 | 奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録石川 拓治,NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」制作班幻冬舎このアイテムの詳細を見る |
評判になっている、リンゴ農家・木村さんの本を読んでみた。
久しぶりに、電車の往復の時間で一気に読了してしまった。
機械好きだった若者が、養子に入った農家のリンゴ農協を引き継いで、
それからの苦難の連続。
農薬を使うことをやめてから、葉がつかず、花が咲かず、実がならなくなった
自分の畑のリンゴの木。
追い詰められて、死のうと思って入った森の中でドングリの木を見て、
「なぜ農薬をかけていないのに、この木はこんなに葉をつけているのか。
(中略)
森の木々は、農業など必要としていないのだ。
今までどうして自分は、そのことを不思議に思わなかったのだろう。自然の
植物が、農業の助けなど借りずに育つことを、なぜ不思議に思わなかったの
だろう。
(中略)
自然の中に、孤立して生きている命はないのだと思った。ここではすべての
命が、他の命と関わり合い、支えあって生きてきた。そんなことわかってい
たはずなのに、リンゴを守ろうとするあまり、その一番大切なことを忘れて
いた。」
それから、木が持つ本来の力を取り戻すための行動も、驚きばかり。
その、木村さんの一言一言には重みがある。
「自然のお手伝いをして、その恵みを分けてもらう。それが農業の本来の姿なんだよ。
今の農業は、残念ながらその姿から外れているよ。ということはさ、いつまでも
このやり方を続けることはできないということだよ。
私も大規模農業に憧れたけれど、その大規模農法地帯はどんどん砂漠化している
わけだからな。アメリカの穀倉地帯も、昔のソ連の集団農場も、今どうなっている
のか見たらすぐ分かる。
どんなに科学が進んでも、人間は自然から離れて生きていくことはできないんだよ。
だって、人間そのものが、自然の産物なんだからな。」
木村さんが経験したことを、上っ面かもしれないけれど自分の中に取り込める。
やっぱり、読書ってやめられません。
農業だけじゃないのかもしれないけれど、「管理」しようと思っても難しくて、
「支援」を意識すると上手くコトが流れ出すことが多い。
前の職場でもそうだったなぁなんてことを考えたりして。
★★★★★
おまけ
引用した言葉を最初に読んだとき、
「天空の城ラピュタ」のクライマックスシーン、
シータの言葉を思い出しました。
『どんなに恐ろしい武器を持っても、たくさんのかわいそうなロボットを
操っても、土から離れては生きられないのよ!』
どうでもいいですけど。