しかし世の中そんなに甘くない。当初の天気予報通り4日目は昼前から小雪が舞い始め、ローザ・ブランシュを越えたあたりからド吹雪!

ホワイトアウトの中ほうほうの貞でディス湖まで下りたはいいが、ここでエスケープ。これまたほうほうの貞でダムまで下り、またしても車の力を借りてアローラの村へ。

それでも天気が持ち直してくれたので、アローラから再び入山しベールトールの小屋へ。

 

翌日も天気は好転し、最高のコンディションの中テート・ブランシュ山頂へ。ここからはマッターホルンを見ながらのスキー滑降。前夜降り積もった雪は朝の冷え込みで保存されていて、最高のパウダースキー!!

文句なしのロケーションと相まってまさに至福のひと時を堪能することができました!!!

1週間に及ぶガイド山行はかつてなく、プレッシャーにつぶされそうになりながらでしたが、周りの人たちと山々に助けられ、何とかこの山行をやり遂げることができました!!

皆さん本当にありがとうございました!!そして素晴らしいロケーションを提供してくれた大自然、本当にありがとうございました!!

 

 


2018-3-24~25 赤岳主稜

2018-03-28 14:51:31 | ガイド山行記録

今冬最後の八ヶ岳は赤岳主稜に行ってきました。

おりしも八ヶ岳は3日前に降った大雪で真冬に逆戻り。この冬一番の積雪量になったのでは!

トレースもあまり期待できない感じではありましたが、順番待ちが嫌だったので朝6時に鉱泉を出発。行者小屋で再度三次滝を整え、いざ主稜へ。

 

この週もとても天気に恵まれ、主稜取り付きからはご覧の眺望!最初の凹角も雪で覆われ低くなっていて、アイゼンの前爪を利かせて突破!

 

その後のやさしい稜線はしまった雪に覆われ、アイゼンを利かせてどんどん高度を上げていきました。

結局、核心部は右のルンゼに出て凍った凹角を登り、赤岳山頂へ。風もそこそこあってまるで真冬の様相。

 

再び雪に覆われた冬の八ヶ岳を堪能することが出来ました。

これで今冬の八ヶ岳は全て終了。赤岳鉱泉の皆様、美濃戸のおばちゃん、皆さん今季も本当にありがとうございました!!

 

 


2018-3-3~4 阿弥陀北稜

2018-03-06 11:43:19 | ガイド山行記録

このところすっかり陽気は春めいてきました。そんな中八ヶ岳でバリエーション入門の阿弥陀北稜を登ってきました。

先週木曜日の降雪で八ヶ岳も2000mラインより上部では積雪量が増加。これまでの様子とはちょっと違う雰囲気を感じながらの入山。

 

この日は足慣らしも兼ねてジョウゴ沢のF2でアイスクライミング。前回よりも登りが進歩しましたね!

 

明けて4日は日中の気温上昇が気になったので早朝5時40分に行者小屋を出発。阿弥陀の山頂横には満月に近い月が。

 

北稜はばっちりトレースが付いていたのでサクサクと取り付きへ。第一岩稜はいつも通りすっかり雪壁。

第二岩稜取り付きからは窓の向こうに富士山も!今日もきれい!!

第二岩稜はセオリー通り左の凹角からアイゼンの前詰めをたててクライミング。

 

岩稜は所々細かいスタンスとホールドが頼り。短くピッチを切ってここも突破。阿弥陀岳山頂へ続く雪稜へ。

7時50分朝の光に満ちた阿弥陀岳山頂に登頂!今季2回目の阿弥陀岳!!

下りはまだ日射を受けていない中岳沢を脱兎のごとく速攻で下山!

今回も良いクライミングが出来ましたね。

 


2018-2-17~19 八ヶ岳

2018-02-19 21:42:30 | ガイド山行記録

17日の悪天候をやり過ごし、18日より八ヶ岳展望荘へ。雲上の世界を堪能してきました。

本来の予定は17日(土)から展望荘へ上がる予定でしたが、あいにくの悪天。視界はないうえに折からの強風。早々に行者小屋泊まりを決め込みました。

よく18日も早朝から強風。天気はいいものの雪煙舞う稜線を恨めしく眺めながら時間をつぶしました。

8時を過ぎたころから少し風が収まってきた様子なので、とりあえず展望荘目指して地蔵尾根に取り付き。

 

今年の八ヶ岳は特に西面は雪が少ない。トレースもばっちりなのでアイゼンを利かせながらの登行。

ほどなく展望荘に到着。見上げる赤岳は風が収まってきたものの、まだ雪煙が舞う感じ。でもまあ八ヶ岳はこんなもんか…。

 

昨日とは打って変わって360度大パノラマの赤岳山頂。

 

小屋に戻ってからは撮影タイム。阿弥陀の背後に沈む夕日や残照に映える横岳を望むことができました。

 

翌朝は雲が多くいまいちの天気でしたが、それでも雲上でしか味わえない光景を堪能することができました。


2018-1-26~27 八ヶ岳・大同心稜

2018-01-28 09:12:17 | ガイド山行記録

いやー、今週は寒かった!極寒の八ヶ岳で大同心稜を登ってきました!!

アプローチはいつもの通り美濃戸から北沢経由で赤岳鉱泉へ。ところがこの日も寒く、堰堤広場ですでに顔が痛いほど!

 

27日は夜が明けるのを待ってからの出発。6時の時点で鉱泉前は-18℃。寒い…。

防寒対策をバッチリしていざ大同心稜へ。あたりはまだ高曇りで視界もあまりありません。

 

森林限界を越えると展望も開けてきましたが、向かいの阿弥陀でも雲がたなびくとても寒そうな光景が!

