しゅう太郎の囲碁ブログ

主に自戦譜やプロの棋譜について思うがままにコメントするブログです

羽根直樹碁聖、第38期天元戦本戦進出決定!

2011年10月29日 13時57分01秒 | プロの棋譜

既報の通り、名人戦は山下本因坊が4勝2敗で勝利。

名人本因坊は史上7人目。

これで四天王で名人本因坊になっていないのは羽根碁聖だけとなりました。

今期は羽根碁聖にも名人本因坊になるチャンスは十分あったのですが・・・・。

まあ来期以降の楽しみとしておきましょう。

 

 

さて今日は先日行われた第38期天元戦予選A 羽根直樹碁聖 対 後藤俊午九段戦を振り返りたいと思います。

 

黒番:羽根直樹碁聖

白番:後藤俊午九段

 

結果:155手まで黒番羽根直樹碁聖の中押し勝ち

 

 

 

 

羽根碁聖は白が2連星の時はほぼ間違いなく右上をしまるのですが、小目の時はかかることが多いようです。

 

 

 

左下はすっかりおなじみとなった型。自分はいまだに違和感があるのですが^^;

その中でも白9のコスミは比較的珍しいのではないでしょうか。

 

 

以下は石の競り合いです。

ある意味、碁の基本中の基本ともいえることでしょうね。

初学者の方には特に勉強になると思います。

 

 

黒も白も非常にしっかりと、流れるように打っている印象を受けます。

ただ個人的には、白を攻めながら中央の黒模様をまとめている黒を持ちたいです。

 

 

白は大石をしっかり治まりましたが、その間に黒に他の場所を打たれ、少し遅れてしまった感じがします。

 

 

ここは周りの黒が堅いので、P9に切る一手だと思いました。ところが・・・・

 

 

まさかの黒1の下ハネ。ちょっとよくわからないです。右上の黒に味が悪いところがあったのか、下ハネで安全に勝てると見たのか。

 

 

確かに前譜から黒は丁寧に受けている印象は受けます。羽根碁聖は優勢を意識していたのかもしれません。

 

 

黒1とちょっかいをかけましたが、全く争いを起こす気はないようです。

 

 

以下淡々とヨセていましたが、右上でとんでもないコウが発生。

 

白5と継げば、白の生死をかけたコウになりました。

ただこれは後藤九段も織り込み済みで、投げ場を求めたのかもしれません。

コウに関わらず、形勢は黒がはっきり良いようです。

白1(O4)黒4(N4)白7(O4)

 

 

羽根碁聖にとって天元戦は獲得3期と相性の良い棋戦です。

タイトル目指して頑張ってほしいですね。

 

それでは今日はこの辺で。


今月の月刊碁ワールドは絶対に買うべし!

2011年10月25日 18時49分27秒 | プロの棋譜

 

まず先日の天元戦第1局ですが、井山名人の白番中押し勝ち。

黒模様の中で見事なシノギをみせてくれました。

 

さて今月の碁ワールドですが、羽根碁聖特集といった感じでした。

新渡戸稲造を若くしたような凛々しい写真に始まり、インタビュー記事、そして碁聖戦最終局

の自戦解説と羽根ファンには大満足の内容でした。

 

特に自戦解説は非常に勉強になりますし、解説者とは違う考え方をしていることもわかって

面白かったです。

左上の定石でアテに対してつがずに抜いた理由にはなるほどと思いました。

 

あとは羽根碁聖のインタビュー記事で、「一応終局した時点では自分の中でその碁は消化してしまっている。」

「(負けて悔しくて眠らないということは)ないですね。」といったやりとりには、これが崖っぷちの強さなのかと感

心しました。

 

 

これ以上のことは是非今月の月刊碁ワールドを買って、お確かめください^^

 

それでは今日はこの辺で。

 


第59期王座戦5番勝負第1局

2011年10月20日 21時55分13秒 | プロの棋譜

待ちに待った第59期王座戦が今日から始まりました。

羽根碁聖と張栩王座の番碁は初。

これまでの対戦成績は羽根碁聖の13勝12敗と拮抗しています。

ただしここ最近は羽根碁聖が3連敗中です。

 

それでは対局を振り返ってみたいと思います。

 

黒番:羽根直樹碁聖

白番:張栩王座・棋聖

結果:264手まで白番張栩王座の3目半勝ち

 

