原因は職場の人間関係。ちょっと鬱気味になっていた。
そんな気持ちの中で起きた昨日の「スイカ頭の目撃」(失礼…)は、バイオリズムの曲線のどん底から、一気に頂点まで私を引き上げてくれた。
くだらない事で気持ちが爆上がり。どんだけ単細胞なのかと我ながら思うけれど、これも自分の利点ではあると思う。
今日は火曜日で仕事はオフ。「土曜日ジョグ」の代替日。雲は多めのやや蒸した朝。午前8時に家を出た。
豊平川河川敷に降りると気温は若干下がる。川風が心地良い。何となく野生の動物が出てきそうな予感がした。
走り始める前に、先ず周囲を入念に見渡す。黒い生き物がいないかどうか確認。まだまだ熊の目撃情報が頻繁だ。
この日は登校途中と思われる学生達の自転車が時折通過し、ウォーキングの中高年と思われるカップルもいた。
豊平川の護岸工事は相変わらず続いていて、朝から重機が大きな音を立てて稼働していた。
こんな状況なら熊も出て来れまい、と少し安心して走り始めた。
折り返し地点の藻岩橋を目前にした時、「ミー」とも羊のような「メエー」ともつかない声が右手の方から聞こえた。声のする方を見ると、なんと子鹿!かなり幼い。
周囲を見回しても親らしき鹿の姿が無い。
と言うことは…すぐに頭にひらめいたのは「親鹿は子鹿を守って熊に殺られた!」と言う事。更に、もしかしたら熊が近くに居るかも知れない…。緊張が走る。
とはいえ、先ず写真取ろう。
こんな時要領の悪い私のこと。スマホを取り出したのはいいが、慌てていて指紋認証がなかなか得られない。カメラのアプリを開くのにモタモタしているうちに、自転車がやって来て驚いた子鹿が鳴きながら真駒内方向へ走って行ってしまった。

走り去る子鹿をやっと捉えた1枚。
親を失った子鹿の運命は、これからどうなるのだろうか。
そんな事を考えながら藻岩橋から折り返し、今来た道を逆に走り始めると、今度は大きな鹿が走ってきた。
子鹿の母親だと直ぐにわかった。その表情には、血相を変えて子鹿を探している感じがありありと見て取れた。

子鹿を探す母鹿。
熊に襲われてはいなかった。はぐれただけだったのだ。
親鹿は子鹿と同じ様な声で鳴きながら探し続けていた。果たして子鹿と巡り合うことは出来るのか。
固唾をのんで見守っていると、ほどなくして親子は藻岩橋を少し過ぎた所で駆け寄りあった。
こんな時、人間なら抱き合うのだろうけど、子鹿がハグの変わりにしたのは、お母さんのおっぱいを乱暴に突っつく事だった。

再会の瞬間。母鹿は私の事を少し警戒してこちらを見ている。

鹿の親子の再会に立ち会えて、心底ホッとした。

やがて2頭は真駒内方面へゆっくりと歩いて行った。
藻岩橋の上から「鹿いるじゃん!ガハハハ」と登校途中の女子生徒の元気な笑い声が聞こえた。
なんてピースフルな朝なんだ。
朝から感動の再会のドラマを、ハッピーエンドで目撃出来た喜び。今日走って良かったなあ。
私のバイオリズムの曲線の頂上は、さらに上へと跳ね上がったのだった。