古代ギリシャの哲学者で、ストア派の創始者でもあるゼノン。優秀な弟子がたくさんいる中で、学派の継承者に選んだのは、クレアンテスという弟子だった。クレアンテスは頭脳明晰なほうではなかった。水汲みや大麦炊きを仕事とする生活は貧しかった。紙が買えず、師から学んだことは、陶器の破片などに書き留めた。彼は、働いた手で、師の言葉を書き残す生き方を誇りとした。どんな境遇にあろうと、師を求め、教えの通り、実践する。労苦と努力を惜しまない人生を 歩み抜いてこそ、真の後継者となれる。そこに峻厳な師弟の絆がある。サラリーマン社会に住する私は、先輩・後輩、上司・部下という立場とは別に上下関係へだたりなしにたくさんの仲間から人生の指針を学ばせていただいた。難問にぶつかったとき先輩は、彼ならどうしただろうと薫陶を受けた中で方途や言葉を見いだしたことは多々ある。師匠をもつ偉大さ、そうした生き方に、すがすがしく美しい人間の輝きがある。
本日の読書:1/1,767冊目 人の哀しみがわかる医者になってほしい 帯津良一著 イースト・プレス
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