 

 

 

 

黒17までは昔からたくさん打たれてきた布石。将棋の場合は途中まで同じ前例を辿ることが多く、どこで前例と別れるか、なんてことがよく注目されます。

囲碁は同じ前例を辿ることは非常に少なく、すぐに見たことのない局面が出現します。ここでD14と受ける手は左辺がスソアキでちょっと打ちにくいですね。どこに打つのかなあと思いましたが、張王座にまさかの手が飛び出しました。

 

 

なんと白1下がりから白3,5と1線のハネツギ!羽根碁聖なら必ずL3に打ち込むと思いましたが、上から黒6と利かしました。左下が懐かしい定石。この白15の2間トビが油断ならない手で、

 

 

黒が受けないと実践のように白4コスミが強烈な狙いとなります。まあこれはプロなら誰でもわかっていることであり、当然羽根碁聖も織り込み済みです。

張王座は左辺は何もせず黙って白32のツギ。どうやら形勢に自信があるようです。

 

 

羽根碁聖は囲いあいを拒否、黒2と荒らしあいを選択しました。解説では白33のオキが厳しいとのことでしたが、

 

以下黒24までぴったり黒の1手勝ち。勝負はヨセ勝負へ。

 

以下のようにぴったり黒勝ちですね^^

 

 

どうもここらへんでは白のほうが形勢が良いようです。ただ黒13では普通にJ6ツギならまだまだわからなかったようです。

 

以下は小ヨセ。

 

黒は右辺で勝負手気味のコウを仕掛けますが、逆に少し損をしたのではないかとの解説でした。

 

その後上辺でもコウ争いが起きましたが大勢には影響せず。白の3目半勝ちとなりました。

 

昔ながらの布石に昔ながらの定石、戦いも無い数え碁。

見ていてなんだか懐かしい気分になりました。

 

 

というわけで、我らが羽根碁聖は黒星スタートです。

追い込まれれば追い込まれるほど真価を発揮する羽根碁聖。

まだまだわかりません。

ぜひもう1つタイトルを取って欲しいですね。

 

それでは今日はこの辺で。


第52期王冠戦、挑戦者は羽根直樹碁聖に決定!

2011年10月15日 19時05分52秒 | プロの棋譜

 

名人戦第5局は井山名人の勝ち。

相変わらずの山下本因坊らしい強烈な攻めが炸裂したかと思いましたが、井山名人が見事なシノギを見せてくれました。

山下本因坊は全力で取りにいってしのがれて負けというパターンが少なからずありますね。

 

 

さて、じつは名人戦第5局の最中に(私が)大注目の対局がひっそりと行われていました。

第52期王冠戦挑戦者決定戦です。(王冠戦は中部総本部所属の棋士のみで行われる地方戦です。)

残念ながら棋譜はありませんが、羽根碁聖が難敵・小県九段を下し、挑戦者に決まったとのことです。

挑戦手合いの相手は山城王冠。

山城王冠は羽根碁聖が登場するまでは長らく中部総本部のトップでした。

7大タイトルは獲得こそないですが、6回も挑戦があります。

そして王冠獲得数は15!王冠戦挑戦手合い登場回数は25!

まさに「ミスター王冠」ですね。

羽根碁聖は最近山城王冠に負けることが多いです。

頑張ってほしいですね。

 

 

それでは今日はこの辺で。

 

 


第67期本因坊戦リーグ開幕

2011年10月09日 22時38分01秒 | プロの棋譜

先の名人戦第4局は山下本因坊の勝ちで名人奪取に王手。

両者普段と逆のような打ち回しでした。

焦点がはっきりしていてわかりやすく、面白かったです。

井山名人はどうも噛み合っていない感じがしますね。

 

さて第67期本因坊リーグが開幕しました。

リーグ参加棋士は羽根直樹碁聖(35)、井山裕太名人(22)、張栩棋聖(31)、瀬戸大樹七段(27)、結城聡天元(39)、高尾紳路九段(34)、河野臨九段(30)、黄翊祖八段(24)の8名です。

今期も前期に勝るとも劣らない棋士が揃いましたね。

以下開幕戦の結果です。

 

(左が勝ち、△は先番)

河野九段 2目半 △張棋聖

(1勝)     (1敗)

結城天元 中押し △羽根碁聖

(1勝)     (1敗)

 

うーん、羽根碁聖はいきなり負けてしまいました。

どうも昔から結城天元は苦手にしてるんですよね・・・。

羽根碁聖は井山名人や張棋聖のような才気煥発タイプには強いですが、山下本因坊や結城天元のようなパワータイプには弱いような気がします。

しかしまだ1敗!

