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ポジティブな私 ポジ人

100均ジェルクリーナーの顛末

久々に息子が帰ってきた。
家族が一人増え、日頃静かな日常に活気が出る。

息子は借りたパソコンをきれいにして返却するために、100円ショップでジェルクリーナーを買ってきたと夫と話していた。
台所で作業していた私は、離れた所からその話を聞いていた。
どんなものかとカウンターキッチンから覗いてみると、ちょうど息子がアルミ様の袋を破り、中身を取り出しているところだった。

見たところ、ジェルと言うにはあまりにも水っぽい物体が出てきた。息子の手にへばり付き糸を引いている。
あのまま使用したら、キーボードのゴミが取れるどころか、水状のジェルが溝に埋まって故障しそうな様相だ。

「何これ!」扱いきれずに息子が叫ぶ。
明らかに水分過多。袋から出したまま数日置き、少し水分が抜ければ使えそうだと思われるが、息子は今日使いたかったのだと言う。

「どれどれ」と興味津々で私が触ってみる。ゲル状の物体は私の好物だ。

子供の頃、まだスライムという名前も無かった時代。新しもの好きの父は面白いゲル状のおもちゃを買ってきた。
スターバックスのグランデサイズ位のカップに入っていて、中身は「粉」状だった。
確か、粉をカップに入れ熱湯を注いで混ぜ、ある程度混ざったら、蓋をして父は上下にシェイクしていた。
蓋を開けてみると、そこには鮮やかなピンク色のゲル状の物体が出来上がっていた。
それは現在のスライムよりも不透明で、丈夫だった。
ヒモ状に長く伸ばして、よく縄跳びをして遊んだ。
そんな遊び方だから、やがて絨毯のゴミが混ざってしまったりした。
しばらくカップにしまい込み、久しぶりに開けてみたら、ものすごい悪臭がして、直ちに捨てた。そんな思い出がある。

息子の100均のジェルクリーナーはゲルじゃなくてゾルだった。手にまとわり付いてはがすのに一苦労した。

息子が口コミを調べてみると、この商品の評価は「使い物にならない」というものと「すぐれもの」という相反するものがあった。
どちらの評価もありうると思った。

ジェルクリーナーは袋を見るとメイド・イン・チャイナ。
成分はグァーガム、水、グリセリンの3つ。

混合の割合は決まっていると思うが、均等な品質の製品を作るには、季節によって水分などの微調整が必要なはず。乾燥している時と、湿度の高い時とでは、同じ水分だと製品の品質に差が出ると思う。

そういうことを考えると、今回のこの商品については、製造過程での製品チェックをちゃんとしていたのか疑問だ。
中国の工場長、製品をちゃんとチェックしたのか。
製品を中国から輸入した会社。製品の抜き打ちチェックしたのか。
100円ショップは自分の店で売っている商品の評判をチェックしているのか。

家族で何やかやと、広大な話に発展していった。

夫が、1つの不良品が、真面目に良い商品を売っている他社の100円ショップの評判にまで影響してしまう、と憤慨気味。

それを受けて、そもそも人は100円ショップにあまり期待していないのではないかと私。

過去に私も、100均で買った粗悪品に腹立たしい思いをしたことがある。
それ以来、100均の商品は「まあその程度のもの」と期待せずに購入している。
粗悪品に当たったとしても、金額的には税込み110円と安いので、大した損害ではないと皆考えるのではないだろうか。

息子は使い物にならないジェルクリーナーを捨てると言い出した。

私は水分過多が原因なら、改善は出来ると確信していた。

110円で息子が購入した商品。
この110円は息子の血と汗と涙の結晶の110円。価値ある110円なのだ。

私がこのジェルクリーナーを良い子にして見せる。
息子のためなら頑張れる私。

ジェルの水分を早く抜くべく思案する。
季節的にあまり乾燥していないが、パンをこねる要領で試してみる。
ジェルを内側にこねる事で、内部をどんどん外側へ送り出し、外気に触れさせることで早く水分を排除しようという試み。

ジェルをこねる。
息子のために。
ジェルのために。

こねているうち、本来の目的を忘れ、その感触の楽しさにハマる。
元々パンをこねるのが大好き。いやー、飽きない。楽しい。こんな仕事があったら、一日中でもやれそう。やっぱり私の前世はイギリスのパン屋だったのじゃなないかなあ。

みんなで何だかんだと話しながら作業を繰り返しているうちに、ゾルはジェルクリーナーらしく変化してきた。
「見てみて、だいぶ良くなってきたよ」息子に見せると、家のリモコンで試して見るように促された。

リモコンのプッシュボタンの汚れが落ちるか試してみた。すると、ジェルがホコリを吸着し、気持ちの良いぐらい長年たまっていたホコリが取れた。

きれいになったリモコンを見て、息子いわく「110円のうち30円分位は元取ったかな」と。

試技で有効となったジェルクリーナー。さらに本来のパソコンのキーボードを私の手に張り付いたままの状態で、試してみると、ちゃんと機能した。
かくしてダメダメのジェルクリーナーは、しっかり仕事をこなす立派なジェルクリーナーに変貌を遂げた。
110円分、元取りました。

こうしてポジ人の鍛練によって更生したジェルクリーナー。
今はアルミ袋の中へ納まり、次の出番を待っている。





コメント一覧

ポジ人
@donmac-life 嬉しいお言葉ありがとうございます。
ネガ人の部分もあるんですけどね。
でも、子供達が関わっている事となると、何でもはりきっちゃいます。
donmac-life
ボジ人さん、いつも好奇心、向上心いっぱいで正にポジ人だと思います。
オジサンは100円だから、ま、良いかってポイしちゃうかも。
見習います。😅
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