在り処

写真：唐崎の松/金沢市兼六園

　四つ葉のクローバーを　見つけるために
　三つ葉のクローバーを　踏みにじってはいけない
　幸せは
　そんな風に　探すもんじゃない

makeup

写真：ホワイトクリスマス/金沢市

　雨はやがて雪になった
　ワイパーは飽きもせず拭っている
　車内は今夜を歌っているかのようにスピーカーが震える
　年に一度
　思い出は一夜だけ
　雪のお化粧も朝には静かに消えているだろう

始まりの日

写真：光芒/金沢市

　時雨模様
　ふと　息を付いた
　僅かな隙間に　光があふれる
　昨日は　一番昼間が少い日だった
　今日から　また昼間が増える
　今日から　スタートなのだ

今から要るもの

写真：光と影/金沢市

　家の近所にタヌキが住んでいる
　縁の下が棲み家らしい
　近くに向山も森もあるのに
　タヌキは人間の居るところを選んだ

　のどかな日に向山で弁当を広げると
　トンビが掻っさらっていく
　取られた方は何が起きたかわからないくらいだ
　トンビは手軽に餌を得られる方法を見つけた

　タヌキもトンビも実に逞しい

あと半月のころ

写真：源助大根の葉/金沢市
（秀明自然農法による栽培）

　森が明るくなって
　緑をつけた野草は　地にひれ伏していた
　日陰には　めずらしく霜柱
　久しぶりの青空に　大根が踊りだす
　
　夕方
　疲れて台所に横たわる美足は
　この間の雪のようだった

補填

写真：枇杷の花/金沢市

　その人の悪いところを　その人の良いところで　埋め尽くす
　それが　ひとりひとりの　仕事

備え

写真：積雪/金沢市

　積雪　寒い　雷　びっくり
　冬　本番近し

　季節は巡る
　ずっと　暑い日は続かなくて
　ずっと　過ごしやすい日も続かなくて
　ずっと　寒いままではない

　人間　80年
　ずっと　ずっと　命の日が消えるまで
　同じような日は　続かない
　寒い日には　着込んで過ごすように
　辛いときは　備えを　十分な備えを
　いずれまた　大手を振って
　心軽く　歩く時まで

立ちはだかる

写真：山茶花/金沢市

　壁は　壁を超えられる人の前に現れる

役割

写真：イルミネーション/金沢市香林坊

　科学的でない宗教は　盲目である
　だが
　宗教のない科学は　危険である

　

　　　　アルバート・アインシュタイン/物理学者

広く深く

写真：南天/金沢市

　世界は広く　世界は深い
　そんなに　単純じゃねぇんだ