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ポジティブな私 ポジ人

おぼろげな映画の記憶を

子供の頃楽しみにしていたのは、日曜日ごとの父とのお出かけだった。

父は私を、デパートの屋上の遊園地へ連れて行き、遊具で遊ばせてくれた。
その後は、デパートのレストランで食事をするのがお決まりのコースだった。そしてシメのデザートはいつも、金属製のスタンドに立てられたソフトクリームだった。


時には、父と映画を観ることもあった。

5歳くらいの記憶なので、定かでは無いが、釧路のデパートには名画座の様な旧作を上映する映画館もあった様な気がする。

幾度かその映画館で父と映画を見た。
作品のチョイスは父だったので、父が観たかった映画だったのだろう。

ある時は、目の大きさが左右で違う恐ろしい怪人が、ストレッチャーに死体を載せて運ぶシーンが印象に強く残った恐怖映画。ストーリーは良く覚えていないが、恐ろしい映像だけが後々まで残った。

またある時は、日本の古い時代の宮廷を舞台にした、人と狐の恋物語。
私はませていたのだろうか?男女が互いに心を寄せている事は、よく理解出来ていた。

あの作品は何だったのだろうと調べてみたところ、それらしい映画があった。
美空ひばりの「恋すがた狐御殿」
原作は北条秀司の原作「狐と笛吹」だとある。
あらすじを読んでみると、「妻に死なれた男が、妻によく似た女性に出会い、心を寄せるが、その女性はかつて男に救われた子狐であり、夫婦の契りを結ぶと狐は死ぬ運命にある…。」
切ないストーリーだ。

私は映画を見ながら美しい恋物語だと思っていたが、大人のストーリーゆえ、父が何度か私の視界を遮ったかも知れない。
美空ひばり主演なので、歌や踊りで構成されていたと思う。私はきっと楽しんでいたに違いない。

1956年公開とあるので、名画座で見た時期としては、数年後という事になるので、恐らくこれに違いないだろう。

また、その頃に観た映画の中で最も忘れられないのは、原始時代の映画だった。
原始人が主役ゆえ、セリフらしいセリフも無く、映像さえ見ていればストーリーを追えるものだった。

子供向けの映画では無かったけれど、原始時代、原始人、恐竜という初めて目にする時代、生活、生物にかなり衝撃を受けた。
中でも、生きた恐竜が出てきた時は、一瞬驚いた。よく見るとトカゲだったりしたが、なかなかに迫力があった。
そんなこともあって特に記憶に残った作品だった。

当初は題名を何となく覚えていたのだが、後に公開された「恐竜100万年」と記憶が混同してしまい、これまで勘違いしていた。

上映時期を調べて見たところ、時代が合わないので、確認してみたところ、父と一緒に観たのは「紀元前百万年」だった事がわかった。

ウィキペディアによると、「紀元前百万年」はビクター・マチュア主演で日本公開が1951年。
ラクエル・ウェルチ出演の「恐竜100万年」はリメイク版で、日本公開が1967年とあった。

You Tubeに「紀元前百万年」があったので、確認の為観てみた。
今から70年前の作品だが、当時の技術であれだけの映像を作れるのは、さすがハリウッド!白黒作品だが、昭和の人間には十分楽しめる。

ワニにステゴザウルス風の背ビレをつけた“恐竜”や、実物の象に長毛を貼り付けた“マンモス”など、手作り感満載の古代生物が出て来て楽しい。
また、ストーリー的には異なる種類の部族が出会う事で、人類の発展を彷彿とさせるもので、秩序の無い食物を奪い合う部族と、分け合う部族という文化の対比が子供の私にもわかりやすかった。

何十年もの時を経て、子供の時に観た映画を、手元の小さなスマホで確認出来るこの時代!

情報過多でストレスになる時代でもある。「昔は良かった」と懐古する人もいるけれど、危うくなりつつある自分の記憶を、検索することで鮮やかに思い出させてくれ、記憶を正してくれるこの小さな精密機械。

若者には当たり前のこの機器が、昭和生まれの私にとっては、少年誌に描かれた未来の機器の実現であり、それを享受出来る喜びと幸せを、ヒシヒシと感じている。


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