鑑賞した映画ブラックスワンが心理的に引っかかっている。主役に選ばれたバレリーナ個人の深層心理がもたらす現象を表現したストリーと納得するまで相当時間がかかった。普通の一般人の日常生活でも心穏やかに人生を過ごすことは出来ない。社会的使命の消化に誰もが人生をかけて生活している。生活は人、社会の交わりで始まる。利害関係や人間関係で心ならずとも自身の目標や目的が湾曲することもある。今も世界のどこかで毎日、上演されるシェークスピアの演劇作品もブラックスワンのような作品がある。意外にも、18世紀までは別の文学者による改作の方が人気で、原作の評価は高くなかった。作品の真価に光が当たったのは、彼の死から185年後の1801年。ドイツの青年文学者、アウグスト・フォン・シュレーゲルによる。彼は、シェークスピア作品が、“ヨーロッパ精神の根底にある異質なもの同士の緊張を、ダイナミックに体現している”と主張。この発言がシェークスピアの母国イギリスに飛び火し、再評価のきっかけになったと聞く。(『シェークスピア・ハンドブック』三省堂)。一人の青年の主張によって、演劇史は塗り替えられた歴史的瞬間である。シェークスピアの戯曲は明言の宝庫。その一つに「行動こそ雄弁なり」とある(「コリオレーナス」)百万言よりも、どんな行動をしたかが、その人を雄弁に物語る。方法、策でない。真心の、信念の叫びこそ、相手の心を打つ。古典芸術作品から見ると作品の完成度に?だった。
本日の読書:1/1,140冊目 わたしの彼氏 青山七恵著 講談社
わたしの彼氏
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2011-03-11