鈴子の腎臓が25%しか機能していないそうだ。
「猫は具合が悪いのを隠すのでちょっとした変化を見逃さない」
本当だった。
少し前から多飲多尿の傾向があったけど、まだ9歳という年齢を過信していた。
ある日、嘔吐を繰り返したので、病院に連れて行って発覚した。
先生は触診だけで腎臓の「形の異変」に気が付き、血液検査をしてくれた。
その結果が25%だったのだ。
皮下点滴、投薬、、
クレアチニンが高値だが、幸いBUNが高くないという不思議な数値で、つまり尿毒症ではない状態にはあるらしく、
とにかく薬を飲んで、しっかり食事を取って体力が戻れば、回復するかもしれない。
シリンジによる強制給餌も視野に入れている。
ただ、どこまで「延命治療」をするのか、というのは、鈴子のストレスと幸せとよく考えていかないとね
と、先生が言った。
延命治療の域なのだ。
腎臓という臓器は回復はしない。
病院の壁に、腎機能25%の猫が腎臓ケアの療養食を食べた場合の、予後生存率のグラフが張り出されいた。
グラフの1番端は「1000日」だった。
3年もない。
どんなに上手くいっても、3年もないのだ。
「療養食は美味しくないから」
と先生は言い、
その中でもオススメを買って帰り、今毎日投薬と皮下点滴中。
薬の数も多い。
酷い時は1時間かけて飲んでもらう。
鈴子は、辛抱強い。
昔から、我慢ばかりししてきたような子だ。
仔猫の頃のトラウマが抜けない。
餌以外、頑なに口にはしない。
チュールなどのオヤツも拒否する。
先生は不思議がった。
オヤツによる塩分過多が原因の腎臓病が増えているからだ。
爺っちゃが猫園にいってから、ようやく家に入った。
完全室内飼いになってから、まだ3年経つかどうか。
不憫で仕方ない。
どうして鈴子ばかり、と思ってしまう。
私は自分の治療上注射を打つのだが、その注射を1000回打ったって平気だ。
薬だって、吐いたって飲む。いくらでも飲んでやる。
内蔵が悪くなれば、人間ならそれなりの治療法もある。
指が曲がっったって痛くたって慣れているから平気だ。
でも鈴子はそうはいかない。
神様、鈴子を助けて下さい。
まだ、爺っちゃの元にいくのは早すぎます。