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t-rockの…

毎日の適当な生活を。。。

「正しい理解」と「正しい行い」

2009-05-07 22:01:12 | 読んだ本
ダライ・ラマのビジネス入門 「お金」も「こころ」もつかむ智慧!
ダライ・ラマ14世,ローレンス・ファン・デン・ムイゼンバーグ
マガジンハウス

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ダライ・ラマがビジネスのあり方について語ってる。


「DALAI LAMA THE LEADER'S WAY」というタイトルが、なぜ邦訳では
『ダライ・ラマのビジネス入門 「お金」も「こころ」もつかむ智慧!』
になるんだろうか。

 タイトルはひねりすぎて疑問ですが、中身はなかなか示唆に富んでます。

 ダライ・ラマが経営コンサルタントをコンビを組んで、仏教とビジネスを
組み合わせながら、「正しい理解」と「正しい行い」を軸にまとめてある。

 正直、経営コンサルタントさんの記述部分ではあまり惹かれないというか、
どっかで読んだ本の焼き直しみたいなんだけど、ダライ・ラマさんの部分では
心に留めておきたい言葉がたくさん。

 特に、富の正しい創出と正しい分配あたり(下の抜き出しの3つめ)は、
意識しておきたいこと。


「 仏教では、収益に関する考えは非常に明快です。収益は、まっとうな方法
 で得られる限り、立派な目的です。しかし、ビジネスの役割は収益をあげる
 ことだと言うのは、人間の役割は食事や呼吸をすることだというのと同じく
 無意味です。損失を出す会社と同様、食事をとらない人間は死を迎えます。
 だからといって、人生の目的は食べることだということにはなりません。
  企業の役割は、『時価総額を最大にする』だけではなく、責任ある行動を
 とり、『顧客を生み出し、満足させる』こと。企業がそう考えてくれれば
 いいと私は思っています。」

「 わたしは、収益が企業の唯一の目的であるべきかという際限ない議論に
 耳を傾け、参加もしてきました。私にとって答えはシンプルです。
  収益は生存に必要な条件ですが、企業の目的は、社会全体の利益に貢献
 することです。」

「 アダム・スミスやその他の経済学者は、富の創出にこだわりましたが、富
 の分配に関しては何も考えを述べていません。その一方でカール・マルクス
 は、これと反対に富の分配だけに興味をもち、富の創出には関心がなかった
 のです。富の正しい創出と正しい分配は、そのどちらも非常に大切だと私は
 考えます。それを実現するためには、正しい政策と、『正しい理解』『正しい
 行い』の実践が必要です。」

「 この世界で起こっていること、またこれから起こることに対して、私たち
 みんなが責任を負っています。私たちひとりひとりに、未来を変える力があ
 るのです。」


 自己の存在意義を認識して、適切な行動をとること。
 難しいけれど、逃げちゃいけない話だしね。
 
 宗教に浸かるつもりはないけれど、昔から人の拠り所になっていたところから、
現在に置き換えて学ぶことも大事なんではないかと。
 最近特に感じているしだいです、ハイ。

 ★★★★

ドングリ文化

2009-04-28 00:11:37 | 読んだ本
ドングリと文明 偉大な木が創った1万5000年の人類史
ウィリアム・ブライアント・ローガン
日経BP社

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たまには、こういう雑学みたいな本も面白い。


楢だの、樫だのといった「オークの木」と人間とのかかわり。


オークの分布が人間の文明が発展した地域と重複していることを挙げ、
狩猟文明から農耕文明の間に、ドングリ文明があったという著者の仮説と、
人間がオークをどのように利用してきたか、歴史をまとめてあって、
読み物として、なかなか興味深い。


オークの特徴が次の一文でまとめてある。
「持続性があり、ありふれていて、多様で、適応力があるということ
 そのものに価値がある。オークの特別さはその粘り強さと融通性に
 ある。オークは助け、助けられている。『特殊化しない』というこ
 とに『特殊化している』のだ。」


食糧(ドングリ)の供給元、燃料の供給元としての存在、
建物や樽、船の材料となって文明を支えてきた存在。


イースター島とか、現在砂漠になってる地域の中には、
森が破壊されて、生きられなくなった人間たちもいたわけで、
「オーク」が与えてくれるものを享受してきたんだろう。


雑木林も大切にしないとね。

★★★

一つの方向にみんなが進むと気持ち悪い!?

