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SuperDryな一徹の徒然草

自称・アサヒビール・スーパードライのアンバサダー 見たり、聴いたり、触ったり、歩いたり、走ったり。呑む他に暇なしの徒然草

二種の世界に住む

2011-06-01 09:07:00 | 読書

日本の教育界の発展に尽力した森信三は“読書の真価を理解する人は「二種の世界の住人」である”との言葉がある。二種の世界の住人とは、現実の世界と書物に描かれた世界の二つに住むと言うことなのだそうだ。読書は宇宙旅行や深海探検、歴史の出来事など、現実には経験できない“別世界”の体験を文字と行く記号を通じて可能にする。それは“奇跡”なのだ、と氏は語っている(『人生論としての読書論』致知出版社)『徒然草』にも「ひとり灯のもとに文をひろげて、見ぬ世の人を友とする」とある通り、いくつもの人生を生きられるところに、古今東西変わらぬ読書の喜びがある。この“奇跡”を子供時代に体験できれば、どれほど心の財産になることか。“もう一つの世界に”生きる主人公が、葛藤を乗り越え、成長していく雄姿は、将来、厳しい現実世界に立ち向かう力を与える。学ぶという行為それ自体が、明日の希望、生き抜く勇気の表現に思える。心の財(たから)を積む読書に挑戦したい。

本日の読書:1/1,140冊目 さよならドビッシー 中山七里著 宝島社文庫

さよならドビュッシー (宝島社文庫) さよならドビュッシー (宝島社文庫)
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発売日:2011-01-12

人生論としての読書論 人生論としての読書論
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2011-04


読書

2010-11-08 17:37:00 | 読書
気の置けない仲間に読書の勧めを聞かされて読書録を綴りながら読書を始めて2年目を迎える。このブログの土台はもっぱら読書に由来するものばかり。熱心な読書家で知られたナポレオン。あだ名の一つが「熊」。数日間、部屋に鍵をかけて閉じこもり、読みふけったという。維新の教育家・吉田松陰の読書欲も凄まじい。1年に500冊を読破することも。読書録に“卒業”と記した。本を読むことが“学校”だった。

文豪ゲーテは少年時代、アンソンの「世界周遊記」を読んだ衝撃を「頭のなかでこのすばらしい航海者とともに旅をし、広い世界に連れ出された」と述懐している。そして「数多の書物に出合い、さらに豊かな実りに恵まれることになった」と(山崎章甫訳「詩と真実」岩波文庫)今、時間をこじ開けるようにして読んだ経験を通し、読書の喜びを噛み締めている。

本日の読書:1/941冊目 西宮久雄訳 トヨタ・サプライチェーンマネジメント 上巻 日本経済新聞社出版


胸突き八丁

2010-06-21 17:48:00 | 読書
胸突き八丁という言葉がある。富士登山で、頂上付近は急で、息が詰まるほど苦しいが、登頂のためには一番大事な時である、というところから、「詰め」の大切さを言う。人間国宝、桂米朝さんも「サゲ(噺しの最後のこと)の前」が最も「大きな緊張」の時であり、この時に客が物を落とすなど、ハプニングが起こると、それまでのすべての苦労が「水の泡」になるという。ゆえに、落語家は「あらゆる技術を駆使」して、「ラストに数分間」を乗り越える。サゲの前では、「無駄な言葉は一語も許されませんし、そして必要な言うべき言葉は一語も抜けてはいけない」((「芸道百般」筑摩書房))今年も半年が過ぎ、後半に向かって油断なく、慢心なく、挑戦の日々を送っていきたい。

本日の読書:1/802冊目 池谷裕二著 脳はなにかと言い訳する 新潮文庫


切磋琢磨

2010-06-18 17:44:00 | 読書
「詩経」に切磋琢磨の故事がある。「切磋」は角や象牙を刀で切り、やすりで研ぐこととある。「琢磨」は玉や石を槌で打ち、砂や石で磨きをかけること。学問をし、得を修めるため、努力に努力を重ねることの意。また友人同士で励まし合い、競い合って向上する意味にも使われる。「論語」(金谷治訳注)には、「我れ三人行えば必ず我が師を得」とある。三人で行動したら、そこに自分の師を見つける。常に向上していこうとする心を持てば、皆が我が師であり、学びあうことができる。 

本日の読書:1/799冊目 熊崎 敬著 JAPANサッカーに明日はあるか 文春文庫


時間がなくて

2010-06-04 19:07:00 | 読書
「時間がなくて」。そんな悩みをよく聞く。「忙しくて、気が回らない」「後輩を育てる時間がない」。本当にそうだろか。イギリス人は「歩きながら考える」といわれる。経験を重んじるお国柄を良く現した評言だ。確かに、行動しながら思索を重ね、ふと、グッドアイディアがひらめくことがある。

人材の育成も、時間があれば出来るわけではない。「一対一の触発があってこそ、一人ひとりの持つ大きな力を引き出していくことが出来る。たとえば移動中での相談。散策しながら、お茶を飲みながらの語らい。そのほうが、かえって本音が出て、心のひだまでわかる。こちらのアドバイスも、すっと胸に入る。

ゲーテの言に。「わたしたちは他人の好意に触れるときこそ、本当に生気溌剌となる」(岩崎英二郎訳)あなたのことを気に掛けているよ。それだけでもいい。心は見えない。しかし、心は伝わる。限りない心の力は、逆境の中で輝きをます。


本日の読書:1/785冊目 外山滋比古著 日本語の作法 新潮文庫