goo blog サービス終了のお知らせ 

SuperDryな一徹の徒然草

自称・アサヒビール・スーパードライのアンバサダー 見たり、聴いたり、触ったり、歩いたり、走ったり。呑む他に暇なしの徒然草

師弟

2012-10-10 08:30:55 | アサヒビール
古代ギリシャの哲学者で、ストア派の創始者でもあるゼノン。優秀な弟子がたくさんいる中で、学派の継承者に選んだのは、クレアンテスという弟子だった。クレアンテスは頭脳明晰なほうではなかった。水汲みや大麦炊きを仕事とする生活は貧しかった。紙が買えず、師から学んだことは、陶器の破片などに書き留めた。彼は、働いた手で、師の言葉を書き残す生き方を誇りとした。どんな境遇にあろうと、師を求め、教えの通り、実践する。労苦と努力を惜しまない人生を 歩み抜いてこそ、真の後継者となれる。そこに峻厳な師弟の絆がある。サラリーマン社会に住する私は、先輩・後輩、上司・部下という立場とは別に上下関係へだたりなしにたくさんの仲間から人生の指針を学ばせていただいた。難問にぶつかったとき先輩は、彼ならどうしただろうと薫陶を受けた中で方途や言葉を見いだしたことは多々ある。師匠をもつ偉大さ、そうした生き方に、すがすがしく美しい人間の輝きがある。

本日の読書:1/1,767冊目 人の哀しみがわかる医者になってほしい 帯津良一著 イースト・プレス
医学部進学教室 熱血講義 人の哀しみがわかる医者になってほしい医学部進学教室 熱血講義 人の哀しみがわかる医者になってほしい
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2012-07-15



HEART

2012-10-05 08:40:26 | アサヒビール
“飢えた子どもたちに、文学は何ができるか”そう問うたのは、フランスの哲学者サルトル。精神的な満足は、空腹という身体的欲求を満たせるか、そもそも、文学の使命とは・・・この問いは、古くて常に新しい。昨年の大震災以来、多くの作家や芸術家が、同じ問いの前に立ち尽くした。そして、かけがえのないものを失った人たちを前に考えた。“今、文学や芸術にできることは何か”と。東北で活躍する、こけし作家も悩んでいた。震災直後、工房にたたずみ、停電で動かない轆轤を前に考え続けた。視線を移すと、心を込めて手がけたこけしたちが、慈愛のまなざしで、ほほ笑んでいた。「これだ」・・・最も苦 しむ人たちに笑顔が戻るまで、“わが分身”を作り、励まし続けよう、と決めた。心を育て、心を励ます。作家はそこに、「新生・東北の建設に尽くす使命を見いだしました」と。「HEART」(心)の綴りの中には「ART」(芸術)が含まれている。心を磨き、思いの丈を表現した彼の新作は先ごろ、こけしの全国コンクールで「福島県知事賞」に輝いた。

本日の読書:1/1,762冊目 永遠とワンフレーズ 佐藤 弘著 イースト・プレス
永遠とワンフレーズ永遠とワンフレーズ
価格:¥ 1,365(税込)
発売日:2012-06-30



継承

2012-10-01 08:36:42 | アサヒビール
中国の古典『貞観政要』に「創業は易く守成は難し」とあるように、古今東西、事業を継ぎ、守ることの難しさに変わりはない。大和ハウス工業の樋口武男会長の逸話を聞いた。有利子負債1400億円を超すグループ会社の再建を命じられるなど、創業者・石橋信夫氏から何度も試練を与えられ、鍛えられた。そうした薫陶への感謝を、氏は繰り返した。石橋氏の人材育成の哲学は「大きい大根を間引きする」ことだったと、樋口会長は綴る。大きい大根を抜けば、か細い大根に栄 養が回り、育ち始める。大きい大根は、あえて開墾していない、やせた土地に植え替える。それでも、再び力強く育っていくという考えだ(日本経済新聞の連載 「私の履歴書」、本年3月1日付)。「守成」の鍵は後継者を育てることだが、後継者が代を重ねるごとに創業者の遺産を消費するのでは意味がない。創業の精神を継ぎ、具現化し、さらに発展させていかねばならない。作家の村上政彦氏が指摘していた。真の守成は「創業の心を胸に刻むこと」から始まり、「創業の連続」を言う、と。「創業の心」とは、嵐の海を進む船を助ける海図のようなもの。私たちにとっては創業者に感謝し、学ぶことに尽きている。