見上げる大同心もご覧の通り。寒---っつ!

 

いよいよ核心部へ。このあたり、雪が吹き溜まっているかと思いきや、強風に吹き飛ばされたらしく硬く締まった雪壁。

核心部も下がかなり埋っていて難なく突破。

ここから先は強風域に入るため、バラクラバをたくし上げゴーグルも装着!!

何とか稜線へでたものの、あまりの寒さにここで撤退…。おそらく体感温度は-30℃近くまであったのでは⁉

とにかくこんな過酷な条件の中、よくここまで頑張りました!!

今年の八ヶ岳は寒いぞー!!!!

 


2018-1-6~8 八ヶ岳・大同心稜ほか

2018-01-09 11:47:00 | ガイド山行記録

皆さま、あけましておめでとうございます。昨年も私のブログをご購読いただきありがとうございました。今年も改めて心機一転、ガイド山行ほかプライベートな山行にもどんどんチャレンジしていきますので、どうぞ引き続きご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

さて新年最初の連休はやはり八ヶ岳!まずまずの天気の中大同心稜などを登ってきましたよー!

 

このところ降雪もなくカッチカッチに凍った恐ろしい美濃戸の林道をドライブし、おばちゃんちの駐車場へ。あと少し遅れていたら満車で入れなくなるとこでした…。

とりあえず身支度をととのえおばちゃんに新年のご挨拶を終えると、一路鉱泉へ向け出発。

 

 

翌日は朝食をとり7時40分、のんびりと赤岳鉱泉を出発。大同心沢に入りすぐに左手の尾根へ。尾根はやがて急登になりますが年末年始のトレースがバッチリ付いており、アイゼンをキュッツ、キュッツと利かせながらの登高。

 

 

 

森林限界の手前で小休止。栄養補給、水分補給で身支度を整えアンザイレン。いよいよ細く急になる稜を登っていきます。

 

 

大同心の基部を回り込むといよいよ傾斜は増していき、雪と岩のミックス帯をアイゼンを利かせながら慎重に高度を稼ぎます。

 

 

核心部の5mほどの凹角を細かいホールドとスタンスをひろい豪快に越えていきます。バリエーションルートに入門者にとってここはいいトレーニングですね!

 

 

やがて大同心稜は広いカール上になり、薄く雪の積もった斜面をジグザグに登高すればほどなく稜線へ。

稜線はこの日も風が強く、特に硫黄と横岳の鞍部に当たるここは強風域。休憩もそこそこに縦走路をたどり横岳奥の院へ。

 

風は強いが天気は最高!八ヶ岳の主稜線から南アルプス、中央アルプス、御嶽山に乗鞍、そして一直線に白い北アルプスの山々、さらには富士山と新年早々から大パノラマを堪能することが出来ました!!

 

 

さてルートはここから三叉峰を越え鉾岳のトラバース、日ノ岳の長い下りと悪場の連続!

 

赤岳登頂は明日の南峰リッジからという事にしてこの日は地蔵の頭から下山。頭ではしばし北アルプスの雄大な眺めを堪能しました。

 

 

前日の予報によるとこの日の天気はもって10時AMまで。という事で最終日の8日は5時30分に赤岳鉱泉を出発。このところ毎週-10℃を下回る気温の中での行動だったので、この朝の気温はとても暖かく??穏やかに感じられました。-4℃なんてうちの玄関先の気温と変わらないではないか⁉やっぱ天気悪くなるんだな…。

 

 

行者小屋で小休止ののち南峰リッジめざし、まずは文三郎の急登をアイゼンを利かせ登高。

 

 

いよいよ南峰リッジが近づいてきたころ、空は白い巻層雲に覆われてきているではありませんか!

アンザイレンしてリッジに取り付いてみたものの、小雪がちらつき始めたかと思うと一気に天気は急降下。風を伴って吹雪の様相を呈してきました。

 

何と予想よりも早く天気が崩れて来たではではありませんか!

そんな時は潔く撤退!!後ろ髪惹かれながらもいよいよ風の強くなった文三郎を下山してきました。

 

行者まで下りてきて振り返ると山はすでに真っ白なガスの中。風もさらに強まった感じ。くわばらくわばら…。

南峰リッジからの赤岳登頂はかないませんでしたが、快晴の大パノラマから吹雪の撤退までとても内容の濃い有意義な3日間でした。

さてこれで2018年もスタート。これからも頑張っていきますよー!!

 

 

 


2017-12-29~30 八ヶ岳

2017-12-31 09:30:36 | ガイド山行記録

今年最後のガイド山行は、海外からのお客様を八ヶ岳をご案内してきました!

 

 

まずは峰の松目でアイスクライミング。

 

 

氷の状態は硬すぎず程よい感じ。サクサクとアックスを決めて登りました。

 

 

F8はトップロープで。体感は垂直以上!

 

2日目、とても寒い朝でした。気温は鉱泉の前で-12℃!

 

森林限界を超えるといよいよ風も強まり、体感温度はおそらく-20℃以下!

文三郎の分岐付近では飛ばされそうな感じでした!

 

 

岩稜帯を回り込み南面に入ると風も弱まり日差しを受けてポカポカ。富士山や日本の山々をバックに記念撮影!

 

最後のはしごを慎重に越えいよいよ赤岳山頂へ!360度の大パノラマに2人とも大満足!

 

たまには私も交じって3人でパシャ!

 

下りは展望荘で冷え切った体を一度温め、地蔵尾根を下って行きました。

二人とも日本の冬山の代名詞、八ヶ岳を満喫していただけたようです!

これで今年のガイドはすべて無事に終了。皆様ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。

ではよいお年を!