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t-rockの…

毎日の適当な生活を。。。

外務官僚としての交渉力

2010-05-13 00:48:13 | 読んだ本
プロフェッショナルの交渉力
田中 均
講談社

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小泉さんの訪朝を実現させた立役者としての裏話だとか、中身には、
自分の仕事の振り返りの部分も多いけど、利害が対立する各国間の
交渉を担当してきた方としての含蓄がある。

「信頼性という言葉を使うとき、通常は「あの人はいい人だし、嘘はつかない」
 「物腰が柔らかく優しい」「信頼できる人だ」などというイメージが浮かぶ。
 だが、交渉における信頼とは、そういうことではない。その人物の人格の問題
 はさておき、結果を作る能力があれば交渉する相手としては問題がないのだ。
 (中略)
 したがって、相手の信頼性の確認は、交渉するときの必須条件となる。相手が
 どういうポジションの人物なのかもさることながら、特定の問題を実施する能
 力があるかないかについての確信を持つことが大切となる。」

「形式的な扱いをされた人たちは、大きな不満を持ち、それは後に必ず跳ね返っ
 てくる覚悟がいる。だが、それは甘受せざるを得ない。国益のために、あるいは
 組織のために大胆なことをしようとするなら、このリスクを受け入れざるを
 得ない。
 こうして挑む時に気をつけなければいけないことは、交渉の過程で、このリスク
 がコストになることである。リスクに挑んだら、中途半端なことはすべきではな
 い。だからこそ、形式的、と私は書くのである。」

★★★

チームを動かすために

2010-05-12 00:44:47 | 読んだ本
即戦力の人心術―部下を持つすべての人に役立つ
マイケル アブラショフ
三笠書房

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部下を動かして仕事の目標を達成するために、心がけたい内容がいっぱい。

ビジネスだって、軍隊だって、部下が組織や上司に思うことはおんなじ。

「私は、彼らが艦を離れていく第1の理由は給料が安いせいだろうと思っていた。
 しかし、驚いたことに、実際にはそれは5番目の理由だった。
 第一の理由は、『上司から大切に扱ってもらえないこと』だったのである。
 第二の理由は、『積極的な行動を押さえ込まれること』
 第三の理由は、『意見に耳を貸してもらえないこと』
 第四の理由は、『責任範囲を拡大してもらえないこと』であった。」

「才能に役職などない。」

「いかなるリーダーも、あらゆる意見に対して虚心になって耳を傾け、
 固定観念を認めない姿勢を持つ必要がある。」

「各個人に見合った能力強化法があるはずだし、画一的な研修プログラム
 は場合によっては時間の無駄になってしまうのである。」

「マニュアルどおりに行動することが、結局は安全かつ有効だと実証済み
 なのだ。日常はこのマニュアルに従っていれば、困った状況に陥ること
 はまずない。
 反面、ずば抜けた成果を得ることもほとんどない。そして、あまりにも
 多くの場合において、このマニュアルは及び腰な行動の原因となる。
 そして本当に重要なものを見えなくしてしまう欠陥がある。」


そして、自分に言い聞かせるのにもいいのが、

「『懸命に』働くな、『賢明に』働け!」


★★★★

民主主義がアフリカ経済を殺す

2010-05-11 00:35:00 | 読んだ本
民主主義がアフリカ経済を殺す 最底辺の10億人の国で起きている真実
ポール・コリアー
日経BP社

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GWの読み物としてはなかなか重たいものではあったが、いろいろと考えさせられた。


「最底辺の10億人が住む社会では、民主主義のもたらすアカウンタビリティーと正統性の
 影響によって、政治的暴力リスクが抑制されることがない。その明確で単純な理由は、そ
 うした社会では、民主化がアカウンタビリティーも正統性ももたらさないからだ。なぜだ
 ろうか。」

という問題提起を、統計的なデータと具体的な各国の事例を踏まえて論じていく。


51%の得票率で選ばれた国家元首が、残りの49%を含めた全体を統治していく。
「民主化」と呼ばれる過程の中で、選挙制度が持っている前提のようなものが共有されず、
選挙が勝利したほうが自分の民族に対する究極の利益誘導を図っていく。

