復興への足取りは力強さを増し、以前の生活へ向けて進みだしました。
しかしその動きに反比例するように、福島原発の事態は悪化の一途を辿っています。
皆がこうした状況の中、復興への前向きな気持ちを前面に押し出せず、危機にも向きあわざる負えないジレンマを抱える中、私は妹家族に会うため関西方面に出かけていました。
いつまで滞在するのかを決めかねての出発でしたが、仕事上のタイムリミットはあったのと、政府が避難指示を出さない限りは親が故郷を捨てられないのは分かっていたので、この先どうなるのか分からないならせめて競馬を見てから帰ろうと思い、高松宮記念を見ての帰宅。
結果としては馬バカの私としては最高の選択だったと思います。
ドバイワールドCを日本馬が1・2。
そしてキンサシャノキセキの引退レースをこの目で見れたのですから。
いつもの私ならこの2つの事を別々の記事にして多くを語るでしょう。
しかし今はこの厳しい現状に向き合うために、心のどこかが単純に喜ぶ事に集中させてくれません。
だからいつもは出来ていた自分の中から言葉を搾り出す作業が出来ないでいます。
ただそんな状況下だからこそ、今まで以上に真剣に馬に向き合いたいと思います。
常に撮影する時に心構えとして思っていた一期一会の精神を、これからは常に意識して行動せざるおえない世の中になってきています。
生きていれば何かが出来る。
私にはこれまで出会ってきた数々の名馬と、その出会いに関わってきた人達への恩返しが多分に残されています。
それらを返すまではおいそれと死ねません。
自分が出来る事を積み重ねてそれを貫けば結果として多くの人を勇気付けられる。
それをドバイで、阪神で、小倉で、競馬に関わる人達が見せてくれました。
自分はそんなに大勢の人達への影響を与えられる力はありませんが、まずは周りに元気を与えられれば良いと思います。
そうして皆が頑張っていければ、いつのまにかこの国全体が元気を取り戻していけると信じています。
だから関西圏の競馬ファンには自粛ムードなんてつまらない言葉に踊らされず、今年の競馬は俺たちで支えるくらいの気持ちで楽しんでください。
盛り上げてください。
変に萎縮されたビッグレースなんて却って競馬を駄目にするに決まってます。
騎手や関係者がこんな時に競馬なんてみたいな後ろめたい気持ちをもたないように、皆で声を出してあげてください。
そうして今まで以上の名レースが生まれてくれれば、売り上げだって持ち直すかもしれません。
せっかく以前の暮らしに戻っても、競馬が駄目になってたら本気で心が折れますよ(苦笑)
馬券買いにくくなっても、たとえ東京開催さえなくなっても、私は競馬を応援し続けます。
馬バカの私にとっては、先ずなにはともあれ競馬なんですから。
町で多く見かける被害は、こうした石を組んだつくりの壁が殆ど崩れてしまっているものです。
幸い大きな事故や怪我人が出たという話しは今のところ聞いていませんが、母校の小学校は校舎に大きなダメージを負ったようで、卒業式をどうするのかを決めかねているとの事。
最後に紹介するのは町の様子です。
ご覧の様に遠目には普段と変わらないように見えますが、おそらくどこの家も後片付けに追われていると思います。
しかし仙台などさらに大きな被害を受けた方々の現状を思うと、こうして無事でいられる我が身の幸運に感謝するばかりです。
少しでも被害を受けた方が少なく、また一日も早く同じく被害に遭った人達の普段の日常が帰ってくる事を切に願います。