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SuperDryな一徹の徒然草

自称・アサヒビール・スーパードライのアンバサダー 見たり、聴いたり、触ったり、歩いたり、走ったり。呑む他に暇なしの徒然草

兄弟・姉妹

2012-11-30 08:37:52 | アサヒビール
豪雪で知られる山形県庄内地方のある地域では昔、冬の朝、上級生が下級生を自分のマントに包み込むようにして吹雪から守り、小学校まで送り届ける慣習があったと聞く。誰かに命じられたわけではない。「かつての自分がそうされたように、今度は〝守る側〟になった」。白い雪のように純真な心が受け継がれていたことに、胸を打たれる。先月のこと。東京郊外のある私立小学校の児童らが乗り合わせた電車が、事故の影響で途中停車し、一時、運転見合わせになった。すると、5、6年生が手分けをして、車両内にいる同校の児童らを1カ所に集めた。「心配ないよ」「一緒にいるから大丈夫」。不安がる下級生を上級生が励まし続けたという。学年を越えた児童の交流に取り組む学校は多いが、同校にも「きょうだい学年」がある。5年の児童が、同じ数字の学級と出席番号 にあたる1年の児童を日頃から励ましたり、一緒に遊んだり、勉強などをする取り組みだ。それを聞き、電車内で児童が自発的に動いた理由も納得できた。互いを兄弟のように思い、信頼し合う美しい心。平凡かもしれないが、この心こそ、より良く生き、より良き社会をつくる根本の力だ。子どもたちに伝えたい。

本日の読書:1/1,917冊目 「世界基準の授業」をつくれ 川島直子・福田素子共著 時事通信社
「世界基準の授業」をつくれ―奇跡を生んだ創価大学経済学部IP「世界基準の授業」をつくれ―奇跡を生んだ創価大学経済学部IP
価格:¥ 1,260(税込)
発売日:2012-02




実りの対話

2012-11-28 08:41:34 | アサヒビール
「人間が一人でいるというのは、よくないことだ」「むしろ何事かをなしとげようと思ったら、他人の協力と刺戟が必要だ」(山下肇訳)。文豪ゲーテが晩年、青年に語り残した言葉である。彼は、戦乱や対立が渦巻く時代にあって、果敢に友情を広げたことで知られる。劇作家のシラー、歴史家のカーライル、詩人のプーシキンら、その交友は多彩だ。こうした人間交流の触発から、数々の名作が生み出されていった。ワイマール・ゲーテ協会のマンフレット・オステン顧問 が述べている。「ゲーテにとって友情とは、生きる上で中心となるもの」だった。仏教の教えでは、「善き友」の存在を重 視する。ある時、釈尊に、弟子の阿難が尋ねた。「善き友を持てば、仏道を半ば成就したことになりますか?」。すると釈尊は答えた。「それは違う。善き友を 持つことは、仏道の半ばではない。すべてなのだ」(雑阿含経)。生命と生命は〝感応〟し合う。元気な友と語り合うと、元気になる。勇気の友と一緒に動け ば、勇気が出る。何より、社会貢献に励む友と歩めば、知恵と歓喜が湧き上がる。あの人と、この人と心の絆を結び、友情を大いに広げよう。秋は〝実りの対話〟の季節でもある。

本日の読書:1/1,815冊目 伊集院静の「贈る言葉」 伊集院静著 集英社
伊集院静の「贈る言葉」伊集院静の「贈る言葉」
価格:¥ 893(税込)
発売日:2012-10-26



ノート(メモ)