まだまだこれからの頑張り次第ですね。

 

それでは今日はこの辺で。


信じられない、羽根碁聖、歴史に残る大ポカか?棋聖リーグ羽根・山下戦

2011年10月02日 16時11分18秒 | プロの棋譜

棋聖戦Aリーグは崖っぷちからの大逆転で井山名人が優勝。

高尾9段と挑戦者決定戦を争うこととなりました。

羽根碁聖は勝てばAリーグ優勝でしたが、苦手の山下本因坊に中押し負け。

今期はことごとく急所で山下本因坊に負かされてしまいました・・・。

ところで問題なのがこの羽根ー山下戦。

何が問題かと言うと、最後の攻め合いのところはどう考えても羽根碁聖の勝ちだと思うのです。

詳細は週刊碁なり碁ワールドなり見てみないとわかりませんが、ちょっと不可解なところがありました。

 

そこを含めて振り返ってみたいと思います。

 

黒番:羽根直樹碁聖

白番:山下敬吾本因坊

結果:172手まで山下敬吾本因坊の白番中押し勝ち

 

 

最初は平易な序盤で始まりましたが、白16の打ち込みから競り合いに。

 

黒9まで上辺は一段落。白10の打ち込みから黒はゴリゴリと決めました。白20に対して受けるのは利かされということなのでしょうね。黒26はQ2スベリくらいでは甘いとみましたか。

 

黒は右下隅にはいって地を稼いだので当然下辺の黒石は攻めを食らいます。

白41で、、、

 

出切りは無理ですね^^

 

黒26とドカンと打ち込み。K6の黒石の動き出しを睨んだ手ですね。

 

白10と手堅く中央の黒石を取り込んだのは計算ができていたのか、白が無理と判断したのか。

しかしその後の左辺の白石を取られたのは誤算としか考えられません。ここが取られて何事もなければ終了です。

左辺の攻め合いですが、、、

 

黒3=A10 黒7=B10

以下は1例ですが、白2と打ってもA10にさえ打てばどう打っても黒の1手勝ちなのです!

 

山下本因坊は下辺からの大石への攻めに全てを託します。

以下のようになり黒投了となりました。

 

しかし!

 

これはどう考えてもおかしい!

 

問題は黒21の放り込みです。

 

ここは黒1と抜く1手でしょう!

ここで白はQ7から白1子を取られる手を防がないといけません。

例えば白2と押さえると、やはりQ7割り込みから追い落としがあるので黒5までが先手で利き、右辺の黒ははっきり生きです。

これが実戦との大きな違いなんです。

 

白2には当然黒3です。実戦は黒3でなく黒S9に打って白はR8につなぎ、それから黒がT16に放り込んだのと同じ理屈になっています。

*訂正(10月2日20時30分) 黒3ではQ7から取ってしまう手がありますね。失礼しました。

 

白はどう打っても右辺の黒は生きるので、みやすくするため白2と防いだとしましょう。

そこで実戦のように黒3に放り込みしろ4つなぎに黒5とつぐ。

これで果たして攻めあいはどうなるかということですが、、、

 

以下1例ですが、白6とアテコミを防ぎつつ手数を伸ばしても、どう打っても黒が手勝ちとなります。

 

 

 

 

上述の例は黒の攻めあい2手勝ちです。

詳細は解説待ちですが、2手勝ちを覆すにはよっぽどの妙手が発見されないと無理としたものでしょう。

これは羽根碁聖、痛恨のミスだったのではないでしょうか?

ミスだとしたら残念無念です・・・。

残るは王座戦のみになってしまいましたが、考えてみれば張栩棋聖も井山名人も2冠。

現在の囲碁界は群雄割拠で、どんなに頑張ろうと調子が良かろうと、2冠くらいが限度ともいえます。

羽根碁聖は王座戦に集中して頑張ってほしいですね。

 

それでは今日はこの辺で。