選挙前よりも選挙後のほうが動乱・内戦が起こりやすいというデータを示されると、
その難しさが際立つ。

選挙後にその権力を行使するために、「独裁者」たちは武力を増強し、反対派を制圧
していく。

反対派は資金を確保して武力を増強し、政府派との武力闘争に入っていく。


そして、
「多くの研究により、国民の民族的多様性がもたらす共通の結果として、公共サービスが
 劣ることが明らかになっている。
 (中略)
 もうひとつ、納税意欲について、人々は税金の大半が自分とまったく違う人々のために
 使われると分かっているときよりも、自分が親近感をもつ人たちの利益となるときのほ
 うが、納税意欲が高いという結果も出た。
 (中略)
 また、民族的多様性が高いほど、政府に対する監視という公共財が機能を示さなくなる
 ことを示す証拠もあった。」

大なり小なり、今の各国でも似たようなことは起こりえるし、地元への利益誘導も図られてる。
大きな違いは、それによる流血があるかなしかというくらいで。


それに、今ブームになっているけれど、日本だって、江戸から明治に移るときには多くの
血が流され、試行錯誤を繰り返してきたわけだから、アフリカだけじゃなくアジアや南ア
メリカの国々も似たようなことになっているということなのかもしれない。
先進国だって同じように、内戦や国家間の戦争を繰り返して今の体制が出来上がっている。


それを忘れて、いきなり今のベターな制度を各国に導入するからうまくいかないのだろう。
だからといって自分に解決策があるわけじゃないけれど、世界のニュースを読むときにも、
読み流すのではなく、もう少しいろいろと意識するようにしたい。

★★★

コントの枠を超えたストーリー

2010-03-04 01:08:58 | 読んだ本
エスケープ!
渡部 健
幻冬舎

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こりゃ面白い!


アンジャッシュのコントから、時間と登場者の枠をとっぱらったら

こんなストーリーになるんだね。


最近ちょいと疲れ気味だったので、リフレッシュにもちょうどいい。

一気に読み終わった。


渡部のシナリオ書きの上手さが全体に表されている。

読みながら、パーツパーツではそうじゃないかと思っていても、

それをつなぎ合わせているのが秀逸。


★★★★★

日本から遠い、報道されない現実

2010-01-25 23:41:35 | 読んだ本
ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄
白戸 圭一
東洋経済新報社

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読んでて、知らないことの罪というものを、考えさせられた。

著者は、毎日新聞の記者なんだけど、新聞記事にはならないルポ。

「私は、資源ブームに沸くアフリカ社会の今を「暴力」の視点から切り取る取材を
 あえて特派員生活のライフワークに据えてきた。このテーマに関心を抱いたのは、
 ヨハネスブルクでの生活で直面する最大の問題が治安だという切羽詰った事情も
 あったが、より根本的な理由は、本書の副題にもなっている『暴力が結ぶ貧困と
 繁栄』という視座へのこだわりである。」


○ W杯が開催される南アフリカの、経済成長とその裏側

○ ナイジェリアの油田から染み出す組織犯罪

○ コンゴで頻発する虐殺と、軍資金となる鉱物資源

○ スーダンでの、中国のオイルマネーが支える人権弾圧

○ 対テロ戦争の前線となる、無政府国家ソマリア


「南アに限らずアフリカの国々の残酷な点は、医療全般の崩壊にあるのではない。
 目の前に高度な医療が存在しながら、大多数の庶民は支払い能力がないために、
 その恩恵をまったく享受できないところにある。」

「貧困と繁栄。この二つの世界は決して交わることのない関係に見える。だが、
 私がアフリカ各地で見てきた現実は、両者は不幸にも「暴力」という架け橋によ
 って結ばれ始めていることを示している。」

「資源や金融商品に投機するだけで巨万の富を得る人がいる一方、1日1ドル以下
 での暮らしを余儀なくされている人が何億人も存在する世界の基本的構造は何も
 変わっていない。
 巨大な格差から生じる絶望や憎悪は「暴力」となって吹き上がり、いずれ世界全
 体を覆う黒雲の如き存在となるのではないか。私がアフリカで目撃した現実は、
 資源ブームやマネーゲームの果てに不安定化する世界の明日を先取りしたもので
 はなかったのか。本書を書き終えた今、そんな思いがわき上がってくる。」