2009-03-24 23:44:29 | 読んだ本
暴走する「地球温暖化」論-洗脳・煽動・歪曲の数々
武田 邦彦,池田 清彦,渡辺 正,薬師院 仁志,山形 浩生,伊藤 公紀,岩瀬 正則
文藝春秋

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どうにも、最近の「エコ」ブームが気持ち悪くてしょうがない。


以前、武田邦彦さんの「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」を
読んだ頃よりも、ブームは加速してて、ボクの中の違和感も拡大中。


たまたま、この本を目にしたので、手に取ってみた。


「環境原理主義」という言葉が、「違和感」を表してくれている。

早稲田大学の池田清彦教授の、
「みんな、「環境にやさしく」とか「みんなの地球」と口では言いながら、
 結局は自分が快適に過ごしたいというエゴが一番基本にあって、あとは
 経済とか政治とかいろんな絡みで、半分正義で半分インチキみたいな
 物語が大量に流れ出ている、これは大きな問題ですよ。」
という発言が、さらに違和感の正体をあぶりだしてくれている。


「『不都合な真実』の不都合な真実」のくだりとか、
「大失敗の環境政策」とか、表に出ている情報の反証を読むと参考になる。


そして、
「どんなに末端で節電しても、火力発電所の発電量を減らさなければ、
 いわゆる『エコ』にならない。」
というのは、古い表現だけど、ひざを打ちたくなるくらい。


だれかのフトコロにゼニを流すための「エコブーム」であるような
気がしてなりません。


このブームで、誰が儲けているんでしょうね。

★★★

とろとろあまあま

2009-03-23 23:45:56 | 読んだ本
シュガー社員が会社を溶かす
田北百樹子
ブックマン社

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本当に、こんな人間がいるのかと思うと、ブルーになるくらい。


著者がいいだしっぺらしい「シュガー社員」という言葉。


「終始一貫して自分本位であり、周りの状況が読めておらず、
 しかも、悪びれもしません。迷惑をかけているという実感すら
 なく、大人としての自覚に乏しい。」

こんな人たちのことを言うらしいが、社会保険労務士として、
いろんな企業の悩み・相談を聞いているうちに、まとめてみたく
なったらしい。

確かに、組織にはこんな人たちが増えているのかもしれない。
その上で、働く者としての守られている権利を最大限行使すること
が最優先事項だったりすると。。。

この本に出てくるような部下を抱えてしまったときに、とても
適切な指導ができる自信は、まったくありません。

ありませんが、とりあえずそんな人間がいるという認識ができた
だけでもいいのかもしれない。。。

 ・ 数字を見ていると気持ち悪くなっちゃうんですけど。
 ・ 私が私でなくなっちゃうから辞めたいんです。有給ください。
 ・ 私にこれ以上仕事をふらないでください。
 ・ 俺のこと、もっと上手に使ってくださいよ。
 ・ 逆ギレっすか?

読後感でこれだけ腹立ちと不安が押し寄せる本も少ないかもしらん。

★★★

made in Chinaがなかったら

2009-03-20 15:36:26 | 読んだ本
チャイナフリー:中国製品なしの1年間
サラ・ボンジョルニ
東洋経済新報社

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1年間、夫婦+こども2人で中国製品を買わない生活を送ったら。。。


それはそれは大変なことになったようで。
もともとこの方、アメリカでウォルマートにいかない生活を送っていたようで、
それに加えて中国製品を買わないなんて。


だんなさんとの喧嘩、おもちゃがほしい子供たちとのやりとり。


日常生活のなかで、中国で生産される商品がどれだけ多いのか、
それを買わないことで起こるトラブルに、ちょっと考えさせられた。

エピローグに、
「 ボイコットの目的は中国を打ち負かすことではなかったし、そもそも
 何かに勝とうということでもなかったのだから。
  世界の中で私たちが置かれている位置、そして私たちの生活の中で
 中国が占める位置を知ることが目的だった。
  そして私が発見したことは、中国製品がなくても人は暮らしていける
 ということだ。
  安い靴や電化製品への執着心があったりしなければ、なお暮らしてい
 きやすいだろう。」
という一節がある。

