昨日行われた本因坊戦の余韻も冷めやらぬまま、第37期棋聖リーグがついに開幕しました。
前期は羽根、井山、山下、河野の4人が3勝2敗で並ぶという棋聖戦史上初の大激戦の末、羽根碁聖は挑戦を逃しました。(最終局の対山下戦は未だによくわからないところがあります・・・・・。)
ちなみに今期の組み合わせは以下です。
Aリーグ
1位:高尾紳路九段
2位:山下道吾名人本因坊
3位:柳時薫九段
4位:河野臨九段
5位:小林覚九段
5位:王銘エン九段
Bリーグ
1位:井山裕太天元十段
2位:依田紀基九段
3位:羽根直樹碁聖
4位:山城宏九段
5位:淡路修三九段
5位:溝上知親八段
いやあ、今期は年齢層が高いですね~。
特に目に付くのがBリーグの「ロッキー」こと淡路修三九段!
今年63歳ですが、棋聖リーグ入りは凄いの一言です。
ロッキーのパンチが(最低でも)5局見られるというのは楽しみですね。
そして羽根碁聖は最終局の対井山天元戦が挑戦へのポイントとなってきそうです。
それでは今日行われた羽根・山城戦を振り返りたいと思います。
黒番:羽根直樹 碁聖
白番:山城宏 九段
結果:195手まで黒番羽根直樹碁聖の中押し勝ち

羽根碁聖の黒番。渋い出だしから、白8の2間高バサミに対して流行の黒9ツケで応戦。最近は本当にこのツケが良く打たれますねえ。

黒14まではもはや定石化された手順。黒はしっかりと早く治まったのが主張でしょうか。外の白も固めますが。

左下の大斜カケに対しては白1からの簡明定石。羽根碁聖の好みもあるんでしょうが、ここは左上に白石が来ているので、真っ向から大斜定石で行くのは良くないのかもしれません。また白10と黒11を1本交換するのは最近開発された手です。白10に対して手抜きはD2にハネられて、黒が潰れるわけではないのですがかなり辛い事になります。

黒5から迫り白6と打たせ、その調子で黒は右上隅を取りました。これは羽根碁聖の予定通りの進行ではないでしょうか?
(黒11=N18)

右下33入りに対しては黒1から押さえて3,5と2段バネ。ここで白が普通に1子かみ取るのでは何もせずに黒の勝ちになるでしょうね。そこで白は6と変化球!これはいかにもプロの手で、私では絶対思い浮かばない手です^^;。

右下隅の白は生きていることですし、白14で黒15のところに切るのは無理なんでしょうか?それとも得にならないのかな?解説が欲しいところです。
それにしても黒3から5のかみ取り、白20に対する黒21のカカエは大きいところとはいえ、いかにも羽根碁聖らしい着実な歩みと思いました。白は22と厚みを囲いにいきました。

ここで黒はどこに打つのか難しいんじゃないかと思いました。実戦は黒1,3,5と上辺を止めに行きました。右辺の白への寄り付きと白模様の制限が羽根碁聖の意図でしょうか?難しいです。

山城九段は白2と一着入れました。なんだか勝ちました宣言みたいな手です。それとも一着入れておかないと打ちきれないとみましたか?羽根碁聖は黒17と右辺に脅しをかけていきます。

白は3と凄い頑張り。右辺の2眼は無くなりますが頭を出して凌ごうということですね。

コウ争いの末、白は19と妥協。現在は外との連絡があり生きていますが、周りに黒石がくればもちろんT13の4目中手で白死です。ちなみに白5でT11に1子抜いても結局コウになることをお確かめください。
(白3=T13、黒6=S13、白9=T13、黒12=S13、白15=T13)

羽根碁聖は右辺の白を殺す手を睨みながら、中央への鋭い手を狙っています。

黒1から3。これぞ筋という感じで、綺麗に技が決まりました。

一生懸命囲った白地が容赦なく突き破られました。黒10ではG8に出て行く手がありますが、得しないということかもしれません。

黒6で山城九段の投了となりました。

いやあ、これは黒の完勝といってよいのではないでしょうか。
羽根碁聖が思う存分打ちまわした印象です。
地を取って、着実な歩み、さらにそれらに加えて厚い。
厚い地なんですよね~。
だからこそ右辺の白への攻め、中央白模様の突破に繋がったんだと思います。
羽根碁聖にはこのまま棋聖挑戦までいって欲しいですね。
それでは今日はこの辺で。