![]() | 「人口減少経済」の新しい公式―「縮む世界」の発想とシステム松谷 明彦日本経済新聞社このアイテムの詳細を見る |
たまたま手に取った本が、思った以上にヒントがあるとうれしい。
日本が抱える大きな問題である「人口の減少&高齢化」を取り上げ、
大枠のテーマが抱える個別の課題を分けて分析している。
その上で、「経済規模のわりには貧しい国民生活」を解決する好機と
捉え、いろんな解決策を提示している。
「戦後の日本経済は、設備投資を軸に成長してきた。設備投資の大きさが、
日本の経済成長率が欧米各国を常に上回った原動力であった。(中略)
しかし、長期的に見れば、設備投資が今後拡大することはない。
日本経済は新たな軸を模索するほかはないのである。」
「今後の税負担のあり方については、日本社会として公共サービスのあり方
をどう考えるか、年金のあり方をどう考えるかといった議論の末に、結果
として得られるべきものであると考える。(中略)
少なくとも、「高齢社会だから財政支出は拡大する、だから増税だ。」と
いう現在の政府の路線は、未熟な財政行動だといわざるを得ない。」
課題の解決策として、いろいろと提示されており、このへんはなかなか
疑問が残る。現実的にできるのかという点も含めて。
人口の減少、労働力の減少カーブにあわせて企業の設備等の生産能力を
削減すれば、労働力、すなわち購買力にあった生産が可能となり、過剰
在庫を抱えない、すなわち不況にはならないという考えには、???。
端的にいうと、
「そんなにうまくできんやろ。儲けたい意識がはたらくんだから。」
とはいっても、課題提起とその整理の仕方、論述方法は非常に参考となる。
また、旧大蔵省の主計官、審議官経験者が書いたとは思えない内容。
たまたま図書館の棚で、目に入った本を手に取り、それがいい本だと
ちょっとした幸せを感じるね。