著者一家がボイコットに取組んだのが2005年。そこから3年が経過して、
今では、もっと中国製品の割合が高まっているんだろう。

現在のアメリカ、そして将来の日本についても抱える問題として、
製造業の中国への流出が及ぼす影響を、本気で考えないといけないのかも
しれません。

結果的に、モノを作らない⇒作っていた人の仕事がない⇒消費が伸びない
⇒ますますコストダウンのために工場が中国へ。

最近は、改めて国内回帰の動きも出てきているけれど、会社が減れば
うちの会社だって困るんだから。

エッセイとしても楽しめる1冊。
なかなかいい内容でした。

★★★★

突然旬なネタに

2009-02-08 18:08:11 | 読んだ本
「小泉規制改革」を利権にした男 宮内義彦
有森隆とグループK
講談社

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かんぽの宿の譲渡問題で、突然光が当たっちゃいましたね。


「本書では、宮内が自ら推進した規制改革を、どう自らの
 ビジネスに取り込んでいったかを案件ごとに細かく検証する。
 そこには、「規制改革の旗手」と「規制緩和の受益者」という
 二つの顔を持つ宮内の実像が浮かび上がる。小泉構造改革の
 功罪を徹底的に検証するに当たり、宮内義彦の軌跡をチェック
 することは、それだけで大きな意味を持つ。」

と前書きにある。


パーツパーツの報道では見逃してしまいやすいものを、オリ ックスと
いう一つの会社、そのトップの行動を追ってある。


また、一面では、一連の規制改革を進めつつも、
一面では既得権益を譲らないその姿勢を、プロ野球の新規参入への
対応で浮かび上がらせる。


10年ほど前、金融ビッグバンのとき、規制緩和要望をチェックする
仕事をしていた頃、やたらオリ ックスの名前が多いなぁなんて
漠然と思っていたけれど、ほとんどが実現してたようにも思う。


著者は、宮内さんを語るときに「根源的なおかしさがつきまとう」という。


『規制緩和に乗っかって儲ける。』ことと、
『規制緩和を作り出して儲ける。』ことの違いなんだろか。


明治時代に、官営事業の払い下げを受けて財閥が拡大していったことと
同じ印象を受ける。
ただし、その当時には、そこには「国力増強」という大義があるように
思えるんだけど、オ社にはそれがないんじゃなかろうか。


ただ自分たちの商売のために、声高に規制改革の声を上げる。
規制の必要性を検証せずに。
あるいは、規制不要の結論ありきで議論したり。
こんなことも、報道のちょろっとの記事だと素通りされることもある。


やっぱり、政治・行政に対する無関心が、一番いけないんでしょうね。


★★★

原因は一つではない

2009-02-03 23:48:01 | 読んだ本
敗因と
金子 達仁,戸塚 啓,木崎 伸也
光文社

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バーレーンに変な負け方をしたので、前回W杯のときを振り返ってみる。


当時の取材、インタビューをふんだんに盛り込みながら、
チームの状況を分析してある。


金子さんの結論として、敗因は一つではないとはしながらも、
「目標と負荷がなくなったから」だとした。


「 大きな目標は大きな負荷を生む。大きな負荷がかかることで、
 選手たちは目標を達成するために死力を尽くす。その死力を
 尽くすという姿勢が、勝敗を超えて観る人々の感動を呼ぶ。
  だが、気づいてみれば当たり前のロジックに、2006年の日本人
 は気づかなかった。気づいていた人が皆無だったわけではないだ
 ろうが、そうした人の声がうねり、奔流となり、ドイツに赴く
 日本代表を揺さぶることはなかった。
 (中略)
  日本の選手は、日本人は戦えないわけではない。ただ、戦える
 ようになるためには、誰かがスイッチを押す必要がある国民なの
 である。」


今回は、スイッチが入っているのだろうか。


誰かがスイッチを入れているのだろうか。


どうにもこうにも、そんな雰囲気がないのは、
あるいは感じられないのは、ボクだけだろうか。



そして、日本代表だけでなく、あちこちの、いろんな組織であっても
同じですよね。


何かことを起こそうと思ったとき、みんなの「スイッチ」を
きちんと押さないと、個人も組織も機能しない。


そんなことを考えたりしながら、
4日と11日のゲームを楽しみに心待ちにしていよう。

最上流の模様

2009-01-09 00:25:37 | 読んだ本
メタル・ウォーズ
谷口 正次
東洋経済新報社

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「ものづくり」も、原料がなきゃできやしない。

バリューチェーンの最上流、日本経済の根っこの部分で何が起きているか、

グローバル化?の流れの中で、寡占化が進む鉱物メジャーの状況と
資源をガブ飲みしている中国の資源確保の取組みが簡潔にまとめられ、
日本が取組むべき対策を提言してある。