 いつもより多目に抜いたけど、

 「南アの公立病院の惨状を知り、怒り、哀れみ、同情することはあっても、その
  先の具体的行動に進む人間は稀だ。私もそんな無力な人間の一人に過ぎない。」

 と著者が書くとおり、なかなか行動には起こしにくい。

 金のアクセサリーを買うとき、レアメタルが使われる携帯電話を購入するときに、
遠くアフリカの鉱物生産地の状況に思いを馳せることはない。

 それを使うことで、現地の軍事勢力にカネが渡り、人が圧せられて、殺される。
そんなことまで考える人は確かにいない。

 だけど、知らないよりは知っていたほうがいいはずだ。


 知って何ができるか、何をするかを考えないといけないけれど、

それに踏み切れない自分の弱さを感じつつ、

いい本に巡り会った。それは間違いない。


★★★★★

ロン・ヤスの裏側

2010-01-24 16:17:44 | 読んだ本
自省録
中曽根 康弘
新潮社

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ご自身が書いた本なので、若干(というかたっぷり)飾っている部分はあっても、

レーガン大統領との関係が構築できた背景とか、

「不沈空母」発言の裏側とか、

「サミット記念写真で中央に立った理由」とか、

「小泉さんに引退を突きつけられた時」とか、

いろんなエピソードが盛り込まれてて、読み物として面白い。


ともに過ごしてきた政治家たちのフィルタがかった人物批評や、

昭和天皇とのやりとりなんかも盛り込まれてて、

歴史の教科書よりもイメージが持てる。


終わり間際の宗教観についての記述はいらんような気がするが、

今の政権を見ていると、次の言葉を噛み締めずにはいられない。

「本当の民主主義とは、国民全員が、直接、指導者を作り出すことなのです。
 そして大型政治家が目指すべき改革、取り組むべき課題は、内閣をつくり、
 壊すこと、あるいは憲法改正です。派閥の締め付けは弱くなっているのに、
 若手から政治生命をかけて堂々と国策を示し国の進路を明示する改革者が
 出てこないのは不思議なくらいです。目立つのは、妙な小細工ばかり弄する
 出世主義の集団です。」


二階堂さんの「政と官」を一緒に読むと、いいかもしれない。


★★★

働きバチの一生

2010-01-10 22:30:22 | 読んだ本
風の中のマリア
百田 尚樹
講談社

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「こういう書き方もあるのね」という小説。


オオスズメバチのワ-カー(働きバチ)が主人公。

オオスズメバチの生態を、見事なストーリーに仕立てている。

「生物」のテキストっぽく書かれちゃうと、とても読む気がしないけど、

よくできた物語の中にちょいちょいとオオスズメバチの生態が

放り込まれているから、楽しんで読むことができる。


スズメバチの寿命が30日だったり、遺伝学的な性決定の仕組みだとか、

ニホンミツバチがオオスズメバチから巣を守るための「蜂球」の存在、

巣の中で起こる「革命」だとか。


それに、ニホンミツバチとセイヨウミツバチ、オオスズメバチの関係とか、

知ってて、特に役立つわけじゃないけれど、こういう雑学は大好きです。


著者は探偵ナイトスクープの放送作家。

こういうテーマをストーリーとして仕上げられる方なんだから、

ナイトスクープの依頼も面白おかしくできるんだろうか。


好みもあるでしょうけど、こういう本、好きです。


★★★★

こちらの「みなみ」ちゃんも立派です

2010-01-03 22:36:43 | 読んだ本
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
岩崎 夏海
ダイヤモンド社

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これがまた、思い切り趣向を凝らしたドラッカー本で。


友達の病気のため、「みなみ」ちゃんが代役で野球部のマネージャーを引き受け、


「マネージャーとは?」という疑問を解決するために本屋に立ち寄り、


ドラッカーの「マネジメント」を手に取って読み込み、それを活かすというお話。


ストーリーになっているので、抜き出すとネタバレになるので避けるけど、


野球部の組織としての定義を考えたり、部員に成果を挙げさせる方法を考えたり。


一気に読めてしまって、かつ、エッセンスを事例の中で読み込める。


下手な解説本よりも、よっぽど分かりやすくて腹に落としやすい。


「ドラッカーへの旅」もいいけれど、コチラもかなりのオススメです。


しかし、この本の表紙絵&挿絵だけは、なんとかしてほしかった。


30代なかばのおじさんが、本屋で購入するのはちょいと抵抗感が。。。


★★★★★

入り口に最適

2010-01-03 22:04:09 | 読んだ本
ドラッカーへの旅 知の巨人の思想と人生をたどる
ジェフリー・A・クレイムズ
ソフトバンククリエイティブ

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初めてドラッカーに入る、改めてドラッカーを勉強しなおすには、
非常によいテキストになる本です。

