拈華微笑 ネンゲ・ミショウ

我が琴線に触れる 森羅万象を
写・文で日記す。

  偶然が必然の国

2022年01月03日 | 観自在

  一昔前だと、日本を象徴するモノは・・・たしか『富士山』だったはずと思って、ネット検索による『皆のランキング』を見ると

  なんとやっぱり『富士山』が第一位!  第二位が『寿司』、第三位『サクラ』・・・であった。(日本人投票者数1981人、2022年1月3日現在) 

  天下の画家、葛飾北斎の波の絵のおかげもあって、日本といえば『富士山』というぐらい、国内外にゆるがない名声を誇っているのが富士山である。

 

  私は道産子なので、富士山というのがそういった日本の象徴であるとは、大人になるまで知らなかった。

  そういえば、『寿司』も『サクラ』もそんなに、北海道にいる間は『縁』がなかった。

  19歳で就職のために本州に渡り、東京経由で神戸に住み着いた時、八王子動物園の見事な『桜』を観たのが最初であった。

  こんなに眩しく、観る者を幸福にせずにはおかない『樹木の存在』に心から感動した思い出がある。

  実物の富士山の方は、新幹線で東京〜神戸行の途中で観たのかどうか、いまは覚えていない。

 

  30歳も過ぎ仏教書を読むようになって、日本の象徴であるは『富士山』は『不二の山』でもある…というような文章に出会った事があったが、

  その当時、そもそも『不二』が何のことか分からず、単なる語呂合わせかと長年放っておいた。

  後にその『不二』というのが、仏法の根源的内容で、『不二』で初めて『縁』が起こると知ってから、

  日本一を象徴する『富士山』が実は、もう一つの日本の象徴『不二』を表す『縁起モノ』であることがわかった。

  『富士=不二』って偶然で、たまたま発音が同じであったのか?或いは誰かが『隠し味』的に配慮した結果で、本来は必然であったのか?・・・

 

  そういった言葉遊びは、私が『悟学』を始めたあたりから、一見『偶然』に観えるモノが実は『必然』であった…という流れには枚挙にいとまがなく

  『オヤジギャグ』と思っていたものが、案外核心を突くキーワードだったりする事に気がつく。

  そういえば、禅僧が好んで書く『円相』を思考すれば

  『諸行が無我』であるとき、人心は全て必然的に円の中心を指向するから当たり前の流れではあるが。

         

              2022年、元日に観えたヨーロッパの『不二山』モンブランを望んで


  チーズフォンデュ話

2022年01月03日 | オレ的アングル

  スイスに住んで約三十年、スイスの名物料理チーズフォンデュの話はそろそろ出てもいい頃か・・・。

  とにかく料理にせよ何にせよ、『スイス』について語るのは簡単なことではない。

  スイスに来てすぐ観光ガイドになって15年間、日本人観光客にスイスを説明するふりをしたけど、正直スイスについて

  何にもわかっていなかった。・・・ことは間違いない。

 

  本来なら九州ぐらいの大きさの国なんだから、国中を走り回って、観光ガイドブックで勉強すればなんとかなりそうな気がするが

  現実のスイスは、ドイツ語、フランス語、イタリア語それにおまけのようなロマンシュ語という聞いたこともない言語を持つ国で

  アルプス山脈やジュラ山脈、それに湖なんかで街々が隔てられていて、忘れていたけどドイツ語は、読むときはドイツ語で話すときは

  スイスドイツ語というドイツ人が聞いてもサッパリわからない言葉である。

 

  30年前にスイスに来た時、私は片言の英語しか出来ない…身分でありながらだいそれたスイス観光ガイド(一重に食うため)を始めたが

  ヨーロッパでたぶん一番ガイドが難しい国に来てしまったのだ。・・・

 

  それはともかく、チーズフォンデュであるが、スイスに初めて来た時、スイス人のにわか恋人がレストランでスイス名物『チーズフォンデュ』を

  振る舞ってくれたが、その、あまりにもシンプルな料理スタイル、溶けたチーズにパンを絡めるだけの料理に私は心底ビックリ。

  だいたいチーズというものを、ほとんど食べたことのない道産子(38年前ぐらいの話ですが)に、ひたすらチーズとパンだけの味というのは・・・。

  いくら何でも2口以上は耐えられず、ギブアップ。 そのせいもあってか恋人関係も解消された。

  その後、相方と結婚してスイスに住むようになり、義理の両親宅へ時々お邪魔した際、義母がチーズフォンデュを振る舞ってくれるようになった。

  それを食べているうちに、少しずつ馴染んでゆき、最後には義父と一緒になって鍋の底のチーズをパンでこそいで食べるようになっていた。

 

  チーズフォンデュは日本でいう『鍋物』にあたる。寒い冬にできるだけ大勢で食べるともっと美味しい料理だ。

  ガイドの時、勉強したがチーズフォンデュは昔農家の人が固くなってしまったチーズをワインで溶かし、それにパンを付けて食べる…

  ところからはじまったらしい。

  だから(?)基本的にチーズフォンデュはアルプスの山岳地方のもので、それが少しずつスイスの都会に進出してきたようだ。

  だから(?)ワイン好きのニコルも若い頃はチーズフォンデュは嫌いで、好きになったのは私と一緒に実家で食べるようになってからだ…という。

 

  日本人の食生活と比較してチーズフォンデュから推測できることは、日本人の味覚に対する『好奇心の強さ』ではないだろうか。

  スイスだけではなく、ヨーロッパ各地で寿司はすっかり定着し、最近はラーメン屋がボチボチあちらこちらで見かけるようになってきた。

  西洋人の『味覚の覚醒』に日本の食文化が確実に影響を及ぼしているのだ。

       

          元旦とは思えない気温14度の快晴のレマン湖であった。