しゅう太郎の囲碁ブログ

主に自戦譜やプロの棋譜について思うがままにコメントするブログです

第37期名人戦第2局

2012年09月22日 15時05分29秒 | プロの棋譜

 

黒番:山下敬吾 名人

白番:羽根直樹 九段

 

結果:184手まで白番羽根直樹九段の中押し勝ち

 

 

 

 

それでは初手から振り返ってみたいと思います。

黒番の山下名人は得意の中国流を回避。

白4までありそうであまり見かけない布石となりました。

 

山下名人が高ガカリではなく、普通の1間ガカリを打つのは珍しいですね~。

 

黒4までお互い好きなように打ってます。

江戸時代の碁のようですね。

 

羽根九段は白1コスミツケから白3ケイマとかけて隅を地にしつつ黒石を攻めます。

黒4のカタツキは常用の形。

白は2本押してから白9と左辺を守りました。

白9で、

 

例えば白1と中央に打つと、黒2ツケコシから動かれるのが意外に厳しい。

 

黒1マガリは当然。

白2のカカリに受ければ穏やかですが、黒は3と打ち込んできました。

私も山下名人なら必ず打ち込むと思いました^^

しかし!

ここから白が見事な打ち回しを見せます。

 

この局面が本局のハイライトその1です。

白1のケイマカケは控え室や幽玄の間の解説でも予想されていなかったそうです。

黒のデギリを誘い、白11と飛び出しては白良し。

ここでは幽玄の間の解説・局後の山下名人のコメント、共に白良しとのことでした。

 

黒1からアテて黒5と手を戻します。

黒5を省くとP14のコスミで逃げ出すのがやっかいです。

 

白1、3と決め白好調。

しかしここから白がやりすぎてしまいます。

 

白1、5と動き出しましたが黒8が好手。

これで白から厳しい手は無いようです。

 

さかのぼって前図の白1では以下のようにケイマにすべっておくのが良かったようです。

ここは地も大きいし相手の根拠を奪うという意味でも非常に大きいところですね。

 

羽根九段は気を取り直して白1と左上に転戦。

黒8まで定石どおりに進みました。

白9では左辺に開くのもあるとの解説がありましたが、私なんかは左下の白は固いし、右上の白石の援軍にもなるんで、実戦のほうが自然と思いました。

 

黒7まで1日目が終了。

ここまでの形勢は前述の白の好手と悪手が相殺して良い勝負のようです。

 

2日目。

封じ手は白1でした。

私の予想のE12カタツギは見事に外れました^^;

 

白は左辺を2段バネから先手で切り上げ、大きな白8に回りました。

E12のキリは軽くみるようです。

対局後、山下名人から「E12のキリを強調しすぎたかもしれない」という趣旨の発言がありました。

 

黒1とカケ白2と受けさせて黒3ヒラキはこう打つところみたいで、幽玄の間の解説ではピタリと当てていました。うーん、勉強になります。

 

本局のハイライトその2。

白1が黒石の眼形を奪う厳しい一着。

良い手かどうかはわかりませんが、今期の名人戦が始まる前に「パワー勝負」を宣言した羽根九段の意気込みが感じられました!

 

白2に対して黒3と受けたのが疑問のようで、白4と開ければ白不満無しとの解説でした。

 

隅を受けずに黒1と上から詰めて仮に黒11までとなれば黒まあまあとの評。

ただ、これでも私はそんなに白が悪いようには見えませんが・・・・・。

 

どうも山下名人はまずしっかりと隅の黒を活き、その後強く戦う方針のようです。

ただ黒1から黒5までの活き方は俗筋で、解説でも辛い活き方とのことでした。

白は6とカケ、形を決めにいきます。

 

この手は下図のようになるのを理想としています。

江戸時代の碁ではこの形は頻繁に見られますね。

 

山下名人は黒1と反発。

羽根九段もならばと白2で最強に応じます。

白6まで黒は白を分断しました。

 

本局のハイライトその3。

黒5ブツカリでP5の出を強調した時に構わず白6と切ったのが決め手となりました。

 

黒は1,3と突き抜くことはできましたが、白も4まで手厚く中央に進出することが出来ました。

羽根九段はこの白4のノビで手応えを感じたそうです。

 

黒3のハサミには白4ツケからあっさりと対応。

この黒3ハサミあたりで、黒から何かうまい手は無かったんですかねえ?

 

白8と抜いて、羽根九段は勝ちを意識したそうです。

(黒3=L2)

 

形勢の悪い黒は3と切って最後の勝負にかけます。

 

前図の黒11で例えば黒1と中央に打つと、以下のようにコウになってしまいます。

 

白1を決めて白3子は直接動かず白3と消しにいきました。

ただ局後の羽根九段のコメントが謎です。

「地合いは良いと思っていたので深く白3までいった」

それは普通逆でしょう^^

地合いが良いなら浅く消しにいくもんだと思います^^;

 

黒1に受けずに白2は地にカライ打ち方。黒5にはB5オサエで活きらしいですが、かなり形勢に差がついているようで羽根九段は安全運転の白6。

 

黒は17と飛び込みますが・・・・

(白12=C9)

 

白は13まではっきり活き。

コウにする手段はあるのですが、黒の損も大きくなり白は脱出路もあるので黒はコウにはできないようです。

(白3=O19)

 

黒は9から11と白を切断しにいきますが、白12でどう打っても白石は捕まらず、黒の投了となりました。

(黒1=L11)

 

 

羽根九段マニアの私から言わせてもらうと、羽根九段の碁でこれだけ順風満帆な進行は珍しいです^^

この碁は山下名人の応手も素晴らしく、羽根九段にとって会心の1局と言えるのではないでしょうか?(名局は相手も良い手を打ってくれないとダメなので。)

残り時間に関しても羽根九段が24分も残すなんて聞いたことが無いです^^;

聞いたことが無いといえば、1日目の羽根九段の昼食です。

トンカツを卵とホウレン草、タマネギでとじた豚かつとじ陶板、御飯、イカの塩辛、冷たい蕎麦、漬け物、オレンジやブドウなどのフルーツに熱いストレートの紅茶!!?

毎回蕎麦しかすすってないあの羽根九段に一体何があったのでしょうか^^

 

第3局は9月27(木)、28(金)日に宮崎市のシーガイアで行われます。

 

 

それでは今日はこの辺で。

 


最新の画像もっと見る