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ポジティブな私 ポジ人

ともだち

中学1年生の時、何故かほぼ同時期に仲良くなったクラスメートが二人いた。

一人は「Kさん」。当時は気付かなかったけれど、もしかしたらハーフかクォーターだったのかも知れない。肌が日本人にしては少し浅黒く、いつもポニーテールにしていたけれど、髪の毛は少し縮れていた。顔立ちもほりが深く目がパッチリとした美人だった。いつも陽気で、明るく楽しい人だった。

もう一人は「Sさん」。いつも髪を地味に2つに分けてしばっていた。顎が少ししゃくれていたけれど、かわいい顔をしていた。
陰気というほどではないけれど、おとなしめで、ややシニカルな所が私の興味を引いた。

二人共身長は私より大きかった。Kさんは肉付きの良いタイプ、Sさんは痩せ型だった。
今振り返ると、二人は性格も体型も対象的だった。

最初に仲良くなったKさんの家に行ったことがある。二人で宿題か何かをしたのだったと思う。
彼女のお母さんはその時家に居て、Kさんはわからないことがあると、直ぐにお母さんに聞いていた。その度に彼女のお母さんは的確な回答をするので、私は“生きた参考書”の様な彼女のお母さんが少し羨ましかった。

私は小学校までなかなかクラスの中で友達が出来づらかった。女子は大抵グループを作りがちだが、私はどのグループにも所属しない“一匹狼”だった。
それが中学生になった途端、いっぺんに二人の友人に恵まれてとても嬉しかったし、彼女たちはかなり個性豊かで、二人共大好きだった。

ところが彼女たち同士は、どちらかというと仲が良くなかったようで、放課後も3人で帰った記憶がない。
二人とそれぞれ仲良くなるに従って、私は二人のはざまで苦しい立場になるようになっていった。まるで、三角関係の様に。

たまにSさんと一緒に行動すると、Kさんから少し嫉妬じみた言葉を聞くようになったりして、困ったなあと思うようになった。

やがて中学2年生を迎えるに当たり、クラス替えがおこなわれ、二人とは別々のクラスになって、友人関係はそこで終わった。

よく「女友達3人は上手くいかない」と言われる。
私は二人の仲をうまく取り持つ事も出来ずに、苦い思い出となってしまった。

そんなことがあって益々怖気づいた私は、その後も積極的に友達を作ろうとしない学生生活を送った。そんな中でも、一人二人くらいは仲良しが出来たけれど。

時代は大きく飛んで、母親になってから子供が幼稚園に通うようになった。
やむを得ずつき合わざるを得なかったいわゆる「ママ友」は、私は苦手だった。
自分が選んだ人でもなければ、私も彼女らに選ばれた人でもない。子供同士が仲の良い「付き添い」に過ぎない。会話も毎回同じ内容が繰り返され、つまらなかった。
ママ友が生涯を通じて友人となる人もいるようだが、私には残念ながら苦痛でしかなかった。
卒園したときには、これでもうママ友たちとの縁が切れると心からホッとした。

子供が小学生になって、PTAの集まりがあった時に、とても気になったお母さんがいた。私の注目を引いたのは、普段着のお母さんたちの装いの中で、すごくお洒落な出で立ちだったからだ。
確か、彼女は真っ白なつばの広い帽子と、真っ白なシンプルなワンピース姿。いや、黒いワンピースだっただろうか。ネックレスも大胆なテザイン でよく似合っていた。
スタイルも良かったし、絵になる様な人だったので、素敵だなあと記憶に残ったのだった。

次にその人と会ったのは、バザーの準備の集まりだったろうか。
バザーのポスターを描かなければいけなかったのだが、その時、彼女はチョコボールのキョロちゃんをポスターに描いたのだが、その出来はプロ並みだった。
絵が上手い人には常に憧れを持つ私は、更に彼女にひかれた。
その時、直接話したわけではなかったが、以前見た白い帽子とワンピースのイメージとは違い、話しやすそうな気さくな人に見えた。
お洒落できれいで絵が上手い人。外見だけで判断したわけではなかったが、彼女への興味は尽きず、私の中で彼女は、お近づきになりたいナンバーワンの人になった。

そこまで思っても、私はお近づきになるための行動を起こせなかった。人との距離を縮めることには非常に慎重だ。それまでの交友関係の中で、こんなはずではなかったという少なからぬ苦い思いが、私を慎重にさせた。

次に彼女に会ったのは、1年生のPTAの親睦会だったと思う。
定刻に会が始まって間もなく、遅刻してやって来たのが、友達になりたいナンバーワンのIさんだった。幸運なことに彼女が座ったのは私の隣の席。
彼女に興味津々だった私は、話題に映画の話を取り上げ、彼女も映画好きと知り、大いに話が盛り上がったのだった。
話をするうちわかったのは、間もなく転居するため、転校するということだった。内心私はがっかりした。
その日会って楽しく会話をし楽しくて、ジェットコースターの様に一気にピークへ向かい、その末に知った転校で、気持は急降下した。

彼女が転居してしまい年が明け、まだ雪も残っていた2月末頃だっただろうか、一通のハガキが届いた。Iさんからだった。
内容は「あなたを先日車の中から見かけ、懐かしく思いました」というものだった。
私はまるで片思いの人から手紙を受け取ったような心境になり、今こそ自分の思いを打ち明けようと、直ぐに彼女に電話をかけた。

運良く彼女は家にいて、突然の私の電話に戸惑っているようだったが、私は彼女に会いたかった。
「もし、都合が良ければこれから会えませんか」と誘った。私達は、その日のうちに駅前の喫茶店で時間の許す限り会って様々な話をしたのだった。

今も、隣町に住むIさんとたまに会う。会うといつも色々なことで刺激をもらう。

流行り病のせいで、数少ない私の友人達に気軽に会えないのが残念だ。

友達との出会いと別れは、何だか恋愛に似ている。






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