著者が生前のドラッカーに直接インタビューをしたサマリーと、
著書からの抜粋でまとめられている。

これを読んでドラッカーに興味を持てなければそういうもんなんだろうし、
さらに深く知りたいと思ったら他の著書を読み込んだらいい。


「使命をはっきりさせれば、「出来の悪い」組織ですら、特定の分野で
 優れた成果を挙げられる。(中略)
 使命はまた、どのような人材が集まってくるかを決定づける、極めて
 大きな役割を担うのだという。」

「問題を解決しても、しょせんは問題が起きる前の状態に戻るだけだ。
 結果を出すには、機会を探究しなくてはならない。たいていの組織では、
 マネジャーたちは問題の火消しに追われてばかりいて、将来の収益源に
 なりそうな機会を追い求める時間を持てずにいる。」

「部下のしていることが倫理や法律に反しているなら別だが、そうでないなら、
 助けを求められない限りは、手出しをしてはならないのだと。
 『部下に選択を委ねたのなら、そのリスクは甘んじて受け入れなくてはなりませ ん。』」

「マネジャーと部下の協調関係については、上司を首にする権限を部下たちに
 与えようという発想になじめないなら、これからの時代のリーダーとしては
 失格でしょうとまで言い切っている。」

「マネジャーとリーダーの違いを「マネジャーはうまく仕事をこなし、リーダーは
 本当にすべきことを実行する」とごく手短に説明し、生涯このフレーズを使い続
 けた。」

「ちなみに、生来のマネジャーをはじめ、掛け値なしに優れたマネジャーは、
 誰が正しいのかよりも何が正しいかに、はるかに強い関心を抱くのだという。
 『仕事上の要請よりも人柄を優先させるのは、堕落であり、腐敗へとつながる。』」


そして、ドラッカー自選の著書というのも興味深い。
うちには、「現代の経営」だけあるけれど、他も手にしたくなった。

ドラッカーの自選・六大著書
 企業とは何か(1946)
 現代の経営(1954)
 創造する経営者(1964)
 経営者の条件(1966)
 断絶の時代(1969)
 イノベーションと企業家精神(1985)


そして、最後にこの言葉。

「コンサルタントは、みずからリスクをとるわけではありません。
 リスクがあるとすれば、顧客が離れていくことだけでしょう。コンサルタントが
 読みを誤った場合、そのツケを支払うのは顧客ですからね。」


抜粋ばかりしちゃったけれど、それだけよい本だということで。


★★★★★


立川流の育て方

2009-12-06 00:14:39 | 読んだ本
赤めだか
立川 談春
扶桑社

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17才で談志に弟子入りした筆者が、師匠である談志とのやりとりと昇進を
非常に上手く書いている。

談志といっても、TVで見るイメージしかないし、
寝ている観客がいると落語途中でも席を立つという話しか知らない。

この本を読んでみて、談志の弟子への育て方と弟子の師匠への接し方。

最近、あちこちでパワハラみたいな話がすぐに出ちゃうけど、
修行とは理不尽に耐えることということも、大切なんではないかと思える。

そしてこの言葉。

「 己が努力、行動を起こさずに対象となる人間の弱みを口であげつらって
 自分のレベルまで下げる行為、これを嫉妬と云うんです。一緒になって
 同意してくれる仲間がいれば更に自分は安定する。本来なら相手に並び、
 抜くための行動、生活を送ればそれで解決するんだ。しかし人間はなか
 なかそれができない嫉妬している方が楽だからな。芸人なんぞそういう
 輩の固まりみたいなもんだ。
  だが、そんなことで状況は何も変わらない。よく覚えとけ。
 現実は正解なんだ。時代が悪いの、世の中がおかしいと云ったところで
 仕方ない。現実は事実だ。そして現状を理解、分析してみろ。そこには
 きっと、何故そうなったかという原因があるんだ。現状を認識して把握
 したら処理すりゃいいんだ。その行動を起こせない奴を俺の基準で馬鹿
 という。」

自分の中で大切にしておきたい言葉です。

事務所への行き・帰りプラスアルファで読み切れるくらい、
面白いけど大事にしたいことばもいっぱい。

ビジネス書もいいけれど、こういう本から何か得られるものがあるといいよね。

★★★★