昨日の碁聖戦を見て思い出した碁があります。
それは去年の第59期王座戦2回戦、趙治勲25世本因坊との碁です。
黒番の趙治勲25世本因坊が3連星、対する羽根碁聖は早々に2つ33入りし、黒に好きなだけ模様を張らせます。
そして広大な黒模様の中にドカン!!!!!
私は羽根碁聖の数あるシノギの碁の中でもこの碁は最高傑作だと思っています。
それでは振り返ってみたいと思います。
黒番:趙治勲25世本因坊
白番:羽根直樹碁聖
結果:178手まで白番羽根直樹碁聖の中押し勝ち
趙治勲25世本因坊の3連星はなかなか見ないですね。それだけでも貴重な棋譜かもしれません^^
羽根碁聖、いきなり魅せてくれます。1間バサミに対して堂々と33入り定石2連発!
アマチュアはなかなかこうは打てないんですよねえ・・・。
白5はさすがですね。D7のカタツキを嫌ったのでしょうが、黒10まで囲わせてしまう度胸には惚れ惚れします。
この碁のハイライトです。1手のみ。
この1手だけに1つの図を使う価値はあるでしょう。
羽根碁聖による「3連星退治」の始まりです。
アッ!という間にシノギ形になってしまいました。もはや神技としか言いようがありません。
趙治勲25世本因坊もこれ以上打ちようが無く、左上隅に回りました。
ちなみに白は黒1からのハネダシが怖いのですが、以下のようにしのいでいます。
これは隅の定型ですね。
白は右上隅の大きなハネツギに回りました。
非常に落ち着いています。
白は14まで完全に生き、黒は15の大きなツギに回りました。
さあここで白はどこに打つのでしょうか?
(白4=K11)
本局のハイライト第2弾です。
なんと羽根碁聖は白1と堂々と動いてきました!
黒は必死に抵抗しますが白21まで白は無事に中央の石とつながることができました。
上図の黒20でL6のところに継ぐ変化を2つほど考えてみました。
その1です。
これは白の先手セキ。
その2です。
白は尻尾の3子を捨てて下辺で生きました。
その1もその2も白十分ですね。
まだ変化はあるかもしれません。
本譜に戻ります。
趙治勲25世本因坊は必死に食い下がります。
黒が左辺に19と飛び込んだ場面。
白の応手はいかに?
白はあっさり黒2のツナギを許し、黒に左辺を突破させました。
先手を取って白13のスベリに回ってはっきり白勝ちのようです。
明るいですね。
白22までのシノギは当然織り込み済みです。
このシノギはアマレベルでも十分可能だと思います^^
黒7は投げ場を求めたのでしょう。
白10を見て趙治勲25世本因坊が投了しました。
投了図以下の参考図その1です。
これは黒2子が取られ。
参考図その2。
これもどこかの黒石が取られます。
羽根ファンの私はこれまで多くの羽根碁聖の碁を見てきましたが、この碁はシノギの碁の中では一番の名局だと思います。
昨日のシノギの碁を見て、この碁をすぐに思い出しました。
結果は伴いませんでしたが、昨日の碁はまさに「羽根直樹の碁」だったと思います。
羽根碁聖は名人リーグも6勝1敗とあと1歩のところまで来ています。
碁聖戦と合わせて何とか踏ん張って欲しいですね。
それでは今日はこの辺で。