2012-11-26 08:42:46 | アサヒビール
小川洋子さんの小説『博士の愛した数式』。第1回「本屋大賞」を受賞し、映画化もされた。事故で新しい記憶が80分しか持たない数学者の「博士」。忘れないように書く膨大なメモ。そんな博士と、親しくなった母子の心温まる小説。亡くなった岳父も生前、認知症などがある高齢者の暮らすグループホームのデイケアに通っていた。土日は私が送迎をしていた。施設では、将棋をしたり、テレビを見たり、にぎやかだったことを覚えている。入居者の姿を、ニコニコと目を細めて見ている男性がいた。職員かと思ったが、入所者だという。親しく話を してくれた。しばらくすると、「ちょっと待って!」とノートに何か書き始めた。「記憶が30分しか持たへんので、書いとかんと。◎〇〇さんの息子さんやったね」。症状が出た時、絶望したという。薬を飲んだか、食事をしたか、全部忘れてしまう。職員のアイデアでノートを取り始めた。居室に行くと、積み重なったノートが。合わせると身長を超えた。「全部、金の思い出。読み返しては、こんな人生を生きてるんやと、いっつも感動する」という。私の座右の書に「八万四千の法蔵は 我身一人の日記文書なり」とある。日々活動する我が身に、どれほどの思い出と経験が蓄積されているか。そして、今日のページには、何を書き込めるだろうか。

本日の読書:1/1,913冊目 青山常運歩 中曽根康弘著 毎日新聞社




邪魔中さんの歩

2012-11-21 08:37:35 | アサヒビール
ノーベル医学生理学賞に決まった山中伸弥教授の快挙は、後進の大きな希望となった。手術が苦手で整形外科医を挫折、研究が進まず苦節の日々。「邪魔中(やまなかをじゃまなか)」と揶揄された日々もあったと聞く。教授の体験に、多くの人が励まされた。教授は、共に受賞が決まった英国のジョン・ガードン名誉教授への感謝を語った。「ガードン先生の50年前の仕事が正当に評価されて (中略)便乗させていただいて、受賞させていただいたようなものです」(NHK「クローズアップ現代」)ガードン氏も15歳の時、通知表で酷評された。 担当教師は「(科学者を目指すなんて)ばかげた考えだ」「時間の無駄」と記した。その年の生物学の成績は〝最下位〟。氏は、この通知表を大切に額に入れ、研究所に飾っているという。iPS細胞は、難病の治療や新薬開発などに大きな道を開く〝万能細胞〟という。いわば生命の持つ無限の可能性を引き出したのが、挫折を経験した2人であったことは感銘深い。人間には、いかようにも伸びていく可能性がある。しかし、可能性のままで終わるか、開花させるか。その 分かれ道は、挫折の時に、可能性を信じ、努力し続けられるか否かにあると、あらためて思う。努力は常に成功に直結するわけではない。しかし、努力のないところに成功はない。

本日の読書:1/1,808冊目 ことり 小川洋子著 朝日新聞出版
ことりことり
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2012-11-07



雁風呂

2012-11-19 08:45:11 | アサヒビール
白鳥が東北各地に飛来してきたニュースが伝わる。越冬の渡り鳥を見かける季節になると、津軽地域に残るといわれる民話「雁風呂」を思い出す。サントリーのCMで開高健のナレーションで有名にもなった。月夜に雁が渡ってくる。疲れると、口にくわえた小枝を海面に浮かべ、その上で羽を休める。津軽まで来れば、もう大丈夫と、小枝を落とし、目的地に向かう。早春、今度は北へ帰る途中に津 軽に戻った雁は、自分の小枝を拾って旅立っていく。残った枝は冬を越せなかった雁のものだ。薪にさえ事欠いた津軽の人は、力尽きた雁を偲びつつ、その枝で風呂を焚いたという。よく調べてみるとこれは実話ではない。だが、厳しい自然、苦しい暮らしを生きる人々は、一本の小枝にも深い思いを託していた。その美しい心が民話となり、今も、聞く人の心に温もりを届ける。津軽三味線の大会で日本一になった青年・柴田 雅人の話を聞いた。優勝後、奏者として致命的な手の病に襲われた。苦悶の中で脳裏に浮かんだのは、雪でも毎日、勇んで新聞の配達に出掛ける母の姿。「試練に鍛えられた魂は無敵」と思えた。その後、彼は病魔を克服した。よみがえった力強いバチさばきは、以前にも増して、聴衆の心を揺さぶった。一本のバチに、不屈の心が宿ったからに違いない。彼は再び、日本一の栄冠に輝いた。

本日の読書:1/1,806冊目 ブラックマネー 須田慎一郎著 新潮文庫
ブラックマネー―「20兆円闇経済」が日本を蝕むブラックマネー―「20兆円闇経済」が日本を蝕む
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2008-10