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SuperDryな一徹の徒然草

自称・アサヒビール・スーパードライのアンバサダー 見たり、聴いたり、触ったり、歩いたり、走ったり。呑む他に暇なしの徒然草

優良企業

2010-08-09 17:43:00 | 社会
景気回復を願う昨今です。国内外の要因で「先行きに不透明感」があり、回復の速度が鈍りそうだと見られている。中小企業をはじめ、事業を営む従業員・経営者の苦労がしのばれる。ビジネス雑誌や書籍には奮闘する経営者を数多く紹介している。「他社がまねできないサービスを提供」(ピアノ運送会社)、「大手の参入がない市場で、自社商品の需要を掘り起こす」(塗布装置の設計・販売会社)など、独創性を磨き、新たな販路を開く努力を重ねることで不況下でも安定した経営を維持している。むしろ躍進している。

優良企業と呼ばれる“いい会社”とは何か。それは業績を上げている点はもちろんだが、それだけではない。「日本で一番大切にしたい会社」(あさ出版)で、著者の坂本光司・法政大学大学院教授は6千社を越す企業研究を通じて企業経営の要点を提示している。本当の企業経営とは社員と家族、下請け、協力会社、顧客、地域住民、株主の幸福のために誠実な仕事をすることだ、と。

前出の経営者も従業員を大切にし、協力会社と共に発展することを願い、顧客に喜ばれ地域に貢献する仕事をする中で業績を伸ばしている。利益至上主義を超え、社会貢献や人間の幸福を目的とする。企業の在り方が問われているように思えます。


本日の読書:1/851冊目 山本兼一著 命もいらず名もいらず 下巻 NHK出版


世論

2010-08-04 18:04:00 | 社会
「世論」には「よろん」「せろん」の読み方があります。かつては「よろん」は「輿論」と書かれ「輿」が当用漢字で使用制限になった後、「世論」の字が代用された。二つの熟語が表す意味は、大きく異なるという。京都大学の佐藤卓己准教授によれば、「輿論」は公に対して責任を担う意見であり、「世論」とは世間の雰囲気である、と。また戦後、「輿論」が姿を消すと、言論に対する責任が曖昧になってきた、とも。「世間の空気に対して、たった一人でも公的な意見を叫ぶ勇気こそが大切」と訴える。(「輿論と世論―日本的民意の系譜学」)日本をはじめ世界中の歴史には命を賭した「輿論」を起こした先哲が沢山いる。為政者によって命を奪われ、襲われたことは数知れない。健全な社会へ。責任ある言論の模範が今こそ求められている。

本日の読書:1/846冊目 竹下節子著 無神論 二千年の混沌と相克を超えて 中央公論新社


前兆

2010-07-16 18:01:00 | 社会
ローマ帝国が滅亡の坂を転げ始めた3世紀。皇帝が次々に交代した。平均在位は4年。「五謙帝時代」と称され、帝国が最も繁栄した頃、在位は約20年だった。「ローマ人の物語」を書いた塩野七生氏は語る。「危機の時代は、指導者が頻繁に変わる。首をすげ替えれば、危機も打開できるかと、人々は夢見るのであろうか」(日本人へ・文春新書) その後、すぐに帝国が滅びたわけではない。度重なる指導者の交代が、一貫性の無い統治を生み、国力を弱め、危機を乗り越えられなくなったのである。

物事の動きには“兆し”というものがある。仏典には「(水に浮かんだ)華が見事に咲くのを見て、池の深いことを知る」とある。目の前の変化に一喜一憂、目先を少し変えて安心してはいけない。表面に出てきた姿の裏に真実がある。それを見抜く透徹した眼力が必要。私の日常生活でも、大きな失策を起こす前には必ず、小さなミスがある。大病に至るまでに小さな症状がある。心に油断があれば兆しを見逃してしまう。なんだかローマ帝国に似た兆しの日本。万般にわたって兆しを知り、真実を見抜くことが求められていると思う。


本日の読書:1/827冊目 宇都宮一成・トモ子共著 世界で一番長いハネムーン 風濤社
自転車オタクの男と、自転車にほとんど乗れない女が、二人乗り自転車でちょっと長目の新婚旅行をすることに。10年間、88カ国をめぐるタンデム自転車珍道中。


行人

2010-07-09 17:43:00 | 社会
夏目漱石の小説「行人」の一場面。“私の生死は、自分を超越した神に任せている”と男が語る。それを聞いた相手は突然、平手で彼の頬を打つ。「何をするんだ」気色ばむ男に、彼は答えた。“それ見ろ。やっぱり怒るじゃないか”“神に身を委ねる”と胸を張っても、実際は些細なことに動揺し、感情を露にする。そんな“信仰”は現実の平手打ち一つで、すぐに馬脚を現す。漱石は、“地に足の着かない信仰論議を痛烈に難じた。鎌倉時代に仏教は興隆した。僧侶たちは競って諸宗と法論・問答を重ねた。一つルールがあって、議論のための議論に陥らぬよう、相手の覚悟を促したそうだ。負ければ己の信仰を捨てて相手の信仰に帰依するという厳しいルールです。対話は、人格と人格の触発の場。相手を納得させていく真剣さと誠実さに貫かれてこそ、有意義な語らいとなる。日本の政権を預かる為政者に「確信の対話」を今こそ望みたい。

本日の読書:1/820冊目 横川由里著 コワ~ぃ保険の話


2010-06-23 17:36:00 | 社会
東京・墨田区に建設が進む東京スカイツリー。現在の高さは地上634メートル、自立式電波塔としては世界一となる。美しいタワーばかり目が行きがちだが、地下には地上部分を支える「杭」が、約50メートルの深さまで打ち込まれている。目には見えないが、何事も「基礎」が大事である。「物事」の基礎の、最初の杭をどこに据えるのか、どのように打つか。世界の根本を据えるのとおんなじぞ。おろそかに据えれば、一切は成り立たん。作家の石牟礼道子さんの父君の言葉である。石牟礼さんが小学3年のとき聴いた言葉として紹介している(「父」藤原書店)「世界の根本を据える」とは「一切が、ここから始まる」ということだろう。建物だけではない。わが人生の「杭」を、どこに据えるのか。「必ず勝つ!」と一念を定めることではないか。その一念が深く強いほど、毀誉褒貶の“風”にも揺るがぬ王者の人格がつくられる。心は偉大な画家のように、自身の人生を自在に描き上げていくことが出来る。成長し続ける自身でありたい。


本日の読書:1/804冊目 江 弘毅著 街場の大阪論 新潮文庫