かなりわかりやすくまとめられていて、非常に読みやすい。


鉄とかアルミだけでなく、レアメタルが確保できなきゃ
持っている技術も活かせない状況がきかねない。


危機だけあおるんではなくて、対策も具体的。


「都市鉱山」という言葉が使われつつあるけれど、
より具体的に都市鉱山の発掘方法にも言及。


そして、消費者意識の改革についても触れてある。


石油もない、鉱物もない、食料もない。

ないないづくしの日本にとって、解決すべきことは
いっぱいあるんだね。


漢字が読めない方をツッコミ倒している場合じゃ
ないだろうと思うんですけど。

★★★

埋蔵金の発掘人

2008-12-17 22:48:02 | 読んだ本
日本は財政危機ではない!
高橋 洋一
講談社

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元官僚の高橋洋一さんの新刊。


「年金は賦課方式なんだから、国税並みに徴収しないといかん。」

といいながら、

「自分の年金の積立部分の運用方法は、自分で選択できるようにすべき。」

というように、論旨が一貫していないのが気になるが、


マクロ経済学、日銀政策、道州制まで、幅広く触れてある。

そして、官僚制度の負の部分やら、霞ヶ関文学の話が面白い。


しかし、この本を読んだ後、日経ビジネスの少し前の特集号の中にあった、
サミュエルソン氏のインタビュー記事を読んだ。

経済回復の道筋と財政出動については、真逆の考え方。


そうなると、どっちがいいというよりも、どっちを
信じるかということになるのだろうか。

あえて言えば、○○教と△△教のどっちを信じるかと
いうのに近いのだろうか。


どちらを選んでも、片方から、あるいは別方面から
叩かれるんだから、どんなに漢字が読めない方でも、
意思決定をする方は大変ですな。


どちらにしろ、役人さんをどうするかは大きな問題でしょうな。
今のこの職場は、役人さんみたいなもんなんだけど。。。

次はカヒィ

2008-12-15 23:37:42 | 読んだ本
菜の花の沖〈6〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎
文藝春秋

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ある人に勧められていて、「積ん読」していたやつ。


この物語の主人公、うちの向かいの淡路島出身なのね。
淡路には、こんなところもありますが。


そして、この物語、司馬遼太郎の良さが十二分に活かされてる。
やっぱり、司馬本っていうのは、当時の時代背景とか状況の
解説が適切だから、とても理解が深まる。

特に、蝦夷地とロシアの状況なんて、まったく知らない。
受験日本史でも、受験世界史でもほとんどでてこない話。
(まあ、わたしゃ受験地理なので、どちらでもあまり関係ないですが。)


淡路を飛び出すまでの物語、

淡路から商人として立身する物語、

念願の蝦夷地にたどり着いて、そこから商人の枠を超えて生きる物語。

どのシーンでも、活き活きと高田屋嘉兵衛が描かれている。


「かれもまた日本社会の一員で、しかも、学問があるわけでもなく、
 ロシア知識があるわけでもない。しかし集団が感じている恐怖の
 絶対化のほうが、むしろ恐ろしいと思っていた。かれは、自分の
 配下全員にディアナ号を見学をさせることで、恐怖は恐怖なりに
 措くとしても、せめて相対化しようとした。」

「厳格な礼儀というものが、ときに千万言の主張よりも効果的である
 ことは、リコルド自身が、嘉兵衛の容儀に打たれ、自発的に誓いの
 ことばをのべたことでもわかる。嘉兵衛は形式礼儀を好む男ではな
 かったが、形式礼儀が持つ政治的意味を良く理解し、見事に使いき
 ったといえる。」

いろいろとエピソードはあるけれど、嘉兵衛が商人の枠組みを超えて
物事を理解・実行していたのがよくあらわされている。


意識しないと飲み込まれる枠組みの中で、どうやって意識的に、また
無意識的に乗り越えていけるのか、ものの見方を教えてくれる話なの
ではないだろうか。


函館に行く前に読んでおきたかった、そんな物語。

★★★★