偽装

写真：水クラゲ/七尾市のとじま水族館

　もちろんだが
　この赤は　クラゲの色ではない
　赤い照明に　染まっているのだ
　本当は　無色透明
　何色にも染まる
　装いはいくらでも
　本当は　中身は　何なのか
　知ることで　装いを理解できる
　欺きか　真っ当か
　自分で確かめるしかない
　

そら色

写真：つかの間の青/金沢市

　そら色って鉛の色なんだよ
　違う気もするが記憶を辿れない

　珍しく　風が止んだ
　雲は地平線近く
　そら色って青色だったんだ

　そういえば
　心も　そら色になっていた
　澄み切った　青空になっていた

目的

写真：ユリカモメ/金沢市

　目的を忘れたカモメは　空を飛べない

雪のキャンバス

写真：キャベツ/金沢市
（自然農法による栽培）

　雪のキャンバスに　キャベツが染まった
　何もできず　ただひたすら
　春を待っているものだと
　思っていたのに
　結構　楽しげだ
　畑には芸術家が居た
　雪のキャンバスは
　まだまだ続きそうだ

緩み

写真：水雪/石川県野々市町

　寒中にもかかわらず
　春を先取りしたような天気
　だが
　東の夜空には　オリオンの三ツ星
　不用意にアクセルを踏むと
　タイヤが空回り
　冷え切ったアスファルトには
　氷が張り付いている
　油断大敵　冬は冬
　浮かれず　気を引き締めて
　知恵が居る季節
　もう少し　頭を　使いこなせねば
　春はまだ先だ

雪の旅

写真：さまよい雪/金沢市

　雪と雪の隙間を　飛んでみたい
　そのまま　風に吹かれて
　どこかへ　フワフワ
　海をみたら　次は森の中へ
　夜は　街灯りを　眺めていたい
　月夜なら　もっと　楽しいだろう
　フワフワ
　雪の旅は続く

身になるもの

写真：ふるい雪/金沢市

　何ごとも
　一に練習　二に練習
　三四が無くて
　五に練習
　頼りになるよ

好機

写真：雪夜道/金沢市

　底に居るか　それに近い状態である時
　物事がよく　見える気がする
　物事をよく　考えられる気がする
　気だけでなくて　本当に
　上を見上げれば
　光りが射しているからだろうか
　頂上が見えるからだろうか
　ならば
　底に居ても　悪いことではない
　むしろ　好機だ

朧

写真：冬月/金沢市

　背に腹はかえられぬ
　事情はわかっている　わかっている
　立場もわかっている　わかっている
　けどな　けどな
　お前は　俺じゃないだろう
　俺は　俺しかいない
　やっと　朧な光りが見えたところなのだ
　もう少し　時間をくれないか
　次　月が満ちる頃まで
　かすかな春の香りが　鼻の奥に届く頃まで

寒いので

写真：茎立ちブロッコリー/金沢市
（自然農法による栽培）

　この雪で
　さらに　味が濃く　おいしくなった
　けど　ブロッコリーは　寒いだろうなあ
　だって
　花芽がぎゅうぎゅう
　押しくらまんじゅう