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SuperDryな一徹の徒然草

自称・アサヒビール・スーパードライのアンバサダー 見たり、聴いたり、触ったり、歩いたり、走ったり。呑む他に暇なしの徒然草

結いの灯 SONG OF THE EARTH2010

2010-11-01 17:23:00 | 社会
「出来ることは小さいかもしれない。けれど、いても立ってもいられない」。方言語りで紙芝居ボランティアをしている福岡県のとあるご婦人が、新潟へ向かった。6年前の10月23日に起きた新潟県中越地震。10万人以上の市民が避難を余儀なくされた。自然が見せ付ける破壊力には「人間の小ささ」を思い知らされる。しかし、危機を乗り越えようとする不屈の努力、暖かい支えあいのなかに「人間の大きさ」を見出すことも出来る。

先のご婦人は病の影響で足が不自由ななか、山古志村(現・長岡市)の人々が身を寄せる避難所を慰問。その真心に被災者は涙で再起を誓った。半年後、婦人は再び、紙芝居を手に長岡市に。復興へと力強く歩み始めた人々の再会は、今度は笑顔に包まれた。

地震から6年の10月23日夕刻、当時、被害の大きかった魚沼市では、人々のより豊かな結びつきを願う「結いの灯(ゆいのあかり)」が行われた。女優・広末涼子氏の夫君 キャンドル・ジュン氏がプロデュースしたことがニュースになった。実行委員会では4万4千人の市民に「一つは皆のため、もう一つは自身のため」と8万8千のろうそくに明かりを灯すことを呼びかけた。 

本日の読書:1/935冊目 ハイタッチ 山本賢治著 の本経済新聞出版社


問題は人

2010-10-27 17:28:00 | 社会
今年の気候はいきなり秋を飛び越すような寒さが到来。食卓に鍋料理が並ぶようになりました。夕餉の後のお楽しみは、読書とテレビドラマ。普段はニュース位しか見ないのですが、秋のドラマは原作本や脚本の出来が良いように思えます。月曜から水曜日まで楽しんでいます。ドキュメンタリーも番組改編があって視聴しやすい時間帯になって助かっています。DVD録画で海外に暮らす次男坊夫婦に送っています。

さて、先日の「助言」の追加です。「トイ・ストリー」など、人気のアニメ映画を次々と世に送る「ピクサー」社は、米国映画業界では特異な存在という。ハリウッドの映画作りはストーリー(筋書き)ありき。売り込まれたストーリーに投資し、その都度必要な人材を雇うのが一般的だ。一方のピクサー社は、監督をはじめチーム全員が「社員」。ストーリーを外に求めることはしない。「アイディアに投資するのではなく、人材に投資し、人材を育て、そこからアイディアを生みだす」(「スティーブ・ジョブズ名語録」桑原晃弥著 PHP文庫)鍛え抜かれた人材さえいれば、アイディアは無限に創造できる、とのポリシーがうかがい知れる。能力のある人をその都度集め、貪欲に結果を求めるのも一つの手法。だが、人を育てながら結果を出し、成功を分かち合うことには、大きな意義がある。問題は人。全部、人で決まると言っても過言ではないだろう。人材育成には、種苗から育てるように、時間も手間もかかる。しかし、苦労の分だけ豊かな成長を遂げていく人材は何よりも財もの。感動は計り知れない。

本日の読書:1/930冊目 いい言葉は、いい人生をつくる 斎藤茂太著 成美文庫


助言

2010-10-25 17:20:00 | 社会
運動会で人と競うプログラムに出たがらない児童が多いそうだ。理由は何度やっても同じ子に負けるからだそうだ。親が“走ってみないと結果は分からない”と諭しても、表情は曇ったまま。そこで高校で陸上部の所属する近所の女生徒が早く走れるコツをアドバイスすると、小学生はニコニコと笑顔に変わった。スポーツに限らず、習い始めの初心者にとって習熟した人の助言はありがたい。先輩が後輩に的を得た指摘が出来るのは、自身もかつては初心者として、同じ過程を歩んできたからだろう。

中国の故事に「教えて然る後に困しむを知る」(人に教えて自分が未熟なことが分かる)とある。教えることは、自ら学ぶことでもあるという意味合いを持っている。教える側も初心に戻って、自己を磨く糧にしたい。

本日の読書:1/928冊目 ワルに学ぶ会話の心理術 内藤誼人著 三笠書房


炭鉱のリーダー

2010-10-22 18:14:00 | 社会
世界の人々の心を温かくした、チリ落盤自己の救出劇。暗黒の2ヶ月を耐えた作業員たちの知恵と団結の姿に、今も感動が冷めない。「彼らは高潔さの見本を示した」。現場に駆けつけ、演説したピニェラ大統領を見て、二つ思い出した。

チリ民主化の指導者・エイルウィン元大統領が「忘れられない出来事」として挙げたのは、炭鉱作業員を前に、閉山を諭す演説をしたことだった。人生を炭鉱にかけてきた人々。その労苦が染み付いた顔が大統領を見つめ、静かに耳を傾けていた。大統領職を去るころ、炭鉱のリーダーたちは官邸を訪ね、石炭の彫刻を贈ってくれた。誠意を持って石炭問題に取り組んだ大統領への、感謝の証しだった。

チリの国民詩人ネルーダにも、また名声なき時代、炭鉱で詩を朗読した逸話がある。3時間も組合活動家らの演説が続いた後にもかかわらず、労働者たちは一斉にヘルメットや帽子を脱ぎ、詩人への敬意を表した。感激したネルーダは詠んだ。「わたしは、素朴な人たちのために書くのだ」「それだけでたくさんだ」(「愛と革命の詩人ネルーダ」大島博光著 国民文庫)

民衆こそ偉大なる賢者。この真実を、南米の誇り高き民主の国は示してくれた。

本日の読書:1/925冊目 大奥学 山本博文著 新潮文庫


顔の見える規模

2010-10-15 17:58:00 | 社会
晩年のカントは、友人を招き、会食・歓談することが常であった。語らいは、厳格な道徳哲学を説く高名な学者と思えぬような快活・陽気でウィットに富むものであったという。カントは、寒暖における注意事項を細かく書き記している。誰もが会話に加われる話題を選ぶこと。必要のないのに話を変えない。相手を意固地にさせる雰囲気には陥らないように。お互い尊敬と敬意を忘れまい。そして、笑いの内にお開きとすること。気持ちのいい大笑いは、胃の消化にもいい・・・等々。

「真のヒューマニズムと最も調和するように思われる安楽は、善良な(それと、できればそのつど違った顔触れの)交際仲間による美味しい食事の集い」(「実用的見地における人間学」渋谷治美訳)とまでカントは語る。適正な人数は4~10人とも。顔の見える規模である。

小事を大切に・言葉遣いを大切に・その人の立場を大切に等リーダーが明記すべき心得である。カントの洞察も、ココにすべて含まれる。小規模な集いの中に、小規模の組織の中にこそ、未来への真の活力は育まれ、鍛えられる。さわやかな秋の風に包まれて、共々に納得の和気を。

本日の読書:1/918冊目 世界を変えたアップルの発想力 竹内一正著 成美文庫