本日の読書:1/1,758冊目 おじいさんのはやぶさ 間瀬なおたか作・絵 KKベストセラーズ
おじいさんのはやぶさおじいさんのはやぶさ
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2012-07-14



誠実な会社は

2012-09-28 11:07:50 | アサヒビール
 娘は、ある有名なスウィーツのお店でパート従業員として働いている。交通費は限度額有・社会保険もなし。シフト制でもある。したがって土日・祝日関係なしでもある。残業も実働時間より何割かカットされている。このしわ寄せは孫を預かる私たち家族に重くのしかかっている。どの小売業もこうしたパート・アルバイトや正社員のサービス残業で収益を支える構造になっているようにも思える。右型上がりの急成長している小売業には、顕著にこの構造が見て取れる。高収益の恩恵は経営者や役員だけの所もある。大阪の週4日しか営業しない鮪で有名な立呑み・海鮮居酒屋はその日の営業・売上高でスタッフに日当+出来高報酬を支給している。おのずとスタッフは懸命にお客をもてなす習慣が身についたという。経営に携わる人柄を見る思いだ。“人が変われば、会社は変わる”――経営コンサルタントで実業家の大久保恒夫氏は語る。かつて業績不振に陥っていたユニクロ、無印良品等を再建させた立役者。その経営手腕に注目が集まる。企業は、利益を生み出すために存在する。業績の数字に注目するのは当然だが、氏は数字よりも「小売業の仕事はお客さま に喜んでいただくこと」だと訴える。その基本は、気持ちの良い「あいさつ」。現場を支える従業員の誠実な姿と行動で顧客に満足してもらい、喜んでもらう。 それが店舗への好感となり、やがて成果もついてくると大久保氏は考える(『すべては人なんだ』商業界)。難事業を目の前にすると、全てを変えなければ、と焦り、結局、全てが中途半端になる場合がある。大事を成すには、基本に徹し、身の回りの小事から変えていくこと――氏の実践は、それを教えている。企業に限らず、どんな運動であれ、人間と関わる以上、人と会い、心と心を結んでいく地道な作業を避けては通れない。「『誠実』の二字である。格好でもない。頭で もない。『誠実の力学』こそが人間を動かす」。それを誰よりも実践していきたい。たゆまず、飾らず、真心で。

本日の読書:1/1,755冊目 負けるもんか 川谷真紀著 泰文堂
負けるもんか (オープンブックス)負けるもんか (オープンブックス)
価格:¥ 1,260(税込)
発売日:2012-07-21



ルーツ

2012-09-26 08:45:17 | アサヒビール
「紀元前1050年にまで遡って、先祖の名前を、全て言うことができます」。そう語ったのは、アジア屈指の経済学者で、シンガポール・南洋理工大学のリム・チョンヤー博士。この夏、日本の大学で特別講義を行い、大学関係者と懇談した折の話である。リム博士の先祖は、中国古代、殷王朝の紂王の時代の忠臣・比 干とされる。彼は、一命を賭して、紂王の暴政を諫めたために、無残にも殺されてしまう。しかし、比干の子孫は生き延びて、以来、約3000年間、家系が続いているという。相当な先祖の数になると思われるが、リム博士は「先祖の一人一人の名前を続けて読むと、一つの詩のようになっていますから覚えやすいので す」と笑った。ユニークな中にも、先人の足跡を断じて忘れぬ深き執念を感じた。この史実は、日本の歴史の中でも語り継がれている。日蓮大聖人の著作で「今の世までも比干は忠臣といはれ紂王は悪王といはる」等と、著作の中で十数カ所にわたり比干に触れ、称えている。今また乱世である。世相に一喜一憂することなく、後世の人々に模範とされる勇気ある生涯を貫いていきたい。

本日の読書:1/1,755冊目 ココダ 遥かなる戦いの道 クレイグ・コリー 丸谷元人共著 丸谷まゆみ訳 ハート出版
ココダ 遙かなる戦いの道―ニューギニア南海支隊・世界最強の抵抗ココダ 遙かなる戦いの道―ニューギニア南海支隊・世界最強の抵抗
価格:¥ 3,360(税込)
発売日